井口健二のOn the Production
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2015年05月31日(日) ドラゴン危機一発’97

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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ドラゴン危機一発’97』“戰狼傳説/新唐山大兄”
1993年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』な
どで注目されたドニー・イェンが、1997年に自らの製作、脚
本、初監督、主演、武芸指導で発表したアクション作品。そ
の作品のHDリマスター版が完成し、6月14日に閉館される
シネマート六本木のラストショウとして特別上映される。
この作品でドニーが演じるのは記憶を失った男。男はとある
寒村に現れ、古びた祠への道を訊く。そして村の若者が彼を
案内して行くとそこに刺客が現れ、やがて刺客の狙いが男の
命であることが判ってくる。
こうして男と刺客たちとの戦いが開始され、その激しい戦い
の中で男は徐々に記憶を取り戻して行く。それは血を血で洗
う凄まじい復讐劇の明け暮れだった。そして男は愛する人を
亡くし、最後に1人の若者が男の前に現れる。
同じ題名では1970年にブルース・リー主演の作品があるが、
特に物語に関連性がある訳ではないようだ。でもまあ、ある
種の復讐劇の中で強烈なアクションが展開されるという点で
は同じかな。
因にドニーはブルース・リーを大変に尊敬しているとのこと
で、彼が自らの監督第1作としてリーの香港凱旋第1作でも
ある旧作にオマージュを捧げた作品を作るのは必然と言える
ものだ。
それにドニーはリーの怪鳥音のようなものも発するし、さら
には超高速の突きや空手の連打など、往年のリーのカンフー
を髣髴とさせるアクションの数々は、正にリーへの尊敬の念
を感じさせてくれるものになっている。

共演は、コメディアンでマイクル・ホイ作品の脚本なども手
掛けるウォン・ジーワー、モデル出身のカルメン・リー、そ
れに元はジャッキー・チェンの成家班(スタントチーム)所
属で『ポリスストーリー』などのベン・ラム。
それにしても上映時間のほとんどがアクションの連続という
作品で、それは強烈な作品だ。しかもその強烈さの中で暴力
や復讐の虚しさのようなものが謳われているのは、1997年と
いう時代の反映なのかな。それも印象に残る作品だった。
なお原題を併記したのは、当時の中国国内向けと海外向けの
ものだが、海外向けでは1998年のドニー・イェン主演作にも
同じものがあるようだ。

公開は5月30日から6月12日まで、シネマート六本木で期間
限定の特別上映となる。劇場のスクリーンで観られるのは、
これが最後のチャンスになりそうだ。


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井口健二