| 2015年05月03日(日) |
カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2015 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 今回は、5月16日〜6月26日に東京・新宿シネマカリテにて 開催の「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション 2015」(カリ・コレ2015)で上映のされる50作品の中から、 サンプルDVDの提供を受けた新作を紹介する。
『メガ・シャークVSグレート・タイタン』 “Mega Shark vs. Kolossus” 昨年4月紹介『メガ・シャークVSメカ・シャーク』の続き。 前作の紹介でも書いたようにシリーズは4作目だが、お話は 題名の通りなので、特に以前の作品に拘ることもなく気楽に 観られる作品だ。それなりに前作に繋がった部分もあるが、 あまり気にするほどではない。 ということで本作では、前作では退治できたメガ・シャーク の別の個体が登場。それは瞬く間に巨大化し、米海軍の艦隊 が防御に当たるも、その艦船を容易に放り投げるほどの猛威 を揮いだす。そのため世界経済は混乱の極致となる。 その一方、旧ソ連のウクライナ・チェルノブイリではよから ぬ連中が作戦を遂行していた。それは旧ソ連が究極の武器と して開発した兵器を回収しようというもの。しかし作戦は齟 齬をきたし兵器が暴走を始める。 これにメガ・シャークの研究者やエキセントリックな艦隊の 司令官。さらに謎の大金持ちやCIAの捜査官らが絡んで、 世界狭しの大乱戦が繰り広げられる。そして暴走する究極の 兵器を如何に制御するかに人類の命運が掛る。 実は前作の紹介の時にも『ゴジラ』の影響に触れたが、本作 では何と最初に登場する人類の兵器の名称がオキシジェン・ デストロイヤー。仕様はミサイル型だったが英語の台詞でも はっきり聞こえるもので、これにはニヤリとした。 出演は、2003年5月紹介『プルート・ナッシュ』に出ていた というイリーナ・ダグラス。TVドラマ“The Secret Life of the American Teenager”にレギュラー出演のエイミー・ ライダー。 監督は第2作の“Mega Shark vs. Crocosaurus”を手掛けた クリストファー・レイ。脚本も第2作のミチョ・ルターレが 担当している。 その第2作を僕は観ていないが、人類が対抗手段を投入する 点では第3作の流れを踏襲しているもので、しかもその手段 が明らかにエスカレートしている。これは第5作も面白くな りそうだ。 「カリ・コレ2015」での上映は5月16日13:30、19日21:00、 24日18:45となっている。
『ネスト』“Musarañas” ダークファンタシーというジャンルでは他国と一線を画する 名作を生み出してきたスペインから届いた2014年の作品。本 国の映画作家協会で新人監督賞を受賞し、ゴヤ賞の新人監督 賞にもノミネートされた。 登場するのはアパートに暮らす少し歳の離れた姉妹。母親は 妹が誕生した時に死んだと言われ、父親もその後に起きた戦 争の折に行方不明になったと言われている。 しかも姉は宗教的な戒めがあるのか自宅の部屋を一歩も出る ことができず、生活は妹が外で働いた稼ぎで成り立っている ようだ。しかし姉には洋裁の才能もあった。 そんな姉妹の生活に変化が訪れる。上階の男性が旅行に出よ うとして階段を転落し骨折、姉に助けを求めたのだ。そして 姉は咄嗟に男を部屋に引き入れてしまう。 その男は姉に匿ってくれるようにも依頼し、そんな男を姉は 手厚く看護するのだったが…。やがて姉の態度は狂気を帯び 始め、姉妹に隠された秘密が暴露されて行く。 多少宗教的な話があったり、姉に幻影が見えているような表 現もあるが、特に超常的なテーマではなく、敢えて言えば心 の隙間に何かが入り込んでしまったような物語だ。 そんな物語がダークなトーンの許で描かれる。 脚本と監督は、以前には短編2作品を発表しているフアン・ フェルナンド・アンドレス。共同監督に俳優のエステバン・ ロエル。新人賞は2人で獲得している。 出演は、2014年10月紹介『スガラムルディの魔女』などのカ ルメン・マウラと、主にテレビで活躍のナディア・デ・サン ティアゴ、それに2012年6月紹介『スリーピング タイト 白 肌の美女の異常な夜』などのルイス・トサル。 その脇を『スガラムルディの魔女』などのウーゴ・シルバと カロリーナ・バングらが固めている。因に本作の製作の1人 は『スガラムルディの魔女』を手掛けたアレックス・デ・ラ ・イグレシアだ。 超常的な話ではないと上には書いたが、何となくその香りと いうか、全体に漂う雰囲気が好ましい。ファンの目にはそん な感じに映る作品だ。 2009年10月17日付「第22回東京国際映画祭」で紹介した『激 情』にも通じる古いアパートの雰囲気も良いものだった。 「カリ・コレ2015」での上映は5月25日16:00、28日21:00、 30日18:30となっている。
『殺し屋チャーリーと6人の悪党』“Kill Me Three Times” 『ミッション:インポッシブル』と『スター・トレック』の 映画版新シリーズにもレギュラー出演しているサイモン・ペ ッグが凄腕の殺し屋に扮するクライムコメディ。 ペッグが演じる殺し屋は、映画の開幕から登場するものの、 主人公と言うよりは狂言回し的な役割で、彼の周囲で様々な 殺人事件が発生し、彼が振り回されるという展開の作品だ。 その開幕で彼は非情な殺し屋ぶりを見せるが…。その止めを 撃つ瞬間に携帯電話が鳴り、彼は面会の時刻を約束する。 そして彼が監視をしている目の前で男女が怪しい行動を開始 し、彼は凄惨な殺人現場を目撃することになる。しかも事件 はそれだけでは収まらず、連鎖反応的に殺人が続けられる。 そこには警官も絡んで、何とも無茶苦茶な物語が展開され、 その累は彼自身にも及び始める。 そんな物語が時間軸を前後させながら繰り広げられる。それ は最初の内は少し変だなと思わせる部分もあるが、それらが 最後にぴたっと嵌って行く様は、見事なストーリーテリング と言えるものにもなっていた。正にブラックヒューモアと呼 べる作品だ。 脚本は本作がデビュー作のジェームズ・マクファーランド、 監督はオーストラリアで2005年からフィルモグラフィのある クリブ・ステンダーズ。本作はオーストラリアとアメリカの 合作で物語の舞台はオーストラリアだ。 共演は、2011年6月紹介『アイ・アム・ナンバー4』などの テリーサ・パーマー、2013年8月紹介『エリジウム』などの アリス・ブラガ。 他に、クリス・ヘムズワース(=マイティ・ソー)の実弟の ルーク・ヘムズワース、2013年2月紹介『L.A.ギャングスト ーリー』に出ていたサリヴァン・ステイプルトン、昨年公開 『300』の続編に出ていたカラン・マルベイら脇を固めて いる。 本作はオーストラリア製作だが、欧米人のユーモアは日本人 には中々理解し難いところがある。しかしそれが人間の本性 を描くブラックヒューモアだと理解し易くなる面もあって、 本作はそんな類な作品と言える。 笑うには多少後ろめたさもあるが、暗い映画館の中ならそれ も心置きなくできるというところだ。 「カリ・コレ2015」での上映は5月17日15:30、18日21:00、 21日19:00、22日10:30、26日15:30などとなっている。
|