| 2014年07月06日(日) |
フライト・ゲーム、セデック・バレの真実、エアポート2014(アサフェス) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『フライト・ゲーム』“Non-Stop” 2009年6月及び2012年10月紹介の『96時間』シリーズなど で、最近はアクション俳優の感じが強くなってきたリーアム ・ニースン主演によるスカイアクション作品。 主人公は旅客機に匿名で乗り込む航空保安官。プライベート に問題を抱えているらしい彼が、その日の任務でロンドン行 きの深夜便に乗客として搭乗する。ところが他の乗客も寝静 まった頃、彼の携帯に乗客の1人と名告るメールが届く。 しかもその携帯は任務用で、「この番号への侵入は違法だ」 と返信した主人公に相手は主人公の行動を監視していること を示唆。さらに「1億6000万ドルを指定口座に振り込まない と、20分ごとに1人死ぬ」と送り返してくる。 この事態に主人公は機長に最寄りの空港への着陸を要請する が、大西洋の真ん中ではロンドンに飛ぶしかなかった。そし て第1の殺人が意外な展開で発生する。さらに保安局に乗客 名簿のチェックを依頼した結果は全員シロ。 しかも保安局の調査で指定された口座が主人公の名義と判明 し、公安局の疑いは主人公に向けられる。こうして彼は任務 も解除され、孤立無援で姿の見えない犯人を追うことになる が…。 共演は、2013年10月紹介『キャリー』などのジュリアン・ モーア、2011年6月紹介『モンスターズ/地球外生命体』や 2012年9月紹介『アルゴ』にも出ていたスクート・マクネイ リー。 さらに、長編映画デビュー作の『それでも夜は明ける』でい きなりオスカー候補になったルピタ・ニョンゴらが脇を固め ている。 監督はスペイン出身で、2011年4月紹介のニースン主演『ア ンノウン』や2009年9月紹介『エスター』などのハウメ・コ ジェ=セラ、製作はヒットメーカーのジョール・シルヴァが 担当している。 映画の前半では謎解きやかなり奇抜な仕掛けなどがヴァラエ ティ豊かに展開されているが、それが後半になると一気呵成 にアクションにシフトして行く。その転換も絶妙の作品で、 さすがスペイン出身監督の作品と言う感じもした。 また狭い機内でのアクションも、本当に技と技の掛け合いと いう感じの振り付けで、ニースンには『96時間』シリーズ の主人公も髣髴とさせて、正にはまり役という感じになって いた。 公開は9月6日から、全国一斉のロードショウとなる。
『セデック・バレの真実』“餘生” 2013年2月に紹介したウェイ・ダーション監督によるドラマ 作品『セデック・バレ』の背景である1930年に台湾で起きた 抗日暴動事件を取材したドキュメンタリー。 ダーション監督の作品は、前後編の上映時間が4時間36分に 及ぶ掛け値なしの超大作で、そこで詳細に描かれた「霧社事 件」は、戦前の日本人が犯した罪として国民の全員が心に刻 み付けておくべきものと認識できた。 しかし描かれた物語の中で、特に現地人でありながら日本名 を与えられて警官となっている2人や、日本からやってきて 現地の女性と家族を持った警官の姿は、その背景などは紹介 されるものの物語の全体の中では埋もれていた。 そんなドラマ作品を観ていて気になったところが、本作では 余すところなく描かれている。勿論それは現代に取材され、 その子孫などが語っているに過ぎないものではあるが、今の 日本人からは想像もできなかった状況が明白にされる。 そして本作では、事件のその後にも言及され、日本人警官の 家族のちょっと意外な行く末や、生き残った現地の人々の数 奇な運命なども紹介される。そこにもまたドラマが存在して いたものだ。 さらに本作では、セデック・バレの人々が暴動を起こすに至 る背景も正確に語られ、単に軍や警察の横暴だけではない、 文化の違いに根差した行き違いなども判り易く説明され、そ の難しさなども紹介されている。 その一方で本作では、暴動の結果として元の居住地を追われ た現地人の親子が祖先の土地を訪ねる旅も紹介され、そこで は現地の言葉を聞き取ることはできても話すことはできなく なっている息子たちの様子なども描かれる。 それは一時は日本語であり、その後は北京語で行われている 教育の問題もあるようで、民族文化の保護の面からも早急な 対処が必要と感じられたものだ。たとえそれが首狩りの蛮族 と言われた人々であったとしても…。 ダーション監督の『セデック・バレ』を観た人には、本作は 必ず観て欲しい作品。本作を先に観た人はその後にでもダー ション監督の作品も観て欲しい。両方を観て初めて事件の全 容を理解できる感じがした。 公開は8月23日から、東京は新宿K'sシネマにて開催される 「台湾巨匠傑作選」の1本として上映される。 なお「台湾巨匠傑作選」ではダーション監督の『セデック・ バレ』も上映される他、ホウ・シャオシェン、エドワード・ ヤン、アン・リー監督らの作品が上映される。
『エアポート2014』“Airplane vs Volcano” 今年4月に『メガ・シャークVSメカ・シャーク』を紹介した アメリカのジャンル系映画会社The Asylumの作品が、「アサ フェス」と称して8本まとめて劇場公開されることになり、 その内から日本初紹介となる本作などを鑑賞した。 物語の主な舞台はハワイ諸島のとある島に向い飛行中だった 旅客機の機内。ところが目的地の島が突然大噴火を起こし、 着陸地を失った飛行機はオートパイロットによりその地点を 中心にした円周を巡ることになる。 しかも被災時に機長と副操縦士が死亡。機長が暗証をセット したオートパイロットは解除不能。そして操縦は、今までは 6人乗りしか経験のない素人パイロットに委ねられ、火山弾 を避けながらギリギリの飛行となる。 一方、その状況は米軍のレスキュー部隊にも伝えられるが、 多くの隊員の犠牲が予測される救出作戦に司令官は島民避難 の優先を理由にして出動要請を却下。さらに地下に溜まった エネルギーは次の大爆発で甚大な被害が予想され… という究極の状況の中でのサヴァイヴァル劇が展開される。 しかも映像的には、そこいら中が噴火している中を飛行する 旅客機という正に地獄絵図。これがCGIで迫力満点という か、外連味たっぷりに描かれている。 お話自体は如何にもありそうな展開で、登場人物もステレオ タイプそのもの。しかも後半に繰り広げられるドラマは唖然 というか、「ああやっちゃた」という感じで…。でもこれが サーヴィス満点のエンターテインメントなのだ。 先に紹介したリーアム・ニースン主演作みたいに真面目では ないけれど、これはこれで精一杯やっている感じがする。と にかく観客を楽しませたい、そんな作り手たちの頑張りが微 笑ましくも感じられる作品だ。 公開は8月2日から、東京は新宿シネマカリテにて開催され る「アサフェス」の1本としてレイトショウ上映される。
「アサフェス」では、本作と上記の『メガ・シャークVSメカ ・シャーク』の他、以下の作品も上映される。 『バトル・オブ・アトランティス』“Atlantic Rim” 原題を見れば判る通りの、2013年7月紹介『パシフィック・ リム』の模倣作品。オリジナルと同じく巨大パワードスーツ で怪獣と闘うお話だが、設定と人間ドラマがあまり融合して おらず、パロディと呼ぶのもちょっとかな。 『ゾンビ・アルカトラズ』“Rise of the Zombies” サンフランシスコ湾の監獄島に取り残された人々と、都市部 に蔓延するゾンビとの戦いを描いた作品。2013年9月などで 紹介の『ウォーキング・デッド』に似た展開で、お話もそこ そこ考えられている。マリエル・ヘミングウェイ、ダニー・ トレホらの出演者の顔ぶれも揃っていた。 『ダイナソーin L.A.』“Age of Dinosaurs” 『ジュラシック・パーク』の模倣作品。遺伝子研究で再生医 療に貢献してきた企業が、さらに恐竜の再生を試みる。しか し功をあせった研究者が凶暴な生物の暴走を招いてしまう。 お話はまずまずという感じで、恐竜もよく動いていた。 『シャークネード』“Sharknado” 先月紹介した『イントゥ・ザ・ストーム』+『ジョーズ』と いった感じの作品。巨大竜巻がロサンゼルスを襲い、竜巻に 吸い上げられたサメの群れが上空から人々に襲い掛かる。何 ともはやというお話だが、それなりのエンターテインメント にはなっていた。ヒロイン役を『アメリカン・パイ』シリー ズのタラ・リードが演じている。 なお「アサフェス」では、この他に『スリーピング・ビュー ティ』『バトル・オブ・バミューダトライアングル』という 新作の上映も予定されているが、これらはまだ素材が到着し ていないとのこと。機会があったら後日紹介したいものだ。
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