| 2013年08月30日(金) |
ゲキ×シネ:シレンとラギ、アルカナ、サカサマのパテマ、サプライズ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ゲキ×シネ:シレンとラギ』 昨年11月に『髑髏城の七人』を紹介した劇団☆新感線の舞台 をHD撮影した作品=ゲキ×シネの第11作。このページでは 2009年12月『蜉蝣峠』、2010年8月『蛮幽鬼』、2011年4月 『薔薇とサムライ』、そして『髑髏城の七人』に続いて6作 目の紹介になる。 物語の舞台は、何時とは知れない時、何処とは判らない国。 その国には南北二つの王朝があり、幕府と呼ばれる北の王朝 では、先王の十三回忌が営まれようとしていた。そこに教団 と呼ばれる南の王朝で20年まえに暗殺されたはずの教祖が復 活したとの一報が伝えられる。 その暗殺は暗殺者民族の末裔という女性シレンにより実行さ れたもので、シレンは「愛の毒」を使って証拠を残さず仕留 めたはずだった。そのためシレンが再び呼ばれ、彼女は自ら に憧れる若者ラギを伴い南の王朝へと出立するが…。2人の 前に複雑な陰謀と、厳しい運命が立ちはだかる。 出演は、劇団☆新感線の舞台は2度目の永作博美と、初参加 の藤原竜也、高橋克実。さらに古田新太、橋本じゅん、高田 聖子ら、常連の面々が脇を固めている。脚本は中島かずき、 演出いのうえ・ひでのりによる「いのうえ歌舞伎」の一編。 過去に紹介したゲキ×シネでは、いつも強烈な群舞や激しい 殺陣が注目されたが、本作では勿論それも堪能できるが、そ れにも増して人間模様が克明に描かれる。特に題名でもある シレンとラギの関係は、映画で企画されたら実現が難しかっ たかもしれない。それが演劇として提示される。 そしてそれを演じる永作と藤原がまた見事になもの。ゲキ× シネではいつも客演の俳優たちが、普段のテレビや映画では 観られない役者振りを見せてくれるが、高橋も含めた今回の 客演者たちも、正にこれだと思わせる。これを実際には生の 舞台で演じているのだから、これは見事だ。 そう言えば、前々回紹介した『許されざる者』では小池栄子 が娼婦のリーダーを演じていたが、それは『髑髏城の七人』 の彼女を髣髴とさせた、このような映画へのフィードバック があると、それも嬉しいものだ。 舞台面を写したHD作品は、他にも紹介しているが、本作は 単なる記録ではなく、さらに新たなジャンルを目指している ように感じられる。それは俳優のアップなど、舞台では観客 に判らないような部分まで捉えられているもので、敢えてそ こまで演出してゲキ×シネにしているようだ。 また本作の音響では、ハリウッドの『ハリー・ポッター』な どを手掛けたスタッフも動員されているそうだ。
『アルカナ』 ヤングジャンプ連載、小手川ゆあ原作コミックスの映画化。 2009年8月に紹介した三池崇史監督『ヤッターマン』などの 助監督を務めた山口義高による監督デビュー作品。 物語の発端は連続して起きた大量殺人事件。主人公はその事 件を追う刑事。しかしその刑事は、子供の頃から自分だけが 見える謎の存在に悩んでいた。ただしその存在により、事件 をいち早く知ることも出来るのだが…。 物語の背景は、霊魂が存在し、それを見ることのできる人間 もいる世界。そこで連続殺人事件が起こり、それには人間の 分身が関っているらしい。そして主人公と同様に霊魂を見る ことのできる女性が殺人現場で拘束される。 一方、警察には超常現象の関る事件を専門に扱う部署「お宮 係り」があり、主人公が追う事件にもその連中が介入してく る。果たしてその女性は事件の真犯人なのか。そして事件の 真相は? 出演は、昨年6月紹介『王様とボク』などの中河内雅貴と、 2010年12月紹介『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!べリ アル銀河帝国』の土屋太鳳。土屋は前作ではまだ子役だった が、本作ではヒロイン役だ。 他に谷村美月、岸谷五朗。さらに今年の舞台「ミュージカル 黒執事」などの植原卓也、2010年3月紹介『さんかく』など の谷口一、1999年『救急戦隊ゴーゴーファイブ』などの谷口 賢志、ベテラン俳優の野口雅弘らが脇を固めている。 また、中国武術やテコンドー、空手などが特技という若手俳 優Kaitoのスクリーンデビュー作にもなっているようだ。脚 本は、監督と2001年『火星のカノン』などの及川章太郎が共 同で担当。 『シックス・センス』や何やかやがごった煮の感じの作品だ が、監督が三池監督の助監督だった人の作品らしく、中には アクションもあるし、そこにある程度のスプラッターも入れ て、それらはエンターテインメントとして楽しめる。 ただ、監督もデビュー作というところで低予算ではあるし、 それなりの作品という感じかな。でもまあ、雰囲気の演出な どはそれなりに出来ていたし、この調子でやってもらえれば 今後の作品にも期待は持てる感じがした。 なお、本作に関連してKaitoが演じる分身みちるの前日譚を 描くスピンオフ作品が、先にCS/BSで紹介されている。 ただし3Dで製作されているその作品には、本作の主演の中 河内雅貴と土屋太鳳は出ていないようだ。
『サカサマのパテマ』 2008−09年に発表された『イヴの時間』という作品で、東京 アニメフェア2010にてOVA部門優秀賞を受賞している吉浦 康裕監督の最新アニメーション作品。 今年6月紹介『アップサイドダウン/重力の恋人』に続く、 2重の重力方向を持つ世界を描いた作品。どちらが先に発想 されたかは不明だが、見事に内容は競合したものだ。 その世界では以前に大きな災害が起き、地上の一部の重力が 突然反転して巨大なビル群が空に向かって「落下」したとい う。それから何世代もが経った時代のお話。 主人公は迷宮のような地下世界に暮らす少女。彼女は先代長 の娘らしいが、長老たちが止めるのも聞かず、今日も禁断地 区で冒険を続けている。彼女の憧れは、そんな禁断地区から 別世界に行ったという冒険家の男性だ。 そして彼女は、禁断地区の上下に連なる巨大な孔から新たな 冒険の途へと足を踏み出す。その彼女が辿り着いたのは足元 に青空の広がる世界。しかもそのままでは空に向かって落下 する彼女を助けたのは、その世界に住む少年だった。 こうして異なる重力方向を持つそれぞれの世界に暮らす少年 と少女が出会い、2人の驚くべき冒険が始まる。しかもそこ には2つの世界の成因に関る大きな謎が隠されていた。 6月の作品では、映画の始まりで舞台となる世界の細かな説 明があったが、本作ではその点は無視。巻頭で空に向かって 「落下」して行くビル群が描かれ、取り敢えずそういう世界 だということで物語は進められて行く。 でもまあそれが何となく説得力があったものだ。ただし映画 を観ている間はいろいろと疑問も生じていたのだが。実は試 写の前に封印されたチラシを渡されて、試写後にそれを開い てみて疑問は氷解。実に巧みに構築されていた。 それは実に見事な世界の設定で、6月の紹介ではいろいろ疑 義も唱えたが、本作ではそういう点も生じない。ただ、出来 ればそれを映画の中だけで理解できるようにして欲しかった かな。でもそれはない物ねだりになりそうだ。 声優は、『スマイルプリキュア』などの藤井ゆきよ、『青の 祓魔士』などの岡本信彦。他に大畑伸太郎、ふくまつ進紗、 加藤将之、土師孝也らが脇を固めている。 物語は吉浦監督が原作と脚本も手掛けたもので、宮崎アニメ にも通じる大空への憧れも感じさせる作品。これが将来的に 戦闘機などに向かないことを願いたいものだ。 なお音楽を『鋼の錬金術師』などの大島ミチルが担当してい るが、ロシア人の歌手による主題歌の歌詞はエスペラント語 で歌われていたようだ。
『サプライズ』“You're Next” 7月に公開されたホラーオムニバス『V/H/Sシンドローム』 で中核となる“Tape56”のセグメントを担当していたアダム ・ウィンガード監督、サイモン・バレット脚本による作品。 両親の結婚35周年を祝うために集まった10人の家族。しかし 集まった兄弟たちの関係はあまり芳しくないようだ。そこに アニマルマスクを被った集団が侵入し、惨劇が繰り広げられ る。ところが参集者の中の1人の女性が反撃を開始したこと から事態は思わぬ方向に…。 巻頭に隣家の住人の襲われる描写があって、2008年9月紹介 『ファニー・ゲームU.S.A.』に触発された作品かと思ってい たら、そこからの展開が正しく「サプライズ」だった。特に 結末に持って行く流れは何ともはや…。これならアメリカで 喝采を浴びたというのも頷ける。 因に上記の『V/H/Sシンドローム』は、試写は見せて貰った ものの僕的には評価が芳しくなくて、ここでの紹介は割愛し た。でもその中で“Tape56”はそれなりだったかな。ただし あくまでも狂言回し的な部分なので、これでの評価は出来な かったものだ。 そんな監督と脚本家の作品だが、実は米国のデータベースに よると本作の製作は2011年、つまり『V/H/Sシンドローム』 より前の作品で、オムニバスは本作の評判から繋がって作ら れた作品だったようだ。ただし本作の一般公開はアメリカも 今夏でフィルム上の著作権の表記は2013年になっていた。 出演は、2003年3月紹介『ブルークラッシュ』を基に2011年 に公開された“Blue Crush 2”に出ていたというシャーニ・ ヴィンスン。他に『V/H/Sシンドローム』には監督として参 加のタイ・ウェストらが脇を固めている。 登場する一家の主が軍需産業に関る大金持ちだったり、侵入 者に対して反撃に出るのが闘うヒロインだったり、観客の喝 采を浴びるのには格好の題材が揃えられている。そして結末 のつけ方、これも間違いなく観客には好評だろう。そんなも のが巧みに組み合わされている作品だ。 因に米国のデータベースでのジャンル分けはコメディ/ホラ ー/スリラーで、コメディが先頭になっている。ただし演出 はホラーの感覚で、それは見事に描かれていた。 なお本作は、2011年のオースティン・ファンタスティック・ フェストで最優秀監督賞、最優秀作品賞、最優秀ホラー映画 女優賞(シャーニ・ヴィンスン)、最優秀脚本賞を受賞、他 に観客賞の第2位に輝いている。また、同年のトロント国際 映画祭でも観客賞の第2位を獲得したようだ。
(あと数本を後日追加します)
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