| 2013年07月20日(土) |
ローン・レンジャー、共喰い、おしん、ストラッター、美輪明宏、マッキー、セブン・サイコパス、私は世界の破壊者となった(書籍) |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ローン・レンジャー』“The Lone Ranger” 『POTC』のジェリー・ブラッカイマー製作、ゴア・ヴァービ ンスキー監督、ジョニー・デップ主演のトリオが再び顔を揃 えて贈る往年の人気テレビシリーズからの映画化。今年夏の ディズニー映画の掉尾を飾る2時間30分の超大作。 物語の背景は、19世紀半ばの西部。鉄道の敷設が進み未来の 波が押し寄せようとする未開の地で、白人とインデアン、盗 賊団とテキサスレンジャー、さらには騎兵隊や怪しげな娼館 の女主人、事件の陰に潜む巨悪も絡んでの壮大な物語が展開 される。 お話は、東部で法律を学んだ青年が開通したての鉄道で故郷 に帰ってくるところから始まる。その列車では極悪人のキャ ヴェンディッシュも護送中で、その奪還を目指す悪党一味に 列車が襲われる。この時、主人公は同乗していたインデアン と共に獅子奮迅の活躍で最悪の事故は防ぐのだが… 映画は、のっけから巨大な蒸気機関車の暴走で始まり、最後 までほぼこの鉄道にまつわるアクションが展開される。この ためロケ地には全長8km、一部複線のレールが敷設され、迫 力を増すため実際より大きく建造されて時速64kmで走行可能 な機関車を使って撮影が行われているとのこと。さらに転覆 シーンも実物大の車両をワイアーで操演しているそうだ。 なおプロローグとエピローグ、それに中間にも1933年のサン フランシスコが登場するが、この年号はアメリカのラジオで オリジナルのドラマ放送が始まった年。映画はそこには触れ ないが、思わずニヤリとしたところだ。 原案と脚本は、『POTC』のテッド・エリオットとテリー・ロ ッシオ、それに今回は2008年『レボリューショナリー・ロー ド』などのジャスティン・ヘイズが原案と脚本で参加。全体 は『POTC』のスケール感がそのまま西部に再現された感じの アドヴェンチャー・ストーリーになっている。 共演は、タイトルロールをアーミー・ハマーが演じる他に、 ヘレナ・ボナム=カーター、トム・ウィルキンスン、ジェー ムズ・バッジ・デール、ウィリアム・フィクトナー。さらに 今年1月紹介『アンナ・カレーニナ』が映画デビューのルー ス・ウィルスン、子役で本作が映画デビューのブライアン・ プリンスらが脇を固めている。 5月20日付で特別映像を紹介した時には、主人公のテーマ音 楽である「ウィリアム・テル序曲」がどこで使われるか気に なっていた。それがエンドロールに流れるのは予想通りだっ たが、もう1箇所、正に絶妙という感じでその曲が流れたの には、思わず全身の毛が逆立つ感じだった。 勿論これは往年のテレビシリーズに思い入れのある人に限ら れるが、僕はその音楽を聴くためだけにも、もう1度映画館 に足を運びたくなる、そんな感じがしたものだ。
『共喰い』 2007年8月紹介『サッド ヴァケイション』などの青山真治 監督の新作。 青山監督の作品では、デビュー作『Helpless』とカンヌ受賞 作の『EUREKA』、そして『サッド ヴァケイション』 までを、監督の出身地である北九州市が舞台の「3部作」と するようだが、本作は北九州市門司区の対岸下関を舞台に、 これも奥深い人間ドラマが描かれている。 主人公は、父親とその愛人と共に暮らす高校生。生みの母親 も近くに住んでいるが、その母親は戦災で片手の手首から先 が無かった。そんな母親は戦後に父親と結婚し主人公を産ん だが、主人公を残して家を出たのだった。 そして主人公には同級生の恋人がいて、彼女とは肉体関係も あったが、主人公はある不安に苛まれていた。それは母親と の離婚の原因でもある父親の危険な性癖のこと。そしてその 血は自分にも確実に流れていた。 男の暴力に耐えながらしたたかに生きて行く女たち。しかし その忍耐が限界を超えたとき、女はさらに偉大な力を持って 男を圧倒する。そして時代は、昭和から平成に変わろうとし ていた。 出演は2011年2月紹介『高校デビュー』などの菅田将暉と、 2006年アミューズオーディションでグランプリの木下美咲が 若いカップルを演じ、他に光石研、篠原友希子、田中裕子ら が脇を固めている。 物語は田中慎弥の同名小説によっているが、原作はそのまま 撮っても長編映画にはならない長さだったそうで、本作はそ の原作から2011年6月紹介『大鹿村騒動記』などの荒井晴彦 が見事な脚色を施したものになっている。 その脚色は、脚本家曰く「ロマンポルノにしたかった」のだ そうだが、監督の青山もその意向を受けて、見事に昭和のロ マンポルノの味わいを作品に描き込んでいる。この脚色には 原作者も脱帽したそうだ。 そして俳優たちも見事にその意気を感じさせる演技を披露し ているものだ。特に木下が、数回ある過激なシーンも体当た りで見事に演じきっているのには感心した。また三石のサイ コぶりも良かった。
『おしん』 1983〜84年に放送されて一世を風靡、その後は東南アジアを 中心に世界にも発信された連続テレビ小説の映画化。 正直に言って「何を今さら」という感じで、高を括って試写 を観に行った。しかし巻頭の幼い少女が吹雪の中を歩いてく るシーンには「何かが始まりそうだ」という予感を抱かせ、 以後の展開は現代にも通じる定番の感動が描かれていた。 映画の物語はオリジナルテレビシリーズの前半、主人公おし んの幼少期を描くもので、7歳にして奉公に出され、様々な 苦労の中で人との出会いや別れが描かれる。その中には日露 戦争を背景にした脱走兵などもいて社会性も描かれる。 ただまあ、全体はオリジナルのダイジェストであって、それ は多少深みに欠ける感じもするが、今さらオリジナルの再放 送を観る時間もない者には、これで充分に作品を味わえるも のになっている。 因に僕はオリジナルのシリーズをちゃんとは観ていないが、 それでも知っているような名場面の連続で、観ていてなるほ どと思えるような作品になっていた。それは各シーンが見事 に再現されているということでもある。 ただしおしんの出立のシーンは、オリジナルは奇跡的な晴れ の天候で撮影されたと伝えられるが、本作では雪が降りしき る中。その映像がより強く主人公の行く末を暗示しているよ うで見事だった。 出演は、おしん役に約2500人のオーディションから選ばれた という濱田ここね。その両親役を上戸彩と稲垣吾郎。また昨 年の「美少女コンテスト」で審査員特別賞の井頭愛海。そし てオリジナルでおしんの母親役を演じた泉ピン子。 さらに岸本加世子、小林綾子、吉村実子、満島真之介、乃木 涼介、ガッツ石松らが脇を固めている。 監督は、2008年2月紹介『あの空をおぼえている』などの冨 樫森。以前から子役の扱いは上手い監督と承知していたが、 本作でも見事にその手腕が発揮されている。因に監督は山形 県の生まれだそうで、その故郷にかける思いも本作には反映 されているようだ。
『ストラッター』“Strutter” 昨年の東京国際映画祭「world cinema」で上映された作品。 1992年『ガス・フード・ロジング』などで知られるアリスン ・アンダース監督がカート・ヴォスと共同で監督し、1987年 『ボーダー・レディオ』、1999年“Suger Town”に続く3部 作の完結編となっている。 なお本作の製作には、クエンティン・タランティーノ、ガス ・ヴァン・サントらアメリカ映画界の鬼才たちが支援の輪を 広げたとのことだ。 物語は、ロッカーの男が突然恋人から別れを告げられ、さら にバンドのメムバーからも脱退宣言をされ、その失意の中で もがき苦しみながらも、徐々に自らを立て直して行こうとす る姿を描いている。 実は試写を観ていてかなりの既視感に囚われた。それで本作 は昨年の東京国際映画祭でも上映されているので、その際に 観たのかとも考えたが、昨年の鑑賞リストを見直してもそれ はなかった。 それでも既視感は変わらないのだが、本作はそのような映画 を長年観てきた者に対する親しみというか、見事に共感を呼 ぶ作品になっているようだ。そしてそれは僕にとって実に気 持ちの良い感覚だった。 そこには挫折のどん底に置かれた主人公がいて、その主人公 自身はもはややる気も失いかけているのだが、そんな気持ち が僕の胸にはストレートに響いてきて、そこから立ち直って 行く姿が心地よく感じられたものだ。 映画を観ていてこんな共感は滅多に感じられるものではない し、そんな体験も過去にはほとんど覚えがないが、本作では そんな稀有な体験をしてしまった。これは他人と共有できる ものではないが、僕の心にはいつまでも残りそうだ。 出演は、ミュージシャンで短編映画にも何本か出演している フラナリー・ランスフォードと、短編映画の監督で出演は初 めてのエリーズ・ホランダー。他はダンテ・ホワイト=アリ アーノ、クレグ・スタークら主にミュージシャンの面々が脇 を固めている。 僕は音楽のことはよく判らないが、本作には主演者も含めて ミュージシャンの出演も多く、実際に彼らが自作自演する生 の楽曲も数多く登場しているようだ。そんなミュージシャン の出演で音楽シーンを描いた作品。 元々共同監督のカート・ヴォスも自らバンドを率いていると のことで、それは音楽愛好家には音楽に対する慈愛に溢れて いると取れるようだ。そしてそれは部外者の僕にとっても全 てが心地よく、観終って全てがハッピーに感じられるような 作品だった。
『美輪明宏ドキュメンタリー〜黒蜥蜴を探して〜』 “Miwa, à la recherche du lézard noir” 最近ではテレビのヴァラエティ番組でもお馴染みのシャンソ ン歌手の姿を、フランスの映画監督パスカル=アレックス・ ヴァンサンが追った作品。 僕自身は美輪明宏が丸山明宏だった時分から知っている世代 で、ちょっと日本人離れした風貌のシャンソン歌手は、高英 男などと共に一時はテレビでもよくその歌声を聞いていた。 だからその丸山明宏が、突然「ヨイトマケの唄」を歌った時 にはかなり衝撃を受けたものだ。因に僕の子供の頃には、近 所で家の新築の時などにヨイトマケはよく行われていたし、 僕自身も遊びで綱を引かせてもらった記憶もある。 そしてその丸山が美輪に変身したのには違和感も感じたが、 今やその美輪の方が当たり前になってしまった。そんな世代 の僕にとって、この作品はかなり注目だったし、フランス人 がどう描いたかも興味津々だった。 そういう目で観て本作は、僕にとっては多少物足りない部分 もある反面、若い人や外国の人には実に上手く美輪を伝える 作品になっているように思えた。実際この作品はフランスで 紹介されたものだから、これはこれで充分と言える。 とは言うものの、例えば「ヨイトマケの唄」の誕生の経緯は もう少し詳しく聞きたかったし、『黒蜥蜴』に出演する経緯 も三島由紀夫に請われたという話は、判っていれば判るけれ ど、もう少し詳しく話して欲しかった感じもした。 その一方で、日本における同性愛差別に関しては、歴史学者 の解説も交えて説明がなされるもので、これはある意味で新 たな知見でもあって面白かったが、これを美輪のドキュメン タリーに入れることには多少の異論も生じそうだ。 でもまあそれも含めて本作は『美輪明宏ドキュメンタリー』 である訳で、その点は満遍なく描かれている。 なお作品では、横尾忠則へのインタヴューや、アーカイヴだ が映画版『黒蜥蜴』を監督した深作欣二の発言なども挿入さ れており、その制作までの経緯なども面白く興味深かった。 因に、ヴァンサン監督はこの映画版『黒蜥蜴』を観て美輪の 妖艶さに魅了され、本作を作り上げたとのことだ。 しかし美輪の舞台は『黒蜥蜴』だけではなく、ジャン・コク トーや寺山修司の作品もあるもので、それらへの言及がほと んどされていないのは、やはり本作に物足りなさを感じると ころだ。
『マッキー』“ఈగ” 昨年3月紹介『ロボット』がインド・タミル語映画でのNo.1 ヒット作、今年3月紹介『きっと、うまくいく』がヒンディ ー語のNo.1。そして本作はインド東南部テルグ語映画のNo.1 ヒット作だそうだ。 ただし、今回上映されたのはヒンディー語の吹き替え版で、 題名はそのヒンディー語によるもの。テルグ語では“eega” となる。因にテルグ語版では上映時間が145分のようだが、 今回は125分の国際版で上映された。 主人公はお調子者の貧乏青年。彼は向かいの家に住むマイク ロ・アーティストの女性に片思い中だが、彼女は恵まれない 子供を助ける慈善家でもあった。そして彼女が寄付を募るた め、とある建設会社を訪れたことから物語が始まる。 その建設会社の社長は野心家で、かなり悪どいやり口で事業 を拡張していたが、その手口の一つは持ち前にセクシーさ。 それを武器に人妻も籠絡してその夫との契約を取り付けたり している。 そんな社長が彼女に目を付ける。さらに彼女と主人公との関 係を知った社長は、自ら主人公を殺害してしまうのだが…。 ここで神の配剤か、主人公の精神がハエに宿ることになり、 主人公は非力なハエの身で社長への復讐を試みる。 という物語がCGI−VFXも満載で繰り広げられる。因にインド はハリウッドのVFX会社も支社を置くCGI−VFXの要であり、 その実力が見事に発揮されている作品だ。しかもヒーローが 小さい分、より精緻なVFXが作品を引き締めている。 出演は、映画監督を目指してアシスタント・ディレクターや ラジオのDJもしているというナーニ、タミル語映画で大型 新人とされるサマンタ・ルス・プラブ。そしてカンナダ語映 画ではトップ5に入るという人気スターで今回初の悪役に挑 戦したというスディープ。 脚本と監督は、テグル語映画界切ってのヒットメーカーとさ れるS.S.ラージャマウリ。音楽は従兄弟という血縁で監督 の全作の音楽を担当する一方、インド各地の映画200本以上 を手掛けているというM.M.キーラヴァーニ。インド音楽の 古典からヒップホップまで多彩な楽曲で物語を彩っている。 なお原題に表記したのはテルグ語のeega=英語ではFlyだと 思われるが、これ自体がハエっぽいのも面白いところだ。
『セブン・サイコパス』“Seven Psychopaths” 2008年の長編映画デビュー作“In Bruges”で、いきなり米 アカデミー賞の脚本賞にノミネートを果たしたイギリス出身 マーティン・マクドナー脚本監督による第2作。 主人公はスランプに陥っている脚本家。『セブン・サイコパ ス』という題名だけが決まった脚本を契約しているが、まだ 1行も書けていない。そんな窮状を見かねた売れない俳優の 友人が、新聞に「サイコパス募集」の広告を出すと…。 一方その友人は、アルバイトで犬の誘拐ならぬ拝借業(拝借 した犬を飼い主に返して礼金を貰う)を手伝っていたが、拝 借した犬が超危険なマフィアのボスの愛犬だったことから、 彼らに追われる羽目に陥ってしまう。 その頃、主人公の脚本家の許にはウサギの抱いた不気味な男 が現れ、男は犯罪被害者の女性を助け、全米で凶悪な連続殺 人犯らを殺しまくった過去を語りだす。そして脚本の執筆に ある条件をつけて帰っていったが… 主人公の書く脚本の中の世界と現実が入り混じって、何とも 知れない世界が展開されて行く。 出演は、コリン・ファレル、サム・ロックウェル、クリスト ファー・ウォーケン。その脇をウディ・ハレルスン、アビー ・コーニッシュ、オアルガ・キュリレンコ、トム・ウェイツ らが固めている。 また、『プレシャス』でオスカー候補になったガボレイ・シ デペやハリー・ディーン・スタントンら、多彩なカメオ出演 も登場。そして本作でデビューのシーズー犬ボニーは、その 後はCMなどにも出演する人気犬になったそうだ。 実は今回も先に紹介したインド映画で、基本はコメディ映画 なのに人が安易に殺される展開が気になった。その前にも以 前の作品は評価したアメリカのコメディシリーズで、3作目 はやたらと人が殺されて辟易したこともある。 それが今の世界の映画の傾向なのかとも思ってしまうが、そ の点で言うと本作もその傾向の作品だ。ただし本作の場合は 元々のテーマがサイコパスである訳で、それが許せるという か、これこそが本物、まがい物はそこ退けという感じなのも 見事な作品だった。 ここまでやってくれれば、逆に爽快感も出てくるくらいのも のだ。そしてその殺しのシーンにも過去の様々な名作を参考 にしているとのことで、脚本の世界と現実の世界が入り混じ る複雑な物語を見事に映像化している。 脚本家が主人公で虚構と現実が入り混じるお話では、2003年 5月紹介『アダプテーション』など気に入っている作品もい ろいろあるが、その中にまた愛すべき作品を観たようだ。
『私は世界の破壊者となった』 “Trinity: A Graphic History of the First Atomic Bomb” 本作は書籍で、すでに販売もされているものだが、本を贈呈 されて読んでみたら、将来映画化されても面白いと思わせる 作品だったので、その期待も込めてここで紹介する。 物語は、原題にある通りの人類最初の原子爆弾を巡る出来事 を、残された文献や関った人々が当然したであろう発言など で描いて行く。そこにはキーパースンとしてJ・ロバート・ オッペンハイマーやトルーマン大統領も登場するが、全体と してはキュリー夫妻の研究から説き起こして原子爆弾開発の 歴史があらゆる側面から描かれているものだ。そしてそこに は原子力に潜在する危険性が克明に描かれていた。 しかも作品は、前半では時間軸を前後に振りながらその瞬間 に向かってドラマティックに展開されており、その映画的な 構成も巧みなものになっている。それが本作を映画化しても 面白いと思わせるポイントだ。実際に前半何度か挿入される その瞬間までのカウントダウンと各エピソードとの転換は、 このままアニメーションにして観てみたいと思わせた。 内容的には、理科系で僕らの年代の人間だとすでに聞き知っ ている情報も多かったが、改めて整理されて提示されると理 解も進むし、新たな視点で見られるのも有難かった。そして このような歴史に興味を持たない人にも、今の自分たちの置 かれている状況を知るという意味で、是非読んで欲しいと思 わせる内容だ。 それくらいにこの作品は原子力のことを本質的に描いている し、我々が今どういう状況にいて、これからどうすべきかを 考えさせる作品だ。だから興味のない人にもこの本は是非手 に取って貰いたい。いや手に取らないならアニメーションに でもしてより多くの人に観せたいものだ。 原著者はジョナサン・フェッター・ヴォーム。スタンフォー ド大学で歴史学を学び、古典文学や自然科学書をグラフィッ ク・ノヴェル化して出版する事業を興したという作者の年齢 は本書の紹介文では明らかにされていなかったが、別のイン タヴューで、「冷戦の最初の記憶がベルリンの壁の崩壊」と 語っているからかなり若い人のようだ。そんな人が原子力の 脅威を真剣に捉えた物語だ。 日本版は翻訳:内田昌之、監修:澤田哲生、出版:イースト プレス。因に翻訳では原著に数箇所の誤りが見つかり、それ らはフィードバックした上で訂正されているそうだ。 また本書は、書店によって科学や歴史など様々な棚に置かれ ているということで、探すのに多少手間取りそうだが、是非 手に取って貰いたい本だ。
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