| 2012年04月22日(日) |
ミッシングID、孤独なツバメたち、一枚のめぐり逢い、MY HOUSE、フェイシズ、フライペーパー!、Hell、ラム・ダイアリー+Sin City |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ミッシングID』“Abduction” 『トワイライト』シリーズで人気者になったテイラー・ロー トナーの単独主演によるサスペンス・アクション作品。 主人公は自分は普通だと思っている高校生。しかし夜ごとに 目の前で女性が殺される夢を観て精神科医の治療も受けてい る。そんな彼が学校の宿題で同級生の女生徒と共にネットを 閲覧していたとき、彼は行方不明者の捜索サイトに自分の幼 い頃の写真を発見する。 それまでも目の前で殺される女性が母親と感じていた主人公 は、そのことを両親と称してきた男女に問い詰めるが…。突 然素性の不明な男たちが侵入し、男女が殺害され、主人公は 女生徒と共に逃亡を余儀なくされる。 そこにはCIAと名告る男からの電話も掛かり始め、様々な 協力者も現れる。そして主人公は、父親と名告っていた男か ら格闘技の術も叩き込まれていた。 共演は、ミュージシャンのフィル・コリンズの娘で昨年7月 紹介『プリースト』などのリリー・コリンズ、『ハリー・ポ ッター』シリーズにも出演したジェイスン・アイザックス、 2008年2月紹介『ジェイン・オースティンの読書会』などの マリア・ベロ。 さらにアルフレッド・モリナ、シガーニー・ウィーヴァー、 スウェーデン版『ミレニアム』に主演のミカエル・ニクヴィ スト、2010年1月紹介『バッド・ルーテナント』などに出演 のデンゼル・ウィティカーらが脇を固めている。 監督は、1991年『ボーイズ’ン・ザ・フッド』で史上最年少 (24歳)のオスカー監督賞候補になったジョン・シングルト ン。脚本は、本作がデビュー作だが短編映画監督でもあるシ ョーン・クリステンセンが担当した。 製作に『ジェイスン・ボーン』シリーズを手掛けるパット・ クローリーが参加しており、本作もその流れを継ぐ作品とい う宣伝がされている。確かに自分のアイデンティティーを探 すという点では同じ傾向の作品だ。 ただし本作では主人公が高校生という、さらに微妙な設定と なっており、脚本はその点を極めて巧みに消化していた。こ の脚本家には今後も注目したいところだ。
『孤独なツバメたち』 ブラジルからの出稼ぎ労働者の子として日本で生まれたり、 幼い頃に日本に連れてこられ、日本で成長した日系ブラジル 人の若者たちを追ったドキュメンタリー。 2008年のリーマンショック以降、破綻した日本経済の中で多 くの海外からの出稼ぎ労働者が解雇され、日系ブラジル人労 働者の多くが帰国した。そこには日本で生まれ育った子供た ちも数多く存在した。 作品は、浜松学院大学の学生と日系ブラジル人の若者たちを 中心に設立されたMinority Youth Japanを通じて製作され、 同大学教授の津村公博が監督・撮影・プロデューサーとして 参画。さらに2006年の劇映画『ハリヨの夏』などの中村真夕 の監督・撮影・編集によって完成されている。 映画の内容では、リーマンショック以前の浜松での状況に始 まり、ショック以降の両親と一緒にブラジルに戻らざるを得 なかった子供たちの暮らし振りが、ブラジルでの取材も含め て描かれる。 そこには、日本で生まれ育ったにも拘らず、日本国籍を持た ないために義務教育の恩恵も受けられず、中卒若しくは中学 中退で働き始めたまだ若い男女の、その給与からは税金も支 払われていたのに同等の権利を得られない法律の理不尽さな ども描かれる。 そんな彼らを搾取し続けた日本社会の素顔は、僕自身も含め た日本人に対して厳しく突きつけられる現実の姿なのだ。 しかしそんな状況の中で暮らした彼らが、日本で中卒ゆえに 受けた差別の悔しさなどを糧にブラジルに帰って勉学に励む 姿などは、日本での経験が活かされているとも言えるし、そ んな向上心がこれからのブラジルを支えるのかも知れない。 さらに日本でヒップホップダンスに興じていた若者が、祖国 のスラム街ファヴェーラで子供たちを集めてチームを作り、 それで世界大会に出場し日本に凱旋する夢を語ったり、また 日本に残した恋人を想う姿などは、様々なドラマも感じさせ るものだ。 しかも彼らが、日本やブラジルに帰ってからの苦労を、祖先 がブラジルに渡った頃の苦労に比較して話す姿は、今の日本 人に一番失われてしまったものがそこに息づいている感じも 抱かせた。
『一枚のめぐり逢い』“The Lucky One” 2004年11月紹介『きみに読む物語』などのニコラス・スパー クス原作小説の映画化。 物語の始まりは中東と思われる戦場。そこで主人公は女性の 写った1枚のスナップ写真を拾う。それは瓦礫の中で日光を 反射して彼の目に止まったものだが、それを拾いに行った彼 の直前までいた場所が爆撃され、彼は九死に一生を得る。 そしてその後も彼に幸運をもたらした1枚の写真を胸に帰国 した主人公は、その写真の主を求めて町々を訪ね歩き、遂に その女性の所在を突き止めるが…。バツ1でシングルマザー の彼女にその事実を告げる機会を失ってしまう。 それでも胸に秘密を抱えたまま女性の経営する犬の訓練施設 で働き始めた主人公は、徐々に彼女との生活にも魅かれて行 く。しかしそこには様々な障害も待ち受けていた。 スパークス原作の映画化は、1999年の『メッセージ・イン・ ア・ボトル』以来数々観ているが、まあ正直に言ってメロド ラマの典型。ベストセラーや大ヒット映画の理由は判るが、 それが僕の琴線に触れることは中々無かった。 しかし本作では、プロローグの戦闘シーンに始まって、写真 に秘められた謎の設定などが他の作品よりは面白く感じられ たもので、それなりに楽しんで観ることが出来た。ただしラ イヴァルとの絡みなどは多少やりすぎかなとは感じたが。 主演は、2011年12月紹介『ニュー・イヤーズ・イブ』などの ザック・エフロンと、サイトでは2005年7月15日付の第91回 などで製作情報を紹介し、2011年に全米公開された“Atlas Shrugged”などに主演の新進女優テイラー・シリング。 他に、2011年10月紹介『宇宙人ポール』などのブライス・ダ ナー、同年2月紹介『キラー・インサイド・ミー』などのジ ェイ・R・ファーガスン、数多くの人気シリーズにゲスト出 演している子役のライリー・トーマス・ステュアートらが脇 を固めている。 脚本は2011年6月紹介『リメンバー・ミー』のウィル・フェ ッタース。監督はオスカー候補になった1996年『シャイン』 や、2007年8月紹介『幸せのレシピ』などのスコット・ヒッ クスが担当した。
『MY HOUSE』 今月初めにドキュメンタリーの『モバイルハウスのつくりか た』を紹介している建築家・坂口恭平の原作をドラマ化し、 2010年4月紹介『BECK』などの堤幸彦が監督した作品。 脚本は、堤演出のテレビドラマ『スシ王子!』などの佃典彦 が担当した。 元々監督が2007年に雑誌に載った建築家の紹介記事を見て映 画化を思い付き、その後は建築家自身にも会って5年掛けて 作り上げた作品。その間に堤監督は『銀膜版スシ王子!』や 『20世紀少年』3部作なども撮っており、その裏でしっかり 練られた作品のようだ。 物語は、名古屋の公園に小屋を建てて生活しているホームレ スが主人公。その小屋は追い立てが来れば何時でも分解して 移動できるようになっており、映画は1台の自転車で運んで きた部品で小屋を組み立てるシーンから始まる。 そんな主人公が金を稼ぐ手段は空缶集め。毎日朝夕4時間づ つを掛けて町を巡り、放置された空缶などを回収している。 そして集めた空缶はアルミ相場なども参考にして回収業者に 持ち込み、日々の稼ぎを得る。 そんな主人公の周囲には素性の不明な女性や画伯と自称する 老人、さらに元は教師という男性らがホームレスとして暮ら している。そして行政から派遣される係官との応対や、集め た空缶を盗もうとする輩、ホームレス狩りなども描かれる。 それは悪天候の日も続けられる1日8時間の労働など、生活 としては楽なものではないが、主人公は何より自由を謳歌し ている。そんなホームレスの哲学みたいなものも描かれてい る作品だ。 因に主人公の名前は鈴本。これが『モバイルハウス』に登場 する鈴木氏であることは明らかだが、映画の中で主人公が行 っている空缶集めや、それに纏わるエピソードなども鈴木氏 の体験に基づくようだ。 出演は、名古屋在住フォークシンガーのいとうたかお。その 脇を石田えり、木村多江、板尾創路、それに本作のオーディ ションで選ばれた愛知県在住の中学生の村田勘らが固める。 なお映画に登場する小屋は坂口氏の設計によるものだそうだ が、先に『モバイルハウス』を観ているとその構造などが実 に判りやすかった。逆に、『モバイルハウス』では判らなか った部分が本作で理解できることもあり、この2作は併せて 観るのが正解のようだ。
『フェイシズ』“Faces in the Crowd” ミラ・ジョヴォヴィッチ主演で、シリアルキラーの顔を見た ものの、その後の衝撃で相貌失認=人の顔が判別できない症 状に陥ってしまった女性の恐怖を描いた作品。 主人公は、小学校で低学年を受け持つ女性教師。独身生活を エンジョイしているが、付き合っている男性のプロポーズを 待っている身でもある。そんな彼女が親友の女性2人と飲ん での帰宅中。シリアルキラーの犯行を目撃してしまう。 そこで犯人の顔を見た主人公は息を潜め隠れるのだが、無情 にも携帯電話が鳴りだし、犯人に追い詰められた彼女は橋か ら転落して頭を打ってしまう。そして昏睡から醒めた彼女の 前には見知らぬ男女が心配そうに顔を覗き込んでいた。 そこにいたのは婚約者と親友の女性2人。しかし彼女は人の 顔を判別できない症状に陥っていたのだ。こうして目撃した 犯人が目の前にいても判別できない…前代未聞の恐怖が彼女 を襲い始める。そして犯人の魔の手が徐々に迫っていた。 監督は、2002年12月紹介『ブラディ・マロリー』などのジュ リアン・マニャ。本作は学生時代に心理学の授業で「相貌失 認」という症状を聞いて以来温めてきたアイデアだそうで、 監督は自ら脚本も執筆しているものだ。 共演は2006年11月紹介『ラッキーナンバー7』などのセバス チャン・バーツ、2011年12月紹介『ウォーキング・デッド』 などのサラ・ウェイン・キャリーズ、テレビ『スターゲイト SG−1』などのマイクル・シャンクス。 さらに2009年4月紹介『トランスポーター3』に出演のデイ ヴィッド・アトラクチ。そして2006年12月紹介『マリー・ア ントワネット』にも出ていたマリアンヌ・フェイスフルらが 出演している。 ただし主人公が顔の判別を出来ないという設定なので、主な 登場人物は複数の俳優によって演じられており、映画データ ベースの配役表はかなり面白かった。 犯人の顔の判別が出来ないことによるサスペンスが中心の作 品だが、そんな状況でも強く生きようとするヒロインが巧み に描かれており、さらにそれによって生じる様々な現象など も興味深く描かれていた。
『フライペーパー!』“Flypaper” 2010年4月紹介『ハングオーバー!』で世界的な大ヒットを 記録したジョン・ルーカスとスコット・モーアのコンビによ る脚本を、2004年3月紹介『ホーンテッド・マンション』な どのロブ・ミンコフ監督が映画化した作品。 主演は、2004年8月紹介『ツイステッド』などのアシュレイ ・ジャッドと、本作の製作も兼ねる2008年1月紹介『魔法に かけられて』などのパトリック・デムプシー。 その事件は閉店間際の銀行で始まる。両替客の相手をしてい た女性銀行員の前で銃声が鳴り銀行強盗が現れるのだが、何 と強盗団は2組。片やハイテクを駆使し大金庫を狙う3人組 と、他方はアロハにサンダル履きでATMを狙う2人組が鉢 合わせしたのだ。 そんな予想外の事態に2組は対峙するのだが、その時、客の 1人が射殺されてしまう。そして慌てる強盗団に対して両替 客が、それぞれの狙いが違うなら別々にやればいいと提案。 2組は銀行内にいた人々を2階のオフィスに監禁し、それぞ れの仕事を始めるが…彼らの作業は次々に不測の事態に見舞 われて行く。 一方、オフィスに監禁された両替客らは事件の推移に疑問を 感じ始め、各所に散らばる証拠などから徐々に事件の裏に隠 された真相に近付いて行く。その真相とは! 共演は、2005年12月紹介『シリアナ』などのティム・ブレイ ク・ネルスン、2005年2月紹介『コンスタンティン』などの プルイット・テイラー・ヴィンス、『ハングオーバー!』シ リーズのジェフリー・タンバー。そして今年のオスカー助演 女優賞に輝いたオクタビア・スペンサー。一癖も二癖もある 連中が脇を固めている。 ルーカス、モーアの脚本は『ハングオーバー!』より以前に 書かれていたものだそうで、監督は『ハングオーバー!』の 公開前にコンビと出会い、準備を進めていた。しかしかなり 際どい題材に製作資金が中々集まらなかったようだ。 そんなときにデムプシーの主演が決り、彼が製作者にも名を 連ねて計画を推進、さらには『ハングオーバー!』の大ヒッ トもあって映画化が実現したようだ。つまり内容的には脚本 家コンビの前作よりさらに際どい訳で、そんな際どい笑いが 満載の作品になっている。
『HELL』“Hell” 2009年11月紹介『2012』などのローランド・エメリッヒ 監督が製作総指揮を務め、監督の祖国であるドイツの若手映 画人に協力して完成させた近未来サヴァイヴァル作品。 舞台は2016年。太陽活動の変調によって平均気温が10度上昇 し、水が涸れ、草木も枯れて地球全体が砂漠のようになって しまった世界を背景に、若い男女のサヴァイヴァル劇が展開 される。 物語の中心は恋人の運転する車で妹と一緒に山岳地帯を目指 している女性。そこに行けば清水の沸く洞窟もあると考えら れている。そしてガソリンが乏しくなり、立ち寄ったスタン ドで1人の男が合流する。 やがて車は山路に差し掛かり、道を塞いで倒れていた鉄塔を 排除しようとしていたとき、乗っていた妹ごと車が何者かに 持ち去られる。それでもハンディトーキーで妹がまだ近くに いると判断した女性はその救助に向かうが… 男2人も捕えられ、1人になった女性の前に老女の住む農場 が現れる。その老女は息子に協力させると申し出るが、農場 には何か秘密があるようだった。 主演は、2007年8月紹介『4分間のピアニスト』などのハン ナ・ヘルツシュプルング。他に、2011年4月紹介『アンノウ ン』に出演のスタイプ・エルツェッグ、1997年『ブリキの太 鼓』などのアンゲラ・ヴィンクラーらが脇を固めている。 脚本と監督はティム・フェールバーグ。長編監督は初めての ようだが、過去には2本の短編と10人の共同監督による作品 が記録されている。その内の1人が今回の脚本に参加してい るようだ。そして本作では映画祭の新人監督賞も受賞してい るものだ。 舞台は、『マッドマックス』などと同様のPost Apocalypse (終末世界)だが、オーストラリアやハリウッド映画とは少 し違った終末感が描かれている。それは多少どぎつい面もあ るが、この方が現実に近いかなとも思わせるものだ。 東京での公開は6月30日より、昨年リメイク版が公開された 1978年『発情アニマル』のリバイバル公開(6月19日から) に続けてシアターN渋谷にてレイトショウ上映される。
『ラム・ダイアリー』“The Rum Diary” 2005年に他界したアメリカのジャーナリスト・作家ハンター ・S・トムプスンの原作を、トムプスンの親友であり、事実 上の葬儀委員長も務めた俳優ジョニー・デップが、自らの製 作会社インフィニタム・ニヒルの第1回作品として製作・主 演で映画化した作品。 舞台は1960年代のプエルトリコ。ニューヨークの喧噪を逃れ てこの地にやってきた主人公は、作家と称して地元の新聞社 に職を求める。そしてその履歴書や推薦状は嘘と見抜かれる が、彼は記者として雇われることになる。 その新聞社には、豪放なカメラマンや社には滅多に顔を出さ ない記者などもいて、主人公はそんな彼らとルームシェアし て南国の暮らしを始める。それは自家製の密造ラム酒にも浸 ったものだった。 そんな中、とあるパーティの取材中に海で泳ぐ美女に目を留 めた主人公は、パーティ主催者のリゾート開発業者とも知り 合いになる。しかしそれは新聞社も牛耳る開発業者の企みに 加担することだった。 こうして主人公は、有象無象が蠢く南国の裏を目撃すること になる。そして新聞社にも廃刊の危機が迫っていた。 原作はトムプスン自身の実体験にも基づいているようだが、 原作者は若い頃に書き上げた原稿をそのままトランクの底に 仕舞っていたそうだ。それを自宅に遊びに行ったデップが発 見し、その場で出版を促し映画化も検討したとなっている。 従ってデップにとっては最も愛着のある原作かも知れない。 その映画化は原作者の存命中には実現しなかったが、デップ は脚本・監督に久しく現場を離れていたブルース・ロビンス ンを引っ張り出すなど、万全の体勢でそれに臨んでいる。 共演は、2011年6月紹介『ザ・ウォード』などのアンバー・ ハード、2011年3月紹介『世界侵略:ロサンゼルス決戦』な どのアアロン・エッカート。さらに2010年10月紹介『キック ★アス』などのマイクル・リスポリ、リチャード・ジェンキ ンス、ジョヴァンニ・リビシらが脇を固めている。 デップは、本来の主人公よりは少し年上かも知れないが、ヘ ヴィなメイクもなくほぼ素顔の登場で若々しく演じている。 これでさらにファンになる人も増えそうだ。 * * 2005年7月紹介『シン・シティ』の続編が、前作も手掛け たロベルト・ロドリゲス監督の手で進められ、今年夏の撮影 で計画されていることが報告された。 オリジナルは、2007年3月紹介『300』などのフランク ・ミラー原作によるグラフィックノヴェルに基づくもので、 2005年の映画化では、ロドリゲスとミラーが共同製作、共同 脚本、共同監督で名を連ねていた。 ところがアメリカ監督協会の規定では、1本の映画の監督 の名義は1人のみとされ、共同監督は認めないという横やり が入り、公開はそのまま行われたものの、それに異議を唱え たロドリゲスは最終的に監督協会を脱退することになってし まう。 とは言え現実的には協会員でなくとも映画を監督できない 訳ではなく、その影響は少ないと観られていたが…。実は映 画会社の中でパラマウントは監督協会との結び付きが深く、 同社は自社作品に協会員以外の監督は認めないとしていた。 しかも丁度この時、パラマウントではロドリゲスの監督で “A Princess of Mars”の計画が進められており、協会を脱 退したロドリゲスはこの計画から降板せざるを得なくなって しまったものだ。 そして結局パラマウントは映画化を諦め、その権利を回収 したディズニーが今年『ジョン・カーター』を公開したもの だが、正にその年に『シン・シティ』の続編が動き出すのも 不思議な巡り合わせと言えそうだ。 なお続編は“Sin City: A Dame to Kill For”の題名で、 脚本は、ミラーと2006年『デパーテッド』でオスカー受賞の ウィリアム・モナハンが担当し、監督はロドリゲスの単独と なるようだ。
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