| 2011年11月20日(日) |
はさみ、瞳は静かに、エリート・スクワッド、夢二、ピザボーイ、マシンガン・プリーチャー、アーサー・クリスマス、しあわせのパン |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『はさみ』 2008年11月紹介『大阪ハムレット』などの光石富士朗監督に よる東京中野区の理容美容専門学校を舞台にした作品。 主人公は専門学校美容科の若手女性教師。主にハサミ(シザ ース)によるカットの実技を教えているが、彼女の教室には 様々の問題を抱えた生徒たちがいる。その中から3人の生徒 が主に取り上げられる。 その1人目は母親の死後に引き篭もりになっていたという男 子生徒。2人目は自らの技術に行き詰まってしまっている女 子生徒。そして3人目は理容科で抜群の成績を収めている女 子生徒だったが… そんな生徒たちに対して主人公は、共に悩みながら問題解決 の糸口を探って行こうとする。しかし生徒たちにはさらなる 試練が待ち構える。物語の舞台は理容美容専門学校だが、生 徒たちの抱える悩みは普遍的なもので、その解決法も特別で はない。 ただし、その間に理容美容専門学校ならではの至言のような ものが挿入され、それが結構上手く填っているのが本作の良 さでもあり、脚本の巧みさのようにも感じられた。 出演は、教師役に先月紹介『指輪をはめたい』などの池脇千 鶴、生徒役に2008年1月紹介『うた魂♪』などの徳永えり、 2010年『十三人の刺客』などの窪田正孝、それにお笑いコン ビ「大好物」のなんしぃ(映画初出演)。他に、竹下景子、 烏丸せつこ、石丸謙二郎らが脇を固めている。因に、池脇は 前作に続いて指がばん創膏だらけの役だ。 手に技術を付けたいと頑張る若者たちと、それを正しく導こ うとする教師たちの物語で、常識的に考えても悪くなりよう のないお話。それをさらに光石監督が見事に感動的に盛り上 げている。 因に本作には、日本PTA全国評議会特選、映倫諮問機関の 年少者映画審議会推薦、厚生労働省社会保障審議会推薦など が付いているようだ。特に厚生労働省の推薦は物語の背景か らも判りやすい。
『瞳は静かに』“Andrés no quiere dormir la siesta” 1976年から1982年まで続いたアルゼンチンの軍事政権。その 下での子供たちの姿を描いた作品。 1977年夏から1978年夏までの1年間に亙る物語。主人公はそ の間に8歳から9歳になる少年。少年は兄と母親と共に暮ら していたが、進歩的な母親は近所の若者の荷物を秘密に預か るなど、政治的な活動もしていたようだ。 ところがその母親が突然死去し、少年は別居していた父親と 共に祖母の家に暮らすことになる。その父親は牛乳は温めて から飲むとか、子供たちにはシエスタを命じるなどかなり保 守的な感じだ。 一方、祖母は少年の願いを聞き入れるなどしてくれるが、そ の祖母は近所の情報に何時も目を光らせ、何事も家族に類が 及ばないように気を使っていた。そして子供たちには何も起 きてはいないかのように振るまい続けていた。 子供たちには「何が起きているか」教えないようにしている 大人たち。しかし子供たちの目はそんな大人たちの真意を見 抜き、そしていろいろな影響を受けて行く。それは必ずしも 良いとばかりは言い切れない。 2004年7月紹介『ジャスティス』や同年9月紹介『ブエノス アイレスの夜』、さらに昨年10月24日付「東京国際映画祭」 で紹介した『隠れた瞳』など、軍事政権下のアルゼンチンを 描いた作品は後を断たないが、何故そこまで描かれるのか。 軍事政権の崩壊から四半世紀が過ぎても、いまだに消え去ら ない恐怖。それは子供の頃に刷り込まれた恐怖。そんな恐怖 の姿を子供の目を通して描いたことで、正にリアルな恐怖と なって甦る作品となっている。 脚本と監督は、1966年サンタ・フェ生まれのダニエル・ブス タマンテ。軍事政権時代には秘密警察の基地も置かれていた という町で、主人公と同じ子供時代を過ごした監督が、自ら の体験もベースにその恐怖を描いた作品でもあるようだ。 出演は、主人公の少年役には新人ながら見事な恐怖を表現し てみせたコンラッド・バレンスエラ、そして祖母役に1936年 ブエノスアイレス生まれのノルマ・アレアンドロ。 因に、軍事政権時代には亡命を余儀なくされ、1986年アカデ ミー賞外国語映画部門を受賞した『オフィシャル・ストーリ ー』にも主演した女優は、以後軍事政権を題材にした作品へ の出演を断っていたが、本作には脚本を読んだだけで出演を 即決したそうだ。「これは語られるべき物語だから」それが 出演の理由とされている。 部外者である我々には多少判り難い物語かも知れない。しか し徐々に襲って来る恐怖が、正にじわじわと締め付けてくる ような感じの作品だった。
『エリート・スクワッド』“Tropa de Elito” 『エリート・スクワッド/ブラジル特殊部隊BOPE』 “Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro” 2008年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したブラジル映 画が日本ではDVDで紹介されることになり、その2年後に 製作された続編と共にサンプルを鑑賞した。 物語の舞台はリオ・デ・ジャネイロ。700にも及ぶスラム街 (ファヴェーラ)があるとされるその町を舞台に、その町に 巣くうギャング団とブラジル軍警察内に創設された特殊部隊 BOPEとの壮絶な戦いが描かれる。 その第1作の背景は1997年。その町をローマ法王が訪れるこ とになり、宿泊先の司祭館の周囲の安全確保が問題となる。 そこは巨大なスラム街に隣接していたのだ。そして、来訪を 3カ月後に控えてスラム街の掃討作戦が開始される。 その任に当るのはBOPE。そして主人公であり物語の語り 手は、BOPEの指揮官を務める警官。彼には臨月間近の妻 がおり、彼はその作戦が終ったら引退するつもりだった。そ して彼の許には2人の新人隊員が選抜されてくる。 物語は、その新人隊員たちの選抜と訓練、彼らが引き起こす 様々な問題なども織り込みつつ、スラム街に巣くうギャング 団や麻薬ディーラーとの戦いを、壮絶な銃撃戦などと共に真 正面から描いて行く。 そこにはブラジルという国家が抱える問題や、ギャング団と 腐敗した警察との関係。また富裕層の若者たちの問題などが 鮮やかな筆致で描かれている。 因に、この第1作の巻頭にはアメリカの心理学者スタンレイ ・ミルグラムの引用が掲げられている。その本文はポルトガ ル語表記で字幕も付けられてないので不明だが、1974年の著 書『服従の心理−アイヒマン実験』からの引用は想像できる ものだ。 脚本は、2002年11月4日付の「東京国際映画祭」で紹介した 『シティ・オブ・ゴッド』などのブラウリオ・マントヴァー ニ。前作で描き出したファヴェーラに巣くうギャング団の物 語を、今回はその対極である警察側から描くものだ。 そして第2作では、前作から10年後の現代を背景に、ギャン グ団の掃討されたファヴェーラに生じたさらなる巨悪との対 決を描く。それは第1作のアクションから一転、ポリティカ ルフィクションのような様相も呈するが、それも興味を牽か れる物語になっていた。 特にそのメッセージは、もしかしたら脚本家はこの第2作を 描くために第1作を作ったのかとも思えるほどで、多少青臭 いかも知れないその想いが切実に伝わってくる感じの作品に なっていた。 因に、第1作は既成の原作からのアダプテーションだが、第 2作はマントヴァーニと両作の監督を務めたジョゼ・パジー リャのオリジナルによるもの。ストーリーからは第3作も期 待できそうなものだが… なお、出演者では第1作、第2作で共通の人も多いが、その 老けぶりも見事に描かれていた。また中には『シティ・オブ ・ゴッド』の出演者もいたようだ。 DVDは12月2日に発売される。
『夢二』 鈴木清順監督による「浪漫三部作」とも呼ばれる『ツィゴイ ネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』の3作品が、全てニュー プリントでリヴァイヴァル公開されることになり、まず本作 の試写が行われた。 大正浪漫の代表とも呼べる画家で作詞家の竹久夢二を主人公 に、清順美学とも言える華麗な映像が展開される。 物語の背景は大正の中頃。すでに人気画家だった竹久夢二の 金沢訪問を題材に、夢二が生涯で最も愛したと言われる女性 の彦乃、モデルのお葉、そして金沢の豪商の妻・巴代らとの 交流が描かれる。 物語の開幕は、シルクハットの男との決闘の悪夢に取り憑か れた夢二の姿。そして夢二は、その悪夢を振り払うかのよう に彦乃との金沢への逃避行を企んでいる。しかし病弱の彦乃 はなかなか思うように事を運べない。 それでも夢二は金沢での再会を願い旅に出るが…。その旅路 で夢二は、湖に浮かべたボートに乗った女性や、宿の女将な どに巡り会う。しかもそこには山狩りの銃声が鳴り響き、そ れは妻の不倫を知った男が、妻と相手を切り殺して逃亡中と 聞かされる。 そんな状況の中で、さらに彦乃の使いと言うモデルのお葉や 天才画家の稲村御船らが金沢にやってくる。そして決闘相手 のシルクハットの男や彦乃本人も登場して物語は華麗に展開 されて行く。 出演は、夢二役に沢田研二。他に、元宝塚歌劇団で映画初出 演の毬谷友子、映画監督の長谷川和彦。さらに坂東玉三郎、 宮崎萬純、広田玲央名、大楠道代、原田芳雄、麿赤兒らが脇 を固めている。 脚本は、「浪漫三部作」の全てを手掛ける田中陽造、音楽は 同じく河内紀と、本作には昨年12月紹介『ブローン・アパー ト』などの梅林茂が参加している。またエンドロールには特 殊造形の原口智生の名前も出ていた。 なお本作のリヴァイヴァル公開は、来年1月中旬の東京を皮 切りに全国順次の予定だが、その前にBlu-ray+DVDのボック スセットが12月21日先行発売されるようだ。
『ピザボーイ』“30 Minutes or Less” 2010年5月紹介『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー 監督と、同作に主演した後に『ソーシャル・ネットワーク』 でオスカーにノミネートされたジェシー・アイゼンバーグが 再び組んだ作品。 主人公は田舎街の宅配ピザ屋で配達係の男性。30分の配達時 間には諸般の事情で遅れがちだが、ドライヴィングのテクニ ックはかなりありそうだ。そんな主人公は 暇があれば幼馴 染みで小学校の臨時教員のインド人の親友と蔓んでいた。 一方、同じ街にはもう1組の2人組がいて、その1人の父親 は宝くじで1000万ドル当てたのに、息子には何の恩恵も与え ず金を使い果たそうとしていた。そのため殺し屋を雇って父 親を殺す算段を始めた息子は、その手付けが10万ドルと聞か される。 ところがそこでも手を汚したくない息子は、「呼べばすぐ来 る見知らぬ他人」に銀行強盗をさせることにし、ピザの宅配 で呼んだ主人公を拉致、爆弾ヴェストを装着させて銀行強盗 を強要することに。 このためにっちもさっちも行かない事態となった主人公は、 親友のインド人と共に銀行強盗を敢行するが… かなり特殊なシチュエーションの作品だが、そのシチュエー ションを見事に活かし切って、屈託なく笑える作品に仕上げ られていた。それは『ゾンビランド』の時と同じで、かなり やばい展開でも気持ち良く笑うことができたものだ。 共演は、昨年11月紹介『デュー・デート』などのダニー・マ クブライド、「ローリング・ストーン」誌で<まさに今のコ メディアン>と賞賛され、MTV賞の司会なども務めるアジ ズ・アンサリ。 さらに2007年10月紹介『俺たちフィギュアスケーター』など のニック・スウォードスン、今年3月紹介『世界侵略:ロサ ンゼルス決戦』などのマイクル・ペーニャ、2003年3月紹介 『メラニーは行く』などのフレッド・ウォードらが脇を固め ている。 脚本は、元スコット・ルーディンのアシスタントで、その後 にパラマウント社のエグゼクティブなども務めたマイクル・ ディリバーティ。因にこの脚本は、2010年版「ブラック・リ スト」(映画化されていない注目脚本のリスト)にエントリ ーされたものだそうだ。
『マシンガン・プリーチャー』“Machine Gun Preacher” 南部スーダンと北部ウガンダの紛争地帯で、武力集団から子 供たちを守る活動を続けている元麻薬ディーラーの男を描い た実話に基づく作品。その物語を、2002年6月紹介『チョコ レート』でハル・べリーにオスカー主演賞をもたらしたマー ク・フォースター監督が、ジェラルド・バトラーを主演に迎 えて映画化した。 物語の開幕は、男が刑務所から出所してくるシーン。その男 サム・チルダースは出迎えた妻の車で仮設住宅のような自宅 に戻って来るが、元はストリッパーだった妻の態度は何処か おかしい。 それでも最初は放蕩に明け暮れる主人公だったが、ある切っ 掛けから妻の信じる教会に通うようになる。そして人道に目 覚めた彼は、始めた事業も上手く行くようになり、やがて教 会で難民支援活動家の話を聞くと、自ら南部スーダンを訪れ ることを決意する。 こうしてアフリカの紛争地帯に足を踏み入れた主人公は、武 装集団が村を襲って子供たち拉致し、少年兵に仕立て上げて いるという実態を目の当りにする。それに対し主人公は、紛 争地帯のど真中で子供たちを守る活動を開始するが…。 何たって元はギャングのような男の話だから、戦闘シーンに なればマシンガンは打ちまくるし、正にタイトル通りの話が 展開される。しかもそれが一方的に善とばかりは言い切れな いのものに描かれているのは、見事な作品だった。 因に映画化の切っ掛けは、アメリカのテレビ局が取材した番 組。その番組では、スーダンで活動する男性が片手にショッ トガン、反対の手には聖書を持って登場し、現地の子供たち の窮状を訴えていたそうだ。 その番組に衝撃を受けた2人の女性プロデューサーがそれぞ れ男性にアプローチし、その後に2人は協力して映画化に漕 ぎ着ける。しかもその内の1人が、大学の映画科でフォース ター監督の同級生だったことから、監督の起用が決まったと のことだ。 つまりかなり偶然が支配しているようにも感じるが、この手 の映画はそういうことも多いようだ。そして映画の中でもい ろいろ偶然が作用するが、これらも全て実話に基づいている ものなのだ。 共演は、今年8月紹介『ミッション:8ミニッツ』などのミ シェル・モナハン、5月紹介『ロシアン・ルーレット』など のマイクル・シャンノン。また主人公の娘役を、2007年4月 紹介『ストレンジャー・コール』がデビュー作というマデリ ーン・キャロルが演じている。 なお、2008年1月紹介『君のためなら千回でも』などの作品 もあるフォースター監督は、子供を上手く扱えるということ でも選ばれているそうだ。
『アーサー・クリスマスの大冒険』“Arthur Christmas” クリスマスイヴの1晩で、今では世界中で20億人と言われる 子供たちに、サンタは如何にしてプレゼントを届けるのか、 その秘密を描いた3Dアニメーション作品。 本作の設定ではサンタは不老不死ではなく、代々北極に住む 一家に受け継がれて当主は20代目のようだ。そしてそろそろ 引退も考えているが、2人いる息子の長男は野心家で、プレ ゼント配達のシステム化に成功している。 ところがそのシステムが完成したはずの今年のクリスマスイ ヴ。ちょっとしたトラブルからプレゼントが1個だけ不逹に なってしまう。それは20億分の1の誤差範囲と無視を決める 長男だったが、心優しい次男にはそれは許されないことだっ た。 こうしてその1個のプレゼントを夜明けまでに届ける次男ア ーサー・クリスマスの大冒険が始まる。果たしてアーサーは そのプレゼントを首尾よく届けることができるのか、そして 引退する父親の跡を継ぐのは… 何たって長男の作り上げたシステムというのが強烈で、映画 の前半では妖精たちを使った大作戦が展開される。これに対 してアーサーのプレゼント配達は…。これはある種の現代社 会に対するアンチテーゼのようでもあるが、そのそれぞれの 良さを描いているのは見事だ。 サンタクロースの話は何本も作られているし、その配達方法 もいろいろ描かれてきたが、アニメーションとは言え本作ほ ど大規模なものは初めてかな。今年は7月に『イースターラ ビットのキャンディ工場』も紹介したが、これが今の子供た ちの納得の限界なのだろう。 脚本は、2007年4月紹介の大ヒットコメディ『ボラット:栄 光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』などの ピーター・ベイナム。本作は完全にお子様向けだが、大人も 納得できる作品に仕上げられている。 監督は、そのベイナムとは長年のコラボレイターというサラ ・スミス。因にスミスは、英国BBCでコメディ番組などを 手掛けた後にアードマン社の長編開発のチーフとなり、そこ で立上げた2本の内の本作で監督デビューとなったものだ。 なおエンディングに流れる「サンタが街にやってくる」は、 今年4月紹介したジャスティン・ビーバーが歌っている。
『しあわせのパン』 原田知世、大泉洋の主演で、都会の生活に疲れ北海道洞爺湖 畔に引っ越してきた夫婦を巡る物語。 夫婦は、トーヤ行きの路線バスが止まる月浦バス停のそばで パンカフェを開いている。夫が石窯でパンを焼き、妻がその パンにあったコーヒーや料理を作って客に提供する。そのカ フェには四季を通じていろいろな客がやってくる。 夏に来たのは、彼氏との沖縄旅行をすっぽかされて北海道に 来てしまった東京のデパート店員の女性と、地元の北海道を 出て行くことのできない青年。2人はそのカフェで巡り合い 関係を近付けて行くが、彼女の帰京の日が迫ってくる。 秋に訪れたのは、カフェの前のバス停から学校に通う少女と その父親。母親が出ていった後の2人暮らしの中で行き違っ てしまった心は、カフェの温かい料理で再び通い合わせるこ とができるのか…? 冬にやって来たのは老境の夫妻。関西で大地震にあい、生業 だった風呂屋は廃業に追い込まれ、娘も亡くしてしまった夫 妻には、もはや人生に見出す希望も夢もなかった。そして夫 妻は、2人が共通の人生を歩み始めた場所に戻ってきた。 という3つのエピソードが、「月とマーニ」という絵本をモ ティーフにして北海道の大自然を背景に綴られて行く。 脚本と監督は、2009年5月紹介『刺青・匂ひ月のごとく』の 三島由紀子。前作のタイトルに月が登場し、本作のモティー フにも月があるが、本作は主題歌にもなっている矢野顕子と 忌野清志郎のデュエット曲「ひとつだけ」にインスパイアさ れたものだそうだ。 なお元々の経緯は、主演の大泉が所属する北海道のプロダク ションが、「北海道の知られていない魅力を伝えたい」と企 画。三島に依頼をして、2006年2月紹介『シムソンズ』など の製作会社と共に作り上げた作品だ。 共演は、夏の客に平岡祐太、森カンナ、秋の客に八木優希、 光石研、冬の客に渡辺美佐子、中村嘉葎雄。他に余貴美子、 あがた森魚、大橋のぞみ(ナレーション)、霧島れいからが 脇を固めている。 美味しそうなパンや料理もたくさん登場して、四季折々の北 海道の大自然も丁寧に写し出された作品になっている。
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