井口健二のOn the Production
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2011年09月11日(日) 50/50、家族の庭、牙狼、スパイキッズ4D、フェア・ゲーム、スクリーム4、第7鉱区、私だけのハッピー・エンディング+Lone Renger

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『50/50 フィフティー・フィフティー』“50/50”
27歳で5年後生存率50%のガン告知を受けた男性を主人公に
した人間喜劇。
脚本のウィル・レイサーは、今年1月紹介『グリーン・ホー
ネット』に主演のセス・ローゲンらと共に、サシャ・バロン
・コーエン主演のコメディ番組“Da Ali G Show”を手掛け
ていた頃にガンを患い、その実体験に基づいて本作を書き上
げた。
その映画化に僕は、同病の患者やその家族のことを思うと、
試写会で初端から大笑いしていた人たちのようには、そう簡
単に笑えるとは思えなかった。しかし映画を観ている内に、
脚本家が作品に込めた想いのようなものが伝わってきて、途
中からは時に涙したり、普通に笑うこともできた。
主人公は、地元のラジオ局で番組制作に携わっている男性。
真面目な彼はテーマに真剣に取り組むため、手掛けている番
組の制作はなかなか進まない。しかし私生活では新進芸術家
のガールフレンドもいてそれなりに充実していた。
ところが、腰の痛みが気になってした受診で思いも掛けない
ガンが発見され、そのガンは、このままでは5年後生存率が
50%であることが判明する。こうして闘病のためのセラピー
や苦しい抗ガン剤治療などが始まるが…
さらに彼を待ち受けていたのは、献身的であろうとするガー
ルフレンドとの諍いや、認知症の夫を抱えながらも息子のた
めに何かをしようとする過保護な母親、それに彼の世話を焼
こうとしては失敗するお調子者の親友の存在だった。

主演は、今年5月紹介『メタルヘッド』などのジョセフ・ゴ
ードン=レヴィット。他に、製作も務めるセス・ローゲン、
今年4月紹介『スコット・ピルグリム』などのアナ・ケンド
リック。さらにブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ
・ヒューストンらが脇を固めている。
監督は、2008年のサンダンス映画祭で“The Wackness”とい
う作品が観客賞を受賞しているジョナサン・レヴィン。本作
が長編3作目の監督だが、曲者の俳優たちを向こうに回して
的確な演出をしている感じだ。
確かに厳しい内容の作品だが、本作ではそんな状況の中でも
強く生きようとする主人公=脚本家本人の気持ちが伝わって
くる。笑いがガンに効くという話もあるし、ここは脚本家の
気持ちに同調して笑うべき作品のようだ。


『家族の庭』“Anther Year”
1996年『秘密と嘘』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを
受賞しているマイク・リー監督による2010年の作品。本作も
カンヌに出品された。
主人公は、地質学者の夫と、病院で医学カウンセラーをして
いる妻の初老の夫婦。1人息子は30歳でまだ独身だが弁護士
を営みすでに独立している。そんな夫妻は、毎休日には市民
農園で畑仕事を楽しみ、その収穫で友人を招いたパーティも
楽しんでいる。
そのパーティには、妻の同僚の中年女性も招かれているが、
多分40代でバツ1の彼女は毎回現れては自分の男運の無さな
どの愚痴をこぼし、いろいろとトラブルメーカーだ。そんな
夫妻の四季が季節ごとに描かれて行く。
主人公の夫は僕と同年代と思われるが、夫妻の生活ぶりを観
ていると本当に憧れを感じてしまうほど円満で穏やかな日々
が流れて行く。そこにはトラブルメーカーの女性の存在や独
身の息子の心配などもあるが、それはそれなりだろう。
そんな物語が、2時間9分の上映時間の中でじっくりと描か
れる。それは正にごく普通の初老夫妻の日常とも言えるもの
だ。その中にはいろいろな波風もあるが、それでも日々は流
れて行く、そんな感じの作品だった。
それは異国の話ではあっても、日本人の自分たちにも共通の
問題として捉えられる部分も多いし、10人近い登場するキャ
ラクターの中には、自分の周囲に思い当たる人物もいたりも
する。そんな親しみやすさ感じられる作品でもあった。

出演は、2005年5月紹介『ホット・ファズ』などのジム・ブ
ロードベント、ルース・シーン、レスリー・マンヴィル、ピ
ーター・ワイト、オリヴァー・ルマン、カレーナ・フェルナ
ンデスらのマイク・リー監督作品の常連に加え、『ハリー・
ポッター』シリーズのミスター・フィルチ役デイヴィッド・
ブラッドリーが初参加している。
マイク・リー作品は、僕は上記の受賞作以降は観ていなかっ
たが、一見普遍的な日常を描いているようで、その裏に潜む
非日常的な事象を鮮やかに描き出す。それは淡々とした描き
方ながら一瞬もスクリーンから目が離せなくなる。そんな見
事な演出の作品だった。


『牙狼<GARO>〜MAKAISENKI〜』
2005−06年に放送され、昨年7月に劇場版『GARO THE MOVIE
3D : RED REQIEM』を紹介している雨宮慶太原案・総監督に
よるダークヒーロー・シリーズが、再びテレビシリーズとし
て製作され、その第1話、第2話の試写が行われた。
物語は、ホラーと呼ばれる人間の邪心に取り付く魔獣が跋扈
する世界を背景に、その魔獣を退治する魔界騎士と呼ばれる
ダークヒーローの活躍を描く。そして本作では、以前の劇場
版で活躍を認められ昇進した主人公にも危機が訪れ、その謎
を巡って物語が進むようだ。

主演はシリーズ通じての小西遼生。他にヒロイン役の肘井美
佳、影山ヒロノブ(声優)、蛍雪次朗らが前シリーズに続け
て登場。さらに『ウルトラセブン』のひし美ゆり子がセミレ
ギュラーで新登場している。
また、今回試写された中にはいなかったが、映画版に登場し
ていた松山メアリ、倉貫匡弘らもレギュラー出演しているよ
うだ。他に、中村織央、藤田玲、さとうやすえ、山本匠馬ら
の名前がプレス資料のレギュラー欄に記載されていた。
そして第1話「火花」では、ゲストに竹中直人が登場。怨念
のこもったシガレットライターを手にした男の行う残虐行為
の有り様が描かれる。ここではCGIによる闘いの模様や、
吹き替えを巧みに編集した竹中のアクションも面白かった。
次の第2話「街灯」は、広田レオナのゲスト出演で、若い男
性ばかりを襲う女の姿と、その意外な目的などが描かれる。
さらにそこには、主人公を慕うヒロインの行動なども絡んで
くるものだ。
ただまあ、物語は『仮面ライダー』や『戦隊シリーズ』とさ
ほど変りはないものだが、竹中や広田のような曲のあるゲス
トの演技も楽しめるもので、特に竹中の小心者が魔界の力を
得て変貌する演技などはそれなりのものになっていた。

なお本シリーズは、10月からテレビ東京系の深夜枠で放送さ
れる予定のものだが、その前の9月24日から東京、大阪、愛
知、北海道、福岡の5都市限定で、全12話が3話(72分)分
ずつ4回に分けて先行上映されることになっており、ファン
は一足先に楽しめるようだ。

『スパイキッズ4D/ワールドタイム・ミッション』
     “Spy Kids: All the Time in the World in 4D”
2001年から3年連続で、3作品が製作・公開されたロベルト
・ロドリゲス監督によるファミリー・スパイアクションシリ
ーズ(紹介は2002年9月と2003年9月)の再開第4作。
今回の物語の中心になるのはウィルソン一家の双子の姉弟。
テレビ俳優のパパは「スパイハンター」という番組で頑張っ
ているけど、お陰で子供たちとは遊ぶ暇もない。そんなパパ
が再婚したママは専業主婦のはずだけど、何か隠しているよ
うだ。
そのママは、実はスパイ組織OSSの敏腕エージェントだっ
たが、パパと結婚して臨月のお腹で悪人チックタックを逮捕
した日にスパイを引退した。でもそのことはパパにも内緒の
こと。それは、国家機密と家族の安全を考えてのことだった
が…
ところが赤ん坊も無事産まれて1年が経った頃、突然世界の
時間の流れがおかしくなり、タイムキーパーと名乗る男から
犯行声明が出された。それは世界の時間を加速して破滅に導
くと言うもの。そしてその犯行には、ママが双子の姉に贈っ
たペンダントが関っていた。
こうして謀らずもママの正体を知ってしまった姉弟は、匿わ
れたOSSの本部で、スパイキッズの歴史を知ることにもな
るが…
まあお話はお子様向けの御都合主義も満載のものだが、そん
なことは承知の上でその物語を、目一杯のアイデアとVFX
と3Dで彩り、さらに今回は4つ目の次元として匂いも加え
た仕掛け満載で描き出している。

出演は、ジェシカ・アルバ、2005年11月紹介『ロード・オブ
・ドッグタウン』に出ていたというジョエル・マクヘイル、
そして姉弟役には新進のローワン・ブランチャードとメイソ
ン・クックが抜擢されている。
また、前作までのスパイキッズのアレクサ・ヴェガとダリル
・サバラが成長した姿で登場して活躍してくれる他、2010年
『マチューテ』などのダニー・トレホが前作と同じ役柄で顔
を見せていた。
ただ、カードを用いた匂い付き映画は、プレス資料の監督の
発言では史上初とされていたが、これはアメリカでは1981年
“Polyester”という作品で実施されたことのあるもの。こ
の作品は日本でも1986年に公開されたはずだが…


『フェア・ゲーム』“Fair Game”
2003年3月に開戦されたアメリカ−イラク戦争を検証し、そ
れによって振り回された夫妻の実話を映画化した作品。
2001年9月11日の同時多発テロによって、アメリカ政府は一
気にイラク・フセイン政権への疑いを強め、イラクの核兵器
開発疑惑などの調査を開始する。その任に当たったのは、元
ニジェール駐在アメリカ大使だったジョー・ウィルソン。
彼は、妻のヴァレリーが勤務するCIAからの依頼を受けて
アフリカに飛び、大使だった頃の人脈を使ってイラクが大量
のウランを買い付けたとの疑惑を調査する。しかしいくら調
べてもその事実は全く現れず、疑惑は虚偽との報告書を提出
する。
ところがブッシュ大統領は会見でラクがウランを買い付けた
事実があると明言し、それによってイラクへの宣戦を布告。
これにより多数の一般市民を犠牲にする侵攻作戦が実施され
てイラクは占領される。しかし核兵器は一向に発見されなか
った。
これに対してウィルソンはマスコミに自らの調査結果を暴露
し、ブッシュ政権の欺瞞を告発するのだが、それは彼自身へ
の報復を招くことになる。そしてその結果は夫婦の関係など
に多大な犠牲を産むことになって行く。
物語は、最終的にブッシュ政権の上層部の人物が有罪となっ
た事実までを描いて行くが、その過程ではヴァレリーが従事
していた中東での核技術者救出作戦の破綻など、多大な犠牲
や裏切りがあったことも告発している。
これは日本でも、国策に関る政府の発表は全て虚偽に塗り込
められていることは、原発問題や、恐らくはそんな程度で済
んでいるはずの無い放射能被害の報告などでも疑うところだ
が、アメリカの場合はそれを告発する人間がいるだけましと
も言えるかもしれない。

出演は、ナオミ・ワッツとショーン・ペン。中でもペンは、
2006年12月紹介の『オール・ザ・キングスメン』でも果敢な
ブッシュ共和党政権批判を行っていたが、本作でもその矛先
は全く鈍っていないものだ。
また映画の中では、主人公が講演でフランクリンの言葉を引
用したRepublic(共和主義)という言葉の後で、Democratic
(民主主義)と2回も言う辺りに、彼の意志が伝わってくる
感じもした。
共演は、2003年7月紹介『T3』などのデヴィッド・アンド
リュース、07年10月紹介『その名にちなんで』などのブルッ
ク・スミス、03年11月紹介『すべては愛のために』などのノ
ア・エメリッヒ、そして04年11月紹介『きみに読む物語』な
どのサム・シェパード。
監督は、2002年11月紹介『ボーン・アイデンティティー』な
どのダグ・リーマンが担当した。

『スクリーム4/ネクスト・ジェネレーション』“SCRE4M”
11年前の2000年まで3作品が製作・公開されたウェス・クレ
イヴン監督によるスプラッターホラーの快作『スクリーム』
シリーズの復活第4作。
西海岸の小さな町を襲った恐怖。それは11年前に終った過去
の出来事のはずだった。しかしその時の被害者で、数少ない
生き残りの1人だった女性が故郷に戻った時、再び恐怖の陰
が町を覆い始める。
11年前の惨劇を生き抜いたシドニーは、その後はトラウマも
あって町を離れていた。しかし自らの体験を自身で本に纏め
たことでようやくトラウマからも開放され、ベストセラーに
なったその本のプロモーションも兼ねて故郷の町に帰ってき
た。
そこには以前の惨劇を共に闘った保安官のデューイや、その
後に彼と結婚したレポーターのゲイルらも暮らしていたが、
シドニーの体験を出版して映画化にも導いたゲイルは、シド
ニーに対抗して新作を書こうとしたもののスランプに陥って
いるようだ。
そしてシドニーが宿泊する叔母の家では、若い従兄弟のジル
とその親友らが暖かく彼女を迎えてくれたが…、彼女たちに
恐怖の電話が架かり始める。さらにそこにはジルの元彼や、
ウェブで周囲の画像を配信し続けている高校放送部のロビー
らも絡んでくる。
巻頭にはお決まりのプロローグがあって、以前にはドリュー
・バリモアやサラ・ミッシェル・ゲラーらが登場したそのシ
ーンを今回は、『X-MEN』のアンナ・パキン、『ヴェロニカ
・マーズ』のクリスティン・ベル、『新ビバリーヒルズ青春
白書』のシェネイ・グライムスらが務めている。
まあお話は以前のシリーズと全く同じ、目的の判らない連続
殺人の恐怖を描くもので、そこにホラー映画のトリヴィアな
どがちりばめられているものだが、今回は定石外しもテーマ
になっているようで、そんな意外性も多少はあるものだ。

出演はネーヴ・キャンベル、デイヴィッド・アークェット、
コートニー・コックスの生き残り組が揃って再登場するのに
加えて、2010年1月紹介『誰かが僕にキスをした』などのエ
マ・ロバーツ、テレビドラマ『HEROS』のヘイデン・パネッ
ティーア、マコーレー・カルキンの弟のロニー・カルキンら
が共演している。
脚本は、シリーズの最初の2作を手掛けたケヴィン・ウィリ
アムスン。シリーズの原点に戻った脚本に、キャンベルらが
再結集しているものだ。

『第7鉱区』“7광구”
全CGIが韓国々内で制作されたというVFX−3Dアクシ
ョン作品。本国では公開4日間で150万人を動員し、2011年
度のオープニング記録を樹立したそうだ。
朝鮮半島の南、九州の西に位置する第7鉱区には1970年代に
油田が確認され、その埋蔵量はアラビア半島の10倍とも言わ
れた。しかし当初は日韓の紛争にも成り掛けた採掘は、その
後に共同開発が調印されるものの、1985年に日本側が撤退、
開発は中断されてしまう。
本作の物語はそんな1986年、細々と続けられていた韓国側の
採掘場で1人の作業員が事故死するところから始まる。そし
て現代、今も続けられている第7鉱区の海上採掘場では、何
度目かのボーリングが今回も不調に終ろうとしていた。
そこには事故死をした作業員の娘も中心となって働いていた
が、採掘の現場主任とは反りが合わないようだ。そしてそこ
に、深海から小さな生物がボーリングパイプと共に出現し、
その生物は水槽で飼われ始める。
さらに会社の判断で開発終了が決定され、撤収部隊がやって
くる。そのリーダーは彼女の父親と共にその鉱区で働いてい
たベテランだった。その彼の計いで、終了が納得できない娘
のための最後のボーリングが開始された頃、採掘場で謎の事
件が起き始める。

監督は、2008年3月紹介『光州5・18』などのキム・ジフ
ン。韓国のCGI映画では、2004年1月紹介『殺人の追憶』
のボン・ジュノ監督が、『グエムル』(2006年7月紹介)を
撮っているが、社会派とも呼べる監督の挑戦は興味も募ると
ころだ。
出演は、2003年3月紹介『ボイス』などのハ・ジウォン、モ
デル出身でテレビドラマの出演で日本でも人気の高いオ・ジ
ホ、さらに『光州5・18』に出演のベテラン俳優アン・ソ
ンギ。
物語の全体の流れは、『エイリアン』あるいはその元になっ
た『遊星よりの物体X』とほとんど同じで、舞台が海上の油
田採掘基地になっているだけという程度のもの。でもまあこ
れは定番中の定番になってしまったから、その流れの作品と
いう感じのものだ。
ただし本作の場合は、怪物側の目的が明確でなく、ただ食料
のためなのか、その辺で物語に広がりが欠ける感じがした。
特に父親の事故死には伏線としての意味も欲しかったところ
で、人間側のドラマがもっと描かれるべき作品のようにも感
じられた。


『私だけのハッピー・エンディング』
              “A Little Bit of Heaven”
2003年6月紹介『10日間で男を上手にフル方法』などのケイ
ト・ハドスンと、2002年6月紹介『天国の口、終りの楽園』
などのガエル・ガルシア・ベルナルの共演で、人生の最後の
時を過ごす人の姿を描いた作品。
主人公は、広告業界でバリバリの実績を誇る30歳のキャリア
ウーマン。今日も新たなクライアントを獲得するなど仕事も
順風満帆で、恋に遊びに人生を謳歌している。そのためには
セックスは大好きだが、結婚はまだ考えられない。
そんな彼女がふと身体の変調を覚え医師の診断を受けた結果
は、末期の大腸ガンだった。それは大腸中に広がってもはや
手術もできない。後は抗ガン剤治療で余命を少しでも伸ばす
しか、手の施しようもない状態だった。
そんな彼女の告白に、周囲の友人たちは嘆き悲しみ、別居中
の両親もそれぞれ彼女のためにできることを考えてくれるの
だが、そんな周囲の存在はうれしくもあるが、同時に煩わし
くも感じてしまう。
そんな中で彼女は、町のバーで自分の主治医の姿を見付け、
彼と飲み歩いて楽しいときを過ごすのだったが、病院では医
師と患者の交際は御法度だった。それでも彼のことが忘れら
れない主人公は…
先に『50/50』を紹介したばかりだが、アメリカでこのよう
な作品はブームになり掛けているのかな。まあ日本でもよく
似た作品はあったようだが、人間はいつか死ぬわけで、その
日に向かって如何に今を生きて行くか、それが本作の最大の
テーマになっている。
そんな前向きな主人公の姿が、それは涙でスクリーンが観え
なくなるようなシーンはあっても、全体としては爽やかな作
品に仕上げられている感じがした。そう言えばベルナルは、
『天国の口…』でも結果として同じような役柄だったことを
思い出した。
ただ、映画の中で主人公には宗教などは知らないと言わせて
おきながら、結局神様を出す辺りはハリウッド映画を感じさ
せもしたが。

共演は、ウーピー・ゴールドバーグ、キャシー・ベイツ。両
オスカー受賞女優が見事な存在感を見せてくれる。他に、ア
メリカでは今年6月公開“Bad Teacher”などのルーシー・
パンチ、今年8月紹介『カンパニー・メン』などのローズマ
リー・ドウィットらが脇を固めている。
        *         *
 最後に8月14日付で報告した“The Lone Renger”の映画
化に関し、再度ディズニーから製作続行の発表が行われた。
 これはヴァビンスキー監督側から、当初2億5000万ドルと
された製作費について、2億ドルから2億1500万ドルの範囲
に納めるという削減案が出されたためで、これにディズニー
側もOKしたようだ。撮影は11月に開始され、来年12月21日
の全米公開が予定されている。


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井口健二