井口健二のOn the Production
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2011年06月12日(日) 女殺油地獄、晴れた青空、大鹿村騒動記、TFDSM(特)、インシディアス、明りを灯す人、田中さん/ラジオ体操、極道めし+Lone Ranger

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『シネマ歌舞伎/女殺油地獄』
近松門左衛門作の世話浄瑠璃を歌舞伎で演じた作品。主役の
与兵衛を演じさせたら当代一と言われる片岡仁左衛門の主演
で平成21年6月に「歌舞伎座さよなら公演」の一つとして演
じられた舞台がHD撮影でスクリーンに再現される。
大阪天満の油屋河内屋の息子与兵衛。その母は実の親だが、
父は実父が亡くなった際に家督を保つため元の番頭が母親と
結婚したもの。このため継父は元の主人の息子である与兵衛
には意見ができない。
そんな複雑な家庭のせいか、与兵衛は放蕩者となり、家の金
を持ち出しては遊び呆けている。そして侍になった親戚にも
迷惑を掛ける羽目となり、遂に父親は勘当を申し渡してしま
う。
息子が放蕩者と判っていても子供のことが気に掛かる親心。
そんな親の心を知り、一旦は改心しようとする与兵衛だった
が…。
東京の六本木には試写会場が幾つかあって、夜間の試写の帰
り道などで繰り出してくる男女の姿を観ていると、それが自
分の稼いだ金で呑んでいるなら良いが、とうてい勤務先から
来たのではないと思える衣装の連中などには、金の出所が心
配になる。
そんな今も変わらない若者の風俗、それが江戸時代にすでに
描かれていたという作品だ。しかも刹那的に犯罪にも手を染
めてしまう。まさに現代でも同じことが起きている…そんな
ことも考えてしまう作品だった。

出演は、仁左衛門=与兵衛の他は、継父役に中村歌六、実母
役に片岡秀太郎、そして物語の鍵となる豊嶋屋お吉役に仁左
衛門の息子の片岡孝太郎。特に題名にもなっている与兵衛、
お吉の油まみれの立ち回りは見応えがあった。
また、お吉の娘お光役は仁左衛門の孫の片岡千之助で、親子
三代の共演にもなっている。
シネマ歌舞伎は本作が第13弾、中には昨年8月紹介『大江戸
りびんぐでっど』のような珍品もあるが、歴史ある作品の重
みは確かなもの。その保存だけでも価値のあるシリーズと言
える。さらに新歌舞伎座が完成したら3Dでの撮影も検討し
て貰いたいものだ。

『あの、晴れた青空』
昨年11月『Pure』という作品紹介しているごとうしのぶ
原作「たくみくんシリーズ」の映画化第5作。
最初に書いて置くと、このシリーズは女性向けに作られてい
るもの。若いイケ面と言われる男優が大挙して登場して、そ
のイケ面を女性たちがうっとりしながら観るという趣向の作
品だ。
実は、以前に同様の趣向の作品でトークイヴェントも付いた
「完成披露試写会」を観させてもらったこともあるが、一般
興行より高い入場料で観客の集まるそれは、満員の女性の熱
気が溢れんばかりのものだった。
そんな女性たちが本作でも歓声を挙げたり、溜め息を吐きな
がら観るのだろう。従って僕などは本来の観客の範疇にない
もので、それで評価するのはかなり難しいが、その難しさが
本作ではさらに進んでいるような気もした。
物語は、前作の時は全寮制の学園全体の中での複数のカップ
ルの姿が描かれたが、本作では本来の主人公であるタクミと
ギイに特化されて、特にタクミ自身の問題と、その助けにな
ろうとするギイの姿が描かれている。
それは友情の物語でもあり、それとして理解もできるものだ
が…。元々若い男子同士の恋愛を描くシリーズではあるが、
正直にはここまで描いていいのかと思うレヴェルに来ている
感じもした。これに女性たちはついて行くのかな。

出演は浜尾京介、渡辺大輔、浜口幸広、馬場良馬、内藤大希
ら第2作からのレギュラー陣を中心に、こちらも『テニ王』
出身の高崎翔太が新登場。また中年の教師役で昨年12月紹介
『ウルトラマンゼロ』などに出演の石橋保が出演している。
脚本の金杉弘子と監督の横井健司も前作から引き続きだ。
なお、本作はタクミとギイの登場最終章になるそうだが、シ
リーズは今後も続くようでその展開はどうなるのか。大体、
タクミが居なくては「たくみくんシリーズ」ではないと思う
のだが、その辺はどうなるのだろう。

『大鹿村騒動記』
長野県に実在する大鹿村という山間の村落を舞台にした人間
喜劇。2008年3月紹介『闇の子供たち』などの阪本順治監督
による作品。
物語は、村内の停留所に路線バスが到着するところから始ま
る。バスに乗って来たのは若い男と初老の男女。バスの運転
手は初老の男女に見覚えがあるようで声を掛けるが、男女は
サングラスで顔を隠すようにしてその場を立ち去る。
その男女が向かったのは「ディア・イーター」という看板を
掲げた店。そして男は、店の主人に向かって女を返すと切り
出す。その申し出に店主は唖然とするが…。さらに店には、
バスを降りた若い男も働きたいとやってくる。
南アルプスの山麓に位置するその村には、300年の伝統を誇
る「大鹿歌舞伎」と呼ばれる村芝居があり、今年もその公演
に向けて村民たちは稽古に励んでいた。ところが村の世論は
リニア新幹線の誘致を巡って揺れ動いており、それは稽古に
も影を落とす。
そこにさらに店主と初老の男女との関係や、若い男が抱える
問題などが絡んでお話は展開されて行く。

企画自体は「大鹿歌舞伎」の紹介が目的なのかな。しかし阪
本監督はそのまま描くのではなく、そこに様々な人間模様を
織り込んで見せた。その物語は最近ではありがちかも知れな
いが、それを南アルプスの大自然を背景に大らかに謳い上げ
ているものだ。
そしてその中に「大鹿歌舞伎」の歴史や実際の芝居の模様、
さらに回り舞台の様子など、芝居自体についての多角的な紹
介も行われている。
出演は、店主役に原田芳雄、初老の男女に大楠道代と岸部一
徳、若い男に冨浦智嗣。さらに佐藤浩市、松たか子、石橋蓮
司、小倉一郎、でんでん、三国連太郎、瑛太、加藤虎ノ介、
小野武彦らが脇を固めている。
上映時間は1時間33分の作品で、内容的にも重いものでもな
いし、画面では南アルプスの大自然も満喫できて、気楽に楽
しむ作品というところだろう。因に本作は、入場料1000円で
映画館で鑑賞できるようだ。

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』
    “Transformers: Dark of the Moon”(特別映像)
2007年、2009年に公開された日本製の玩具が基のVFXシリ
ーズ第3作。因に本作では3部作が完結編となるようだが、
シリーズ初の3Dで製作されている。ただしその全編は未公
開で、今回は巻頭8分45秒とダイジェスト6分55秒の映像が
紹介された。
実はシリーズの前2作は試写状が来なかったので、ここでも
紹介しなかったものだが、その物語では地球を舞台にして、
金属生命体からなる人類の味方のオートボットと、それに敵
対するディセプティコンの闘いが描かれた。
そして本作ではその第3戦が繰り広げられるものだが、ここ
で本作では、1969年のアポロ11号による月面探査にまで遡っ
て、人類と金属生命体(トランスフォーマー)との関りの歴
史も明らかにされるようだ。
ということで今回の特別映像では、その巻頭の主にアポロ計
画との関連を観ることができた。そこではケネディの演説に
始まってニクソンとの2元中継などが描かれ、さらにそこに
隠されたアポロ計画の真の目的が暴露されて行くものだ。
それは、当時を知るものにとっては懐かしいニュース映像と
再現映像で展開されており、特に金属生命体との関りに係る
映像には思わずニヤリとしてしまうものもあった。それは当
時を知る僕らには楽しめたが、さて当時を知らない人にはど
う映るのだろう。
アメリカ人には自国の歴史だから理解は高いだろうが、最近
の音楽とファッションにしか興味のない日本の若者には、人
類が月に行ったことなど知らない連中も多いようで…。でも
全部がフィクションとして楽しんでくれちゃうのかな。
いずれにしても、本作の物語はそれだけではないし、その後
に上映されたダイジェストの迫力あるアクションシーンは、
それだけで充分に満足できるものが満載されていそうな感じ
だった。

主演は、全3作通じてのシャイア・ラブーフ、ヒロイン役に
は本作が映画デビューとなるモデル出身のロージー・ハンテ
ィントン=ホワイトリーが扮している。
さらにジョシュ・デュアメル、タイリース・ギブスン、ジョ
ン・タトゥーロのレギュラー陣に加えて、ジョン・マルコヴ
ィッチ、パトリック・デンプシー、フランシス・マクドーマ
ンドらが新たに登場するようだ。
製作と監督は、前2作と2005年7月紹介『アイランド』など
のマイクル・ベイ、脚本は、シリーズ前作と2005年4月紹介
『ザ・リング2』などのアーレン・クルーガー。全編の試写
を観たらまた紹介する予定だ。

『インシディアス』“Insidious”
後に人気シリーズになる2004年9月紹介『ソウ』の第1作を
手掛けた監督ジェームズ・ワン、脚本リー・ワネルのコンビ
による新たなホラー作品。
『ソウ』シリーズを2006年10月紹介の第3作で引退したワン
とワネルのコンビは、その後に2008年1月紹介『デッド・サ
イレンス』を発表しているが、本作もそれに続く本格的なホ
ラー作品だ。
物語に登場するのは3人の子供のいる一家。夫は学校の教師
で、妻はソングライターのようだ。そんな一家が、古い一戸
建ての家に引っ越してくる。そこは夫婦と3人の子供には充
分な部屋のある満足できる物件だった。
ところが引っ越し荷物の片付けを始めると、荷物の一部が紛
失したり、それが思いも寄らないところで発見されたり…。
やがて屋根裏から変な物音が聞こえ始め、赤ん坊の部屋に付
けたモニターからも異常な音声が聞こえるようになる。
さらに黙って屋根裏部屋に上がった長男が梯子から落ち昏睡
状態になるが、それは現代の医学では説明の付かない異常な
昏睡だった。そして夫妻が藁をも掴む気持ちで霊能者に助け
を求めると…。

出演は、夫役に2008年12月紹介『パッセンジャーズ』などの
パトリック・ウィルスン、妻役に2006年12月紹介『マリー・
アントワネット』などのローズ・バーン、長男役には2008年
『リボルーショナリー・ロード』のタイ・シンプキンス。
他に、2006年9月紹介『スネーク・フライト』などのリン・
シェイ、そして今年1月紹介『ブラック・スワン』にも出て
いたバーバラ・ハーシー、さらに脚本家のリー・ワネルらが
脇を固めている。
ホラー作品としてショックシーンなども楽しむことのできる
作品だが、実は、長男の昏睡の因果関係などがそれなりに面
白く丁寧に設定されていたもので、ただ脅かせばいいという
最近のスプラッターホラーとは一線を画する満足できる作品
だった。

なお、本作はエンドクレジットの後にちょこっとあるので席
を立たないように。

『明りを灯す人』“Svet-Ake”
昨年のカンヌ国際映画祭<監督週間>で正式上映され、国際
環境映画祭では劇映画部門のグランプリを受賞したキルギス
の作品。
主人公は、村の人から「明り屋さん」と呼ばれている男性。
彼には電気工事士の資格があるらしく、人の家に呼ばれては
電気配線の修理などを行っている。さらに彼は貧乏な家では
配線をいじって電力メーターを少し逆回転させてしまったり
もしている。
しかし彼の仕事はそれだけではない。それは行った先の家で
村から出ていった家族のことを心配したり、いろいろな心配
事の相談に乗るのも彼の日課だ。
そんな彼には大きな夢があった。それは風の強い村の入り口
の谷間に、風力発電施設を設けること。それは頻繁に停電す
る村の電力事情を解決するもので、そのため自宅に風力発電
機を設置して実験したり、すでに設計図なども描いていると
いう。
そして彼の夢を聞きつけた政治家たちが、彼の許に現れるよ
うになる。さらに中国人の投資家を接待する席に呼ばれたり
もするが…。彼が設置したテレビには首都で行われている反
政府デモのニュースなども報じられている。
舞台のキルギス共和国は、1991年に旧ソ連から独立したもの
の、旧ソ連の衛星国の悲しさで殆ど産業が育っておらず、独
立宣言後も経済状態は最貧国のレヴェル。そのため政変が繰
り返されており、映画に出てくるのは2005年のデモの様子だ
そうだ。
しかしそんな国家状態の中でも希望を持って、未来に明りを
灯そうとしている人がいる。そんな苦しい中での希望を描い
た作品だ。
因に、本作の英語題名は“The Light Thief”だそうで、映
画の内容はある意味それがずばりという感じではある。しか
しそれを直訳して日本語の題名に相応しいものかどうか。今
回の邦題は映画の他の部分も含めて良く考えられたというと
ころだ。

脚本・監督は、1998年『あの娘と自転車に乗って』などのア
クタン・アリム・クバト。因に監督の姓は、以前はロシア名
で<アブディカリフ>と呼ばれていたが、本作からはキルギ
ス名で<アリム・クバト>になったそうだ。
また監督は、本作では映画初出演で主人公の「明り屋さん」
も演じており、その演技では2010年キノショク映画祭の主演
賞も受賞している。

『田中さんはラジオ体操をしない』
        “Tanaka-san Will Not Do Calisthenics”
不当解雇の撤回を求めて25年間、沖電気八王子工場(現在は
分社化されて沖セミコンダクタになっている)の正門前で単
独で闘争を続けている田中哲夫氏の姿を、オーストラリア人
の監督マリー・デフロスキーが追ったドキュメンタリー。
田中氏は25年前、社長の交替で開始された毎朝のラジオ体操
の強制実施に反対し、職場で座り続ける行動を始める。それ
に対して会社側は、その間は退室することを求めるがそれに
も応じず。その結果の遠隔地への転任命令を拒否したために
解雇されたという。
しかしそれは工場内に蔓延する差別やいじめの結果であり、
以来、正門前でギターを持って歌ったり、ビラを配ったり、
さらに株主総会で追求するなどの闘争を繰り広げてきた。そ
んな田中氏の姿が、闘争以外での生活ぶりや家族・支援者の
声も交えて描かれる。
これは間違いなく題名にある通りのラジオ体操の強制に従わ
なかったための解雇であり、それは現在、教育現場で進行中
の国旗・国家への強制と同根のものだ。オーストラリア人の
監督はちゃんとそこまで目配りして作品を作っている。
その一方で、25年も掛かれば当然家族も年を取って行く訳だ
が、そんな田中氏の2人の息子の気持ちにも足を踏み入れ、
恐らくは子供の目には変人と写った父親の姿に対して、今は
ちゃんとそれを理解している彼らの姿も描いている。
以前は従順勤勉で鳴らした日本人労働者。しかしそれは高度
成長期の景気の良かった時代の話。今の状況はさらに厳しく
差別やいじめが横行しているはずだ。それが外国人の目には
どのように写ったか。
ただし本作は、労働争議を扱うものではなく、田中氏個人の
生き様を描いているものだ。
それにしても、映画の中では新聞報道の記事なども出てくる
が、何故これが日本人の手で映画にならなかったかには疑問
も生じた。公害問題や福祉問題など、最近観たドキュメンタ
リーも何本か紹介しているが、日本人は何処か労働争議には
冷たい感じもしてきた。

因にこの作品は2008年の製作。2009年の「山形国際ドキュメ
ンタリー映画祭」で正式上映された他、同年開催の「カナダ
国際労働者映画祭」でグランプリを獲得しているそうだ。

『極道めし』
刑務所の雑居房を舞台に、受刑者たちがおせち料理の一品を
賭けて自らの生涯最高の食事を語り合うという土山しげる原
作漫画の実写映画化。
主人公は、新入りの受刑者。彼が入った雑居房には4人の先
住者がいて和気藹々としているが、主人公はそういう中には
入っていけない性格のようだ。そこで先住者たちは主人公は
放置したままあるイヴェントを開始する。
それは味気ない刑務所の食事の中で、唯一楽しみな正月のお
せち料理に関るもの。4人は順番に今までの生涯で一番旨か
った食事の話をし、その話に喉を鳴らした者の人数で決まる
勝者が各人のおせち料理から一品ずつを貰えるというものだ
った。
そして、それぞれの生涯で一番旨かった料理の話が始まるの
だが…。この話が舞台風の再現ドラマになっており、さらに
そのちょっと戯画化されたシーンに登場する食事が、これが
フードスタイリストが付いた実に旨そうなものばかり。
実は、夕方の試写会を夕食を食べずに観に行ったものだが、
空腹にはかなり堪える作品だった。と言ってもそれほど豪華
な食事ではなく、むしろシンプルなものばかりなのだが、こ
れが実に填っているものばかりなのだ。
そしてそんな食事から見えてくるそれぞれの受刑者の歩んで
きた人生が、実に見事に描かれていた。
また映画には、ガラス戸への写り込みを使ったシーンなど、
映像的にも気に入るところのある作品だった。

主演は、今年1月紹介『津軽百年食堂』などの永岡佑、同房
の受刑者役に麿赤兒、勝村政信、2010年3月紹介『ヒーロー
ショー』などの落合モトキ、パフォーマンス集団「コンドル
ズ」のメムバーで映画初出演のぎたろー。
他に、木村文乃、田畑智子、木野花、内田慈、木下ほうか、
田中要治、でんでんらが脇を固めている。監督は2008年7月
紹介『ブタがいた教室』などの前田哲。
因に、食事話のシーンの演出はロケ撮影ではスケジュール的
に無理となっての苦肉の策だそうだが、作品の内容にはピッ
タリだった。また、話に登場する食事も全て監督のアイデア
だそうで、それをフードスタイリストのせんるいのりこが実
現しているが、これも見事なものになっていた。

        *         *
 2008年10月1日付第168回で紹介したディズニーで進めら
れている“The Lone Ranger”の映画化に、2012年12月21日
の全米公開日が発表された。
 この作品の来歴については、2002年4月10日付第12回でも
紹介しているが、元々はラジオラマが始まりで、その後に連
続活劇やテレビシリーズにもなっている。そして当初コロム
ビアで始められた映画化の計画がその後ディズニーに移り、
第168回で紹介したように、『POTC』を成功に導いたジ
ェリー・ブラッカイマー製作、ゴア・ヴァビンスキー監督、
ジョニー・デップの出演で進められているものだ。
 ただし、デップの配役は主人公のレンジャーではなく従者
のトント。レンジャー役には、昨年10月紹介『ソーシャル・
ネットワーク』で主人公を訴える双子の兄弟を1人で演じた
アーミー・ハマーの起用が発表されている。
 映画の撮影は2008年『レボルーショナリー・ロード』など
を手掛けたジャスティン・ヘイスの脚本により今秋に行われ
る予定だが、発表された全米公開日は前回に報告した“The
Hobbit: An Unexpected Journey”の公開第2週と重なるも
ので、今からその対決が楽しみになるところだ。因に同じ週
には、アン・リー、ジャド・アプトゥ、フィリップ・ノイス
監督らの作品の封切りも予定されているようだ。
 12月後半の公開はまさに賞レースの真っ只中にもなるもの
で、製作者たちの意気込みも感じられる。


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井口健二