井口健二のOn the Production
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2011年05月29日(日) 乱反射/スノーフレーク、ロシアン・ルーレット、ハンナ、M・ソー、メタルヘッド、鯨とり、ハングオーバー!!、青空どろぼう+Oz,The Great

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『乱反射』
『スノーフレーク』
今年1月紹介『ランウェイ☆ビート』に出演していた桐谷美
玲の主演で製作された作品が2本立てで公開されることにな
り、その試写も2本立てで行われた。
その1本目は、高校3年生で角川短歌賞を受賞した歌人・小
島なおが17歳から20歳までの3年間に詠んだ短歌を集めた歌
集を基に、まだ本当の恋を知らない少女の1歩ずつ前へ進ん
で行く姿が描かれる。
高校生の主人公は歌人である母親の指導で短歌の道を歩んで
いたが、それは学友には秘密だった。そんな彼女には運動選
手のボーイフレンドもいて楽しい学園生活だったのだが、彼
女の秘密が彼に知られてしまう。
一方、母親からは短歌の創作にある課題が彼女に与えられて
いたが…

共演は、2010年2月紹介『RAILWAYS』などの三浦貴大と高島
礼子、それに2009年2月紹介『非女子図鑑』などの月船さら
ら。また原作からの脚色というか映画化の脚本は、2010年版
『時をかける少女』の菅野友恵が担当している。
そしてもう1本は、『成風堂書店事件メモ』シリーズなどの
大崎梢原作からの映画化で、10年前に一家心中で亡くなった
とされる幼馴染みの謎を追う青春ミステリー。これが単純な
謎解きものかと思っていたら、思いの外ちゃんと推理ドラマ
になっていた。
主人公は短大2年生の女性。卒業後は東京に出て働くことが
決まっている彼女には、一つ心残りがあった。それは10年前
に港に転落した乗用車に乗っていたはずの幼馴染みの少年の
こと。その事件は一家心中とされたが、少年の遺体だけが発
見されなかったのだ。
しかしその思いもそろそろ忘れなくては、と考え始めた彼女
だったが…

共演は、昨年公開『君に届け』などに出演の青山ハル、今年
公開『GANTZ』などの白石隼也、それに2010年版『時をかけ
る少女』などの石丸幹二。脚色は、元劇団「東京乾電池」に
所属していた矢新図が担当した。
なお、両作の監督は2010年版『時をかける少女』などの谷口
正晃。まず主演女優を可愛く撮れば良いような作品ではある
が、脚本もしっかりしているし演出も手堅くまとめられてい
た。ただまあちょっと引っ掛かるところはあるがそれは書か
ないことにしよう。
上映時間は2本を合わせると2時間半近いものだが、主演女
優のファンには存分に堪能できそうだ。

『ロシアン・ルーレット』“13”
生活に困窮した男が填った陥穽を描いたサスペンス映画。
主人公は病弱な父親を抱える電気工事士。その父親の入院費
が嵩み、ついには父親が長期ローンの末に手に入れた自宅を
手放さなければならなくなる。そんなある日、彼は仕事先で
緊張した面持ちで大金が手に入ると話すその家の主人を目撃
する。
ところがその主人は緊張のあまりか発作を起こしてしまい、
その混乱の中で主人公は主人が見ていた書類を手に入れる。
そしてその指示に従った主人公は、自らの生命を賭けたロシ
アン・ルーレット場へと足を踏み入れてしまう。
映画でロシアン・ルーレットというと、どうしても1978年の
『ディア・ハンター』が頭に浮かぶ。陥落寸前のベトナム・
サイゴンの暑苦しい雰囲気の中で行われるその作品に比べる
と、本作は登場人物の絶叫の割にはクールで、焦燥感も薄く
はなる。
しかしそれは時代のせいで仕方ない面もあるし、ベトナム戦
争を背景にしか描けなかった当時に比べると、本作では参加
者の背景も様々でそれなりのキャラクターの作り方などには
変化もあって楽しめた。

主演は、昨年10月24日付の「東京国際映画祭コンペティショ
ン部門」で紹介した『ブライン・ロック』などのサム・ライ
リー。他に、ジェイスン・ステイサム、ミッキー・ローク、
ラース・フォン・トリアー監督の新作“Melanchlia”に出演
のアレクサンダー・スカースガード。
さらに、2003年12月紹介『ドッグヴィル』などのベン・ギャ
ザラ、2010年12月紹介『ランナウェイズ』などのマイクル・
シャノン、2007年11月紹介『ベオウルフ』などのレイ・ウイ
ンストン、2010年4月紹介『ボーダー』などの50セントら、
多彩な顔触れが出演している。
脚本と監督はゲーラ・バブルアニ。因に本作は、2006年サン
ダンス映画祭の審査員賞など各地で受賞した“13 Tzameti”
という作品を、自らの手でリメイクした作品のようだ。また
リメイクに当っては、1992年『エイリアン3』など手掛けた
コンセプトアーティストのグレッグ・プルスが脚本に加わっ
ている。

『ハンナ』“Hanna”
2007年12月紹介『つぐない』のジョー・ライト監督が、同作
品でオスカー助演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ロ
ーナンを主演に迎えて、特別な運命を背負った少女を描いた
作品。
北欧の雪深い森の中で少女が弓矢で鹿を狙っている。やがて
放たれた矢は鹿に命中、矢の刺さった鹿は雪原まで逃げて倒
れる。その鹿に近寄った少女は、「心臓を外しちゃった」と
呟きながらピストルを構え鹿を射殺する。
さらに鹿を森の中の小屋まで運んだ少女は手際よく解体を始
め、そこに帰ってきた父親らしき男から誉められるが、すぐ
さま格闘術や語学の訓練が開始される。それは正にスパイが
受ける特殊訓練そのものだった。
そんな中で少女は、「準備は出来た」と告げ、男は「出て行
くならマリッサ・ヴィーグラーに殺されるか、お前が彼女を
殺すかだ」と少女に忠告する。しかし少女の意志は変らず、
2人はベルリンの「グリムの家」での再会を約束して小屋を
後にする。
そして物語は、少女の後を追って世界各地を巡る壮大なスケ
ールに展開されて行く。
いやあ『つぐない』の文学少女が、今回はこんなことをする
のだ…と、かなり驚かせてくれる作品。それは映画だから、
特殊効果を使えば何でも出来てしまうものではあるけれど、
それにしてもこの180度の方向転換は驚きのものだ。
しかも劇中にはかなりのアクションもあるから、それなりの
訓練を受ける必要はあっただろうし、そこまでしてこの役に
挑戦した心境も聞いてみたいものだ。それにしても最近の女
優はこんなこともやらせ貰えるのだから、それはそれで素晴
らしいことなのだろう。

共演は、2009年9月紹介『きみがぼくを見つけた日』などの
エリック・バナ、同3月紹介『路上のソリスト』などのトム
・ホランダー、2010年1月紹介『17歳の肖像』などのオリヴ
ィア・ウィリアムズ、同10月紹介『キック★アス』などのジ
ェイスン・フレミング、そして敵役をケイト・ブランシェッ
トが演じている。
なお、劇中に登場する「グリムの家」は、1969年から2002年
まで開園していたSpreeparkという遊園地で撮影されたもの
で、荒涼とした雰囲気が見事だった。その他にも主人公が訪
れる場所の背景はどれも素晴らしく、それらを見るだけでも
堪能できる作品だ。
またセット撮影は、4月紹介『アンノウン』でも話題にした
バベルスバーグスタジオで行われており、エンドクレジット
にロゴマークが登場していた。さらに、音楽をケミカルブラ
ザースが担当しているのも聞き物になっている。

『マイティー・ソー』“Thor”
『アイアンマン』を初めとするマーヴェル・スタジオの製作
によるヒーロー・コミックス映画化の最新作。本作から3D
になった。
主人公のソーは,神々の国アスガルドに住む北欧神話の主神
オーディンの息子。しかし少し「おれ様」な性格で、弟や仲
間のウォリアーズ・スリー、女戦士シフらと共に勝手気儘な
生活を送っていた。
そんなある日、ソーたちは次元を繋ぐ「ビフレストの橋」を
渡って敵対する巨人の国ヨトゥンヘイムを襲う。しかしその
行為は父オーディンの怒りに触れ、オーディンはソーの武器
ムジョルニアを取り上げた上、地球に追放してしまう。
斯くして「ビフレストの橋」から地球に落とされたソーは、
地球でウァームホールを研究する女性物理学者ジェーン・フ
ォスターと出会い、徐々に「おれ様」な性格も直って行くの
だが…、そこに巨人国の軍勢が襲い掛かってくる。

出演は、ソー役に2009年『スター・トレック』でカーク船長
の父親を演じたクリス・ヘムスワース、オーディンにアンソ
ニー・ホプキンス、そしてジェーンにはナタリー・ポートマ
ンが扮している。
他にロンドン出身の舞台俳優で数多くの新人賞などを受賞し
ているというトム・ヒデルストン、2002年10月紹介『ショウ
・タイム』などのレネ・ルッソ、スウェーデン出身で2009年
『天使と悪魔』などに出演のステラン・スカルスガルド。
さらに、2007年アカデミー賞外国語映画部門にノミネートさ
れた『モンゴル』に主演の日本人俳優浅野忠信。因に浅野の
役柄は彼のキャリアからすると役不足だが、ハリウッド進出
の第一歩としては順当だろう。
監督はケネス・ブラナー。シェークスピアも得意なイギリス
演劇界の重鎮と、マーヴェルヒーローの組み合わせは奇異に
も感じるが、物語の根底にあるのは北欧神話だから、それは
絶妙な取り合わせだ。
CGIで描かれた神々の国と、ニューメキシコで撮影された
実写の地球の風景、その対比も鮮やかだし、後半は西部劇を
思わせる対決シーンもVFXを併用して見事に映像化されて
いた。

なお、マーヴェル作品の常としてエンディングロールの後に
一齣あるので、最後まで席は立たないように。

『メタルヘッド』“Hesher”
前回紹介の『水曜日のエミリア』に続いてナタリー・ポート
マン製作総指揮・出演による作品で、ハリウッドが今最も注
目していると言われる映像作家スペンサー・サッサーによる
脚本・監督の長編第1作。
物語の始まりは、レッカー車で運ばれる片側が大きくひしゃ
げた赤い乗用車を自転車で懸命に追い掛けている少年。そし
てその車を引き取った業者に必死に交渉するが、車を取り戻
すことは出来ない。
その帰り道、少年は住宅団地の建設現場で窓に石を投げ、中
にいた長髪の男に取り押さえられる。しかしそこは何とか脱
出した少年だったが、その長髪の男は執拗に少年を追い、遂
には少年が暮らす祖母の家に入り込んでくる。
その家には、祖母と少年と少年の父親が暮らしていたが、父
親はふ抜けたようになっており、祖母もそんな息子を見離し
かけていた。そんな家に入り込んだ長髪の男は、大音量でヘ
ヴィメタを演奏し、テレビのチャンネルも勝手にいじり始め
るが…
実は、一家の母親が2カ月前に交通事故で亡くなり、以来、
一家の生活は今のような状況になってしまっていた。そんな
家に入り込んだ男はどんな作用を一家に及ぼすのか。さらに
少年が憧れる女性も絡んで物語は進んで行く。

出演は、少年役に2008年2月紹介『告発のとき』などのデヴ
ィン・ブロシュー、父親役に2005年4月紹介『サハラ』など
のレイン・ウィルスン、長髪の男役に2010年7月紹介『イン
セプション』などのジョセフ・ゴードン=レヴィット。
さらに少年の憧れの女性役をナタリー・ポートマン、そして
祖母役を、1976年『キャリー』などのパイパー・ローリーが
演じている。
かなり荒っぽい部分もある話だし、アメリカでは昨年のサン
ダンス映画祭で絶賛されながら公開は今年まで持ち越されて
いる。そんな微妙なところもある作品だが、これもポートマ
ンの勢いで一気に行けるかな。

なお挿入楽曲には人気ヘヴィメタ・バンドの「メタリカ」が
5曲を提供するなど、こちらも注目されそうだ。因に撮影は
REDカメラで行われていたようだ。

『鯨とり−ナドヤカンダ−』“고래사냥”
前回紹介した『風吹く良き日』と同様、アン・ソンギ主演に
よる1980年代の韓国映画ニューウェーブの1本。なお本作は
1984年に日本公開されているが、今回はニュープリントで再
公開される。
題名は、「夢をつかむ」といった意味の韓国の隠語だそうだ
が、偶然知り合った風俗の女性に心を通わせた大学生が、彼
女を故郷に帰そうと追手のやくざなどとも対決しながら旅を
続けて行くロードムーヴィ。
主人公はちびで眼鏡でひ弱な大学生。彼は結婚するまでは童
貞を守ると誓っていたが、ある日のこと警察ざたに巻き込ま
れ、そこで窮地を救ってくれた物乞いの男の手引きで風俗街
に足を踏み入れてしまう。
そして、店で暴力を振るわれていた失語症の女性に童貞を捧
げてしまった主人公は、彼女を連れて女性の故郷の島を目指
すことにするのだが…。そこに物乞いの男も同行し、さらに
やくざの追手も現れる。
それにしても雪の降り積もる真冬の韓国での逃亡劇、しかも
着の身着の儘の無一文なのだから、これはかなりの偶然にも
助けられる。しかし、物乞いの男や失語症の女性の機転や行
動があって、それらは物語としては納得できるものになって
いた。

出演は、大学生役に、後にソウルオリンピックやワールドカ
ップ開会式などの音楽監督も務めるミュージシャンのキム・
スチョル。ちょっと日本の「ジ・アルフィー」坂崎幸之助に
似た容貌で、それだけでも納得してしまえるが、映画出演は
本作だけだそうだ。
また失語症の女性役には2003年『スキャンダル』などのイ・
ミスク、そして物乞いの男役にアン・ソンギ。他にやくざ役
で映画出演100本以上というベテラン俳優のイ・テグン。
なお、以前の日本公開では別の副題が付いていたが、今回か
ら映画の主題歌に合わせたものにしたそうだ。その主題歌は
キム・スチョルが歌っているものと思われるが、昔のフォー
ク・ロックを思わせる曲想で懐かしさも感じられた。
『風吹く良き日』の時は若者の行動などにちょっと違和感が
あったが、本作は物語としてはありそうで納得できた。しか
もロードムーヴィということでは珍しい事物などもそれなり
に了解できるし、違和感は生じなかったものだ。


『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』
               “The Hangover Part II”
昨年4月紹介『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の
二日酔い』の続編。
前作でどたばたを繰り広げたステュ、フィル、アランの3人
組の内、今回はステュが結婚することになるが、何とお相手
はタイの富豪の令嬢で、結婚式は花嫁の母国で行われること
になる。そこでフィルと前作の花婿ダグが招待される。
ところが、ダグのたっての願いで前回の問題児アランも同行
することになり、さらに16歳でアメリカの医科大に留学中の
花嫁の弟も加わって、異国での独身パーティが始まるが…。
ビール1本しか飲まなかったはずの一行が目覚めると。
展開は前作と同じ、はっきり言って下ネタや、かなり暴力的
なドタバタギャグが展開される。しかも今回の舞台はタイ、
その異国文化も満載でマーケットやら寺院やら、それに風俗
街も背景に飛んでもない事態が進行する。

出演は前作と同じで、エド・ヘルムズ、ブラッドリー・クー
パー、ザック・ガリフィアナキスとジャスティン・バーサ。
さらに前作から、ケン・チョンとスペシャルゲストも再登場
する。
そして本作の新たな共演者は、2004年『サイドウェイ』や、
2008年4月紹介『シューテム・アップ』などのポール・ジア
マッティ、ベテランが怪演を観せてくれる。他に、今年4月
紹介『エンジェル・ウォーズ』などのジェイミー・チャン。
また劇中で名演技見せる猿は、1997年『ジャングル・ジョー
ジ』や、2006年、09年『ナイトミュージアム』シリーズにも
出演のベテランだそうだ。
脚本と監督は、前作と昨年11月紹介『デュー・デート』のト
ッド・フィリップス。前作ではR指定コメディ映画の史上最
高興行収入記録を樹立した監督が、今回もそれを上回る猥雑
で下品な大人のコメディを作り上げている。
物語的には前作の経験が活かされていたりするシーンはある
が、基本的な部分は本作だけでも多分理解できるかな。前作
も観ている僕には適切な判断は出来ないが。

『青空どろぼう』
先に『平成ジレンマ』という作品が公開された東海テレビ製
作によるドキュメンタリー。
戸塚ヨットスクールを扱った去年の作品は、試写は観たがサ
イトにはアップしなかった。
それは結局、僕が戸塚という人物を好きでないということに
もなるが、いくら刑期を終えたとは言え、昔のままの持論を
述べ立てる前科者の姿を無批判に映している制作者の態度も
不愉快だった。
それは確かに自分の意見ばかりを述べ立てる昨今のドキュメ
ンタリーにも問題はあるが、制作者の意図が全く判らないと
いうか、もしかすると被写体の意見に賛同している? と感
じられるのも、僕には容認できなかったものだ。
その東海テレビ製作によるドキュメンタリーである本作は、
四日市市の石油コンビナート公害を記録し続け、1996年の田
尻賞を受賞した「四日市市公害を記録する会」の澤井余志郎
氏の姿を追っている。
それは人物の姿を追うということでは前作と同じであるが、
本作ではさらに現状の公害問題がどうなっているかという点
が独自の調査で紹介されており、その点では前作とは異なる
アプローチになっている。
そこでは特に澤井氏が追い切れなかった海洋汚染の問題や、
1987年に廃止された「公害健康被害補償法」による新規公害
病患者認定の問題などにも言及し、その問題に関する現四日
市市長へのインタヴューなども行われている。
つまりの作品では、澤井氏の姿を追うことを突破口として、
公害問題の現状にも迫っているもので、この制作態度は納得
できるものになっていた。
それにしても、1987年のまだ毎年新規患者が発生している時
点で認定制度を打ち切り、以後は新規の患者は発生していな
いと言い切る行政の態度にも恐ろしいものを感じるが、それ
以降には当然のごとく公害の垂れ流しを再開した企業にも驚
かされた。
もちろんその公害の垂れ流しは法律違反ではあるが、住民の
懐柔などで裁判所が認めた立ち入り調査権も拒否するなど、
この手の企業の横暴は目に余るものがあった。
因に作品の中では明確にされないが、問題企業は昭和四日市
石油、三菱油化、三菱モンサント化成、三菱化成工業、中部
電力、石原産業の6社だそうだ。

        *         *
 製作ニュースは一つだけ。
 2010年6月27日付で紹介したディズニーが進める『オズの
魔法使い』の前日譚“Oz, The Great and Powerful”につい
て、その時も報告したサム・ライミ監督の下、今年7月の撮
影開始が発表された。
 ただし、主演はロバート・ダウニーJr.ではなく、今年の
アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたジェームズ・フ
ランコ。ライミ監督とは『スパイダーマン』でも組んだ俳優
が蛇油のセールスマンという役柄に挑むようだ。
 一方、ミュージカルでも有名な良き魔女グリンダには、今
年1月紹介『ブルー・バレンタイン』などのミシェル・ウィ
リアムスが扮し、レイチェル・ワイズ、ミラ・クニスが扮す
る悪の姉妹と戦うことになっている。
 ディズニーでは10億ドル興行を達成した『アリス・イン・
ワンダーランド』に続く作品として、2013年3月8日の全米
公開日を予定しているようだ。


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