| 2011年04月03日(日) |
クロエ、Paradise Kiss、スコット・ピルグリム、ビューティフル、ザ・ホークス、小さな池、ソウルのバングラ…、エンジェル・ウォーズ |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『クロエ』“Chloe” 2005年10月紹介『秘密のかけら』などのアトム・エゴヤン監 督による2009年の作品。 主人公は大学教授を夫に持ち、自らは女性クリニックの経営 も順調な産婦人科医。ところがサプライズで準備した夫の誕 生パーティは、夫が出張先からの帰りの飛行機に乗り遅れて 無駄になってしまう。 そんな夫妻には音楽大学を卒業間近な1人息子がいたが、以 前は母親思いだった息子も、最近は何かと干渉する母親を疎 ましく思っているようだ。そして彼女は深夜に帰宅した夫の 携帯に若い女性との2ショットの写真を見つけてしまう。 それでも上辺は平静を保っていた彼女だったが、ある日、夫 婦で友人と会食した彼女は、そのレストランに出入りする娼 婦と話を交わし、試しに夫を誘惑することを依頼する。そし て娼婦からはその報告が届き始めるが… 徐々に深入りして行く報告に驚いた彼女は、依頼を取り消し て娼婦にそれ以上は夫に近付かないよう要求。しかし娼婦か らは、「彼の方から会いに来るから断れない」と、要求を拒 絶されてしまう。 ちょっとした切っ掛けから長く連れ添った夫婦の信頼関係が 崩れ始める。それは疑えば疑う程に深くもなってしまうもの だが…。果たして夫婦はそんな中から元の信頼関係を取り戻 すことができるのか。 出演は、ジュリアン・モーアとリーアム・ニースン。それに 2008年『マンマ・ミーア』で娘役を演じていたアマンダ・セ イフライドがタイトルロールの娼婦を演じている。また夫妻 の息子役で2008年『ジャンパー』などのマックス・シエリオ ットが出演。 元には2003年に製作されたフランス映画があるが、そのオリ ジナルから2007年4月紹介『毛皮のエロス』などのエリン・ クレシダ・ウィルスンが本作の脚本を執筆。普段は自分の脚 本で撮るエゴヤン監督が、彼女の脚本ならと引き受けた作品 だそうだ。 正直に言ってかなりトリッキーな作品だが、夫婦間の感情の 縺れなどが丁寧に描かれ、その一方で娼婦クロエの心情にも 何かを感じさせる。そんな哀しさも見事に描かれている作品 だった。
『Paradise Kiss』 2005年のヒット映画『NANA』の原作者・矢沢あいによる別の 少女コミックスの映画化。 『NANA』はテレビ放映をチラ観した程度だが、女子の主人公 がいろいろな幸運に恵まれながら、憧れの業界で成功して行 くという展開は、本作も同様のようだ。それが『NANA』では 音楽業界、本作ではファッション業界となっているものだ。 そのため『NANA』ではいろいろな楽曲で物語が彩られていた ものだが、本作ではそこに数々のファッション(衣裳)が登 場する。そして主人公はそれらの衣裳を次々に身に纏って行 くことになる。 本作の主人公は都内の進学校に通う女子高生。幼い頃に有名 大学付属小学校への受験に失敗し、以来有名大学への進学だ けを目指して勉強に励んできた。しかし大学受験が近付くに 連れ成績が下がり始め、その目標も遠ざかりつつある。 そんなある日、彼女は下校の道で手首にスパイクだらけのブ レスレットを付けた男性にしつこく話し掛けられ、逃げよう と駆け出したところで転倒。しかも失神して気が付くと、そ こは服飾専門学校に通う生徒たちのアトリエだった。 そして彼らの卒業発表のファッションショーでモデルをして 欲しいと頼まれた彼女は…。こんな展開に進学校で彼女が憧 れる同級生男子や、幼い頃から天才と呼ばれたデザイナーの 男性などが絡んで、少女の夢とも言えるファッションモデル への道が描かれる。 まあ何たって話は上手く行き過ぎるもので、それは全5巻の 原作を圧縮しているから仕方ない面もあるかも知れないが、 単純明快なものだ。しかしそれがこの物語の狙いである訳だ し、それをとにかくファンの期待を裏切らないように映像化 した作品と言える。 それに、ここに登場する若者たちの活力みたいなものは、ど ちらかと言うと今の若者から失われているものかも知れず、 そんなものを描いた作品は、ある意味今の時代に必要なもの なのかも知れない。 大人の目で観るといろいろ言いたくもなるが、若い頃にこれ を観れば、多分こんな世界に憧れも持つだろうし、それが実 現しなくても夢を持つことが、それからの人生にとっての糧 にはなるだろうとも思えるものだ。 出演は、2010年3月紹介『瞬』などの北川景子、同年4月紹 介『BECK』などの向井理。さらに3月紹介『きな子』などの 山本裕典、5月紹介『君が踊る、夏』などの五十嵐隼士。他 に大政絢、賀来賢人、加藤夏希らが脇を固めている。 監督は新城穀彦。テレビ演出のベテランで劇場用作品は4作 目とのことだが、東京上空の空撮なども見事に描かれて、な かなか気持ちの良い作品に仕上がっていた。
『スコット・ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団』 “Scott Pilgrim vs. the World” 2008年5月紹介『ホット・ファズ』などのイギリスの注目若 手監督エドガー・ライトによるハリウッド進出第1作。 カナダ出身のコミックス作家ブライアン・リー・オマリーが 2004年に第1巻を発表したグラフィックノヴェルの映画化。 因にこの原作は2010年に出た第6巻で完結したが、2009年に 発表の第5巻ではComic-conで発表されるアイスナー賞も受 賞したそうだ。 アマチュアバンドでベース担当するスコットは、年齢22歳の ちょっと冴えない男。そんなスコットも17歳の中国系ガール フレンドが出来、バンドの練習に連れてきてもいたが、突然 別の理想の彼女を見付けてしまう。 そしてその理想の彼女にいろいろアタック、ついにはデート にまで漕ぎ着けるのだが、そこに彼女の元カレたちの軍団が 襲いかかる。そこに現れるのはスタントチームを引き連れた 映画スターだったり、音楽業界の大物だったり… そんな元カレ軍団を、演奏バトルや対戦モードになると突然 発揮される格闘の技で次々倒して行くスコットだったが…。 そんな展開がヴィデオゲームを思わせる映像や、いろいろな 楽曲を彩りに描かれる。 出演は、2007年『JUNO』などのマイクル・セラ、2007年 7月紹介『デス・プルーフ』などのメアリー・エリザベス・ ウィンステッド。他に、キーラン・カルキン、クリス・エヴ ァンス、アナ・ケンドリック、アリスン・ピル、ブランドン ・ラウス。 さらに日本から、2009年2月紹介『鴨川ホルモー』や8月紹 介『風が強く吹いている』などに出演の斎藤慶太・祥太の双 子兄弟も登場している。 脚本はライト監督と、俳優として『デス・プルーフ』などに も出演しているマイクル・バコールが担当。 正直なところは、脚本にサイモン・ペグが加わった前2作に 比べると映画センスが今一な感じで、VFXとジャッキー・ チェンのチームも参加したというアクションの派手さに比べ て物語があまりにも弱い。 しかし帰りのエレベーターでは「こんな凄いの初めて」とい う興奮した声も聞こえてきたから、最近の若者はこの程度で も満足できるようだ。『ホット・ファズ』に続いてファンの 要望で公開されるという作品だが、そういうファンも大勢い るのかな。そう言う僕も、『ホット・ファズ』には満足した のだったが。
『ビューティフル』“Biutiful” 2007年1月紹介『バベル』などのアレハンドロ・ゴンザレス ・イニャリトウ監督による最新作。アメリカ・アカデミー賞 で外国語映画部門及び主演男優部門の候補にもなった。 舞台はスペインのバルセロナ。主人公は死者の魂とコンタク トが出来るらしく、死体安置所でその言葉を聞き、遺族にそ れを伝えて何がしかのお金を貰っている。その一方で彼は違 法滞在の中国人やアフリカ人に仕事の斡旋などもしているよ うだ。 そんな彼には2人の子供がいて、学校の放課後は中国人女性 にその世話を頼んでいるが、その子供たちの実の母親は精神 疾患の躁病で、その症状が出ているときには何をし出かすか 判らない。このためその母親とは別居状態にある。 そして中国人が仕切る海賊版製造の仕事に行き詰まりが生じ たり、麻薬密売人のセネガル人が検挙されたり、いろいろな 事件が進行して行くが、そんな中で彼自身の余命が2カ月と 医者に告知されてしまう。 子供たちの母親の住むアパートの部屋からはサグダラ・ファ ミリアが遠望されるなど、観光地としても華やかなバルセロ ナの裏側で、ぎりぎりの生活を送っている人々の姿が主人公 の目を通して描かれて行く。 それは主人公にとっての生活の糧でもあるが、そんな中国人 やアフリカ人のために少しでも良かれと行動を起す主人公。 それは、自分の死期が迫っているからだけでもないようだ。 そんな主人公の苦しみや悲しみが描かれる。 出演は、2008年3月紹介『ノー・カントリー』でアメリカ・ アカデミー賞助演男優賞を受賞し、本作でも主演男優賞候補 に挙げられたハビエル・バルデム。 他には、アルゼンチンの舞台女優で舞踏家のマリセル・アル バレス、2008年9月紹介『アラトリステ』に出演のエドゥア ルド・フェルナンデス、2005年6月紹介『世界』に出演のチ ェン・ツァイシェン、テレビ版『三国志』に出演のルオ・チ ン。 また主人公の2人の子供役のハナ・ボウチャイブとギレルモ ・エストレラ、セネガル人の妻を演じるディアリァトゥ・ダ フは、実際にそれに近い境遇にいる人々が選ばれて出演して いるそうだ。 監督の前作『バベル』はかなりトリッキーで、その中で日米 のスターたちが踊っている感じもしたが、本作ではストレー トに物語が展開され、それは最初は少し戸惑いを覚える感じ もした。しかしこの真摯な物語には、この手法が最適なもの だろう。そんな感じの作品だ。
『ザ・ホークス』“The Hoax” 1971年、大手出版社マグロウ=ヒルを相手に繰り広げられた 「ハワード・ヒューズ自伝」の贋作事件。その顛末を当事者 である贋作者のクリフォード・アーヴィング自身が著わした 著作に基づいて映画化した作品。 2002年2月紹介『シッピング・ニュース』などのラッセ・ハ ルスレム監督が、2009年4月紹介『HACHI』の前に同じ主演 のリチャード・ギアと組んで発表した2006年の作品で、この 後の監督は2009年まで作品を発表していない。 アーヴィングは、それ以前には贋作画家エルミア・デ・ホー リーの自伝(後にオースン・ウェルズが映画化した『フェイ ク』の基になった)などを出版したこともあったが、1970年 の当時はあまりぱっとしない作家だった。 そんな彼が企画を思い付く。「ハワード・ヒューズ自伝」。 当時すでに隠遁生活に入り、腹心の部下の前からも姿を消し ていたヒューズは、巨額の賠償請求の裁判なども起こされて 本人が人前に出てくる可能性が全く無かった。 それならでっち上げの「自伝」を出しても本人が文句を言っ てくる事はないのではないか。こう考えたアーヴィングは、 ヒューズと個人的にコンタクトが取れたと自称し、その「自 伝」をマグロウ=ヒルに売り込んでしまう。 ところが、「自伝」を本物らしく見せようと調査をするアー ヴィングの前にいろいろな情報提供者が現れ始める。そして 最後に届いた資料には、当時のニクソン政権を揺るがす政治 スキャンダルが記載され、ヒューズがその公表を望んでいる ことが伺われた。そして出版社に圧力が掛かり始める。 作品は飽く迄もアーヴィングの言い分に従ったものだが、映 画化に当って製作者らが調査した結果でもこの政治スキャン ダルを伺わせる事実が浮かび上がったそうだ。もちろんアー ヴィングが行ったことは犯罪だが、それによって政治が動い たことも事実かも知れない。そんなことも思わせる作品に仕 上げられている。 さらに物語の中には当時テキサス州知事を狙っていたジョー ジ・ブッシュへの言及などもあり、監督がその後3年間も作 品がないのはそのせいかとも考えさせられた。 出演は、リチャード・ギア、アルフレッド・モリナ、マーシ ャ・ゲイ・ハーデン。他に、ホープ・デイヴィス、ジュリー ・デルピー、スタンリー・トゥッチらが脇固めている。
『小さな池』“작은 연못” 1950年7月、朝鮮戦争の最中に起きた現実の事件を再現した 作品。 当時、北朝鮮の猛攻に後退を余儀なくされた米軍は、大田か ら釜山に通じる唯一の道である老斥里一帯に阻止線を設ける ことを決定。その地域の住民に待避命令を発令し、500余名 を南に避難させることにする。 ところがその避難民の中に北朝鮮の工作員が紛れ込んでいる との情報がもたらされ、米軍上層部は避難民の作戦地域通過 の阻止を現地に指令。指令を受けた現地の部隊は南下を急ぐ 避難民たちに無差別の空爆と銃撃を加える。 さらにその難を逃れて双窟橋の橋下に逃れた避難民300名に 対しては、2大隊による銃撃が加えられて、結局生き延びた 住民は25名。彼らは死体を盾とし血の水を飲みながら命を長 らえたという。 そんな米軍による住民の虐殺事件は、韓国中では60件以上起 きたと言われるが、その内その事実が認定されたのは本件の み。それも1999年にAP通信の記者によってその事実が調査 ・報道され、朝鮮戦争後50年を経てようやく米韓両国政府が 認めたとのことだ。 という事件の描かれた作品だが、実は上映時間が86分。しか も映画の前半は平和な時の村の様子が延々と写され、それは 悲劇を際立たせるためには必要だったかも知れないが、その 一方で事件が起きた真の原因などはほとんど語られない。 実際に上記の北朝鮮の工作員云々の話も、プレス資料に書か れているだけで映画の中では殆ど説明もされていなかった。 それは確かに住民たちも何も判らず殺されたのだから、それ と同じ感覚を味わう点では作品の意図も判るのだが。 それでいて映画には、米軍に協力する日本人の姿などは執拗 に描かれていて、そこには意図的なものも感じられた。それ にしても住民への避難勧告が英語と日本語だけで行われてい たというのも凄い話だ。 第2次大戦以降の米軍の犯罪がほとんど報道されていないの は確かだろうし、それを明るみに出すという意味では貴重な 作品であることは確かなものだ。しかしやるなら米軍内の動 きなどもちゃんと描いて、真の犯人が誰だったのかも明らか にするべきだろう。 それらも含めて描いてこそ意義のある作品になる。本作では それが出来ない理由が他にあるようにも思えてしまう。前回 紹介した『黄色い星の子供たち』がパリ警察の様子なども描 いていたのと対照的だ。 なお本作は、5月末から東京新宿のK's cinemaで開催される 「真!韓国映画祭2011」にて上映される。
『ソウルのバングラデシュ人』“반두비” 3月17日に行われた試写が政府の帰宅命令で中断され、その 続きの約30分が『小さな池』の試写後に上映された。従って かなり変則的な鑑賞になったが、今回報告させてもらう。 物語は題名の通り、ソウルに暮らすバングラデシュからの労 働者の姿を描いた作品。 主人公は、バングラデシュに家族を置いて韓国に出稼ぎに来 ている浅黒い肌の青年。ある日バスの中で財布を落とし慌て て車内に戻るが、隣席にいた女子高生は見ていないと言い張 る。しかし疑いを持って後をつけると、案の定、彼女は財布 を隠し持っていた。 そこで警察に行こうと言う主人公に、彼女はいろいろ言い訳 をした挙げ句、何でも願い聞いてあげると言い出す。そこで 出稼ぎ来てから1年分の給料を支払わない社長の家に交渉に 行ってくれと頼む主人公だったが… その女子高生は、カラオケを経営する母親と2人暮し。しか し最近の母親は愛人の世話に忙しく彼女をかまってもくれな い。そして学校の夏休み、英会話塾に通おうとする彼女はお 金が必要だった。でも、何となく彼の願いに付き合うことに なって… 特に異文化の交流というような話ではない(多少はそういう 面もある)が、何となく等身大の女子高生と外国からの出稼 ぎ労働者の置かれた環境など、日本でも通じるようなお話が 展開されて行く。そこには韓国人にはちょっと手厳しさも描 かれている。 実際、一方の主人公である女子高生は落とし物の財布を隠し てしまうような神経の持ち主だし、金持ちなのに外国人労働 者の弱みにつけ込んで賃金を支払わない社長など…、でもこ れは日本人も同じかな。 そして映画では、徐々に心を通わせて行く2人の関係が甘酸 っぱく描かれ、最後にはちょっと希望も描かれていた。 脚本・監督のシン・ドンイルは、2006年デビュー作の『訪問 者』がベルリン国際映画祭のフォーラム部門に出品されたと いう俊英で、本作はその第3作。常に人の関係を描き続けて いる映画作家だそうだ。 出演は、バングラデシュ人の青年に監督の前作『私の友人、 彼の妻』にも出演していたマーブブ・アラム・ポロブ。また 相手役の女子高生を演じたペク・ジニは、昨年日本公開され た『キッチン』に出演していたようだ。 なお本作は、5月末から東京新宿のK's cinemaで開催される 「真!韓国映画祭2011」にて上映される。
『エンジェル・ウォーズ』“Sucker Punch” 『300』などのザック・スナイダーの原案・脚本・監督・ 製作による作品。 主人公は、精神病院に収容された少女。少女は社会性の欠如 や粗暴性などからロボトミーの処置を施されることになり、 その施術は5日後と告げられる。その精神病院には、演劇や ダンスで治療を行う設備があり…。 そこで場面は転換して少女のいるのは娼婦館。新人の少女は ダンスもろくにできないが、5日後には大金持ちが来て彼女 を買うのだという。そして彼女がようやく踊り出した時、そ れは全ての観客を魅了するものだった。 その彼女がダンスを始めると、場面は再び転換してちょっと ファンタスティックな戦場となる。そしてそこにいた賢者か ら、「地図、炎、ナイフ、キー、それに秘密のアイテムを揃 えたとき、自由になれる」と告げられる。 こうして彼女は娼婦館に暮らす少女たちと、それらのアイテ ムを集める作戦を開始する。それは彼女のダンスに男たちが 魅了されている間にアイテムを奪い取る計画で、そのダンス の度に場面は娼婦館から戦場へと転換し、そこでの闘いが繰 り広げられる。 恐らくはスナイダー監督の妄想なのだろうけど、何とも摩訶 不思議で強烈な世界が描かれる。それらは全てCGIで描写 され、空を飛んだり爆発したり、巨大な建物が崩れ去ったり の正しく妄想の限り何でもありの世界だ。 そんな中でちょっとトリッキーな物語が描かれて行く。 出演は、2005年2月紹介『レモニー・スニケットの世にも不 幸せな物語』のエミリー・ブラウニングと、2010年4月紹介 『ブライト・スター』のアビー・コーニッシュ、2008年5月 紹介『イントゥ・ザ・ワイルド』のジェナ・マローン。 他に、『ハイスクール・ミュージカル』に出演のバネッサ・ ハジェンズ、夏公開『ハングオーバー2』に出演ジェイミー ・チャン。さらにカーラ・グギノ、オスカー・アイザック、 ジョン・ハム、スコット・グレンらが脇を固めている。 主人公の妄想が映像化されるということでは、『スコット・ ピルグリム』も同様だが、さすがスナイダー監督はスケール も違うし、物語もただ馬鹿々々しいだけでない、僕らの納得 できるものになっていた。
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