| 2003年03月16日(日) |
Nセキュリティ、マイ・ビッグファット、めぐりあう時間たち、D.I.、メラニーは行く、ヤァヤァ・シスターズ、母と娘、Taxi�� |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介します。 ※ ※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※ ※いますので、併せてご覧ください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ナショナル・セキュリティ』“National Security” 『バッド・ボーイズ』が評判の黒人スターのマーティン・ロ ーレンスと、『クリムゾン・タイド』などのスティーヴ・ザ ーン共演のバディコメディ。 バディコメディというのは、男同士または女同士が反発した り協力したりしながら話を進めるタイプのコメディで、ハリ ウッド映画では昔からよく作られている形式の一つ。特に警 官ものに人気作が多いようだ。 基本的には2人のキャラクターに魅力があれば、特別に大げ さなアクションや特撮も不要で、どちらかというと、それほ ど製作費を掛けないBムーヴィ的な作品に向いていると言え る。そしてこの作品は、そんな系統としては典型的な1作と 言えそうだ。 一方は、警官志望だったが派手にやりすぎて警察学校を退学 になり、警官を逆恨みしている黒人男性。他方は、その男を 暴行しているかのように市民のヴィデオに撮影され、陪審員 裁判で有罪となって警官を退職させられた元白人警官。 当然犬猿の仲の2人が、共に警備会社の警備員となり、とあ る事件から警察内部の腐敗を察知し、その追求のために協力 していかざるを得なくなる。 上にも書いたように大げさなアクションや特撮がある訳では ないが、その分、物語が丁寧に作られているというか、上映 時間が1時間28分の割には起承転結のしっかりしたお話にな っていた。 製作も兼ねるローレンスは、それなりに黒人らしい乗りの演 技をしているが、ザーンの方は、かなり屈折した設定で、ほ とんどのシーンは苦虫をかみ潰したような感じ。それがまた 良いコントラストになっている。 それほど製作費の掛かった作品とは思えないが、アメリカで はそこそこの興行成績を上げている。アメリカ人がこの手の 作品が好きということもあるのだろうが、それなりにしっか りと作られていることも評価されたのだろう。 なお、タイトルは実在の警備会社の名前で、製作にも協力し ているようだが、その辺の親しみ易さもあったのかも知れな い。 『マイ・ビッグファット・ウェディング』 “My Big Fat Greek Wedding” ギリシャ系カナダ人女優ニア・ヴァルダロスが、自分自身の 結婚にまつわる実話に基づいて書き上げた舞台劇の映画化。 ギリシャ系の女性が非ギリシャ系の男性と結婚式を挙げるま での顛末が描かれ、アメリカではすでに1年近いロングラン で、興行収入2億ドルを越える大ヒットを記録。今年のアカ デミー賞脚本部門の候補にもなっている。 主人公は30歳独身の女性。典型的ギリシャ人の父親は、娘は ギリシャ人の男と結婚して夫につくし、子供を3人生むもの と決めている。彼女はもっと自立した女性像を目指している のだが、現実は父親の経営するギリシャ料理店の手伝いをす るしかない。 そんな彼女に転機が訪れる。またまた店にやってきた非ギリ シャ人の男性に、一目で恋をしてしまったのだ。彼女は父親 を説得してコンピュータの講習に通い始め、叔母の経営する 旅行代理店を切り盛りするようになる。 そんな彼女のところに、件の男性が再び現れ、二人は順調に 愛を育むのだが、父親は当然のように反対。しかしその苦難 にめげず、ついに結婚式に漕ぎ着けるまでの物語だ。 描かれているのは、ギリシャ人と、ミラーという苗字が何系 かは知らないが、非ギリシャ系男性が繰り広げるカルチャー ギャップの面白さみたいなもので、この手の可笑しさは、別 段それぞれのカルチャーを知らなくても充分に伝わるところ だ。 というより、あまり深くないところでその可笑しさを描いた ところに、アメリカでの大ヒットの要因があるような気がす る。つまりその可笑しさは、日本人にも充分に伝わるはずの ものということだ。 ニア本人が主演して、巻頭、ぶすの典型のような容姿で現れ る主人公が、徐々にギリシャ彫刻のような美人に変身して行 く辺りも、映画の構成として見事に決まっている。 『めぐりあう時間たち』“The Hours” 1923年、『ダロウェイ夫人』を執筆中のヴァージニア・ウル フ。1949年、その『ダロウェイ夫人』を読みながら夫の誕生 パーティの準備をするローラ・ブラウン。そして2001年、文 学賞に選ばれたもののエイズが発病して死を間近にした詩人 のためにパーティを準備するクラリッサ・ヴォーン。この3 つの時代、3人の女性を巡る物語。 少し前の『抱擁』でも、2つの時代を行き来する構成が使わ れたが、この映画では3つの時代が交錯する。しかもこの作 品では、それぞれ時代に、ニコール・キッドマン、ジュリア ン・ムーア、メリル・ストリープを配することで、本当に途 切れなく自在に時代を切り替えて行く。その手法は、小気味 よいほどに見事に映画的に決まっている。 ヴァージニア・ウルフで象徴されるように女性のための作品 で、男の僕は蚊帳の外のようにも思えるが、それぞれの時代 に生きた女性達の思いは、それぞれ強く生きようとした姿で あるだけに、男の僕にも理解できる感じがした。 キッドマンが主演女優、ムーアが助演女優、それに詩人を演 じたエド・ハリスが助演男優にノミネート。特に、キッドマ ン、ムーアの変貌ぶりは見事だ。 他に、ストリープとローラの夫を演じたジョン・C・ライリ ーは、それぞれ別の作品で助演賞の候補になっている。また ムーアは別の作品で主演賞の候補にもなっており、とにかく 演技賞候補だらけの作品と言えそうだ。 『D.I.』“Yadon Ilaheyya” 昨年のカンヌ映画祭にパレスチナ映画として初めて公式にエ ントリーされた作品。映画祭では、国際批評家連盟賞及び審 査員賞をW受賞している。 ナザレ、東エルサレム、ラマラとエルサレム間の検問所の3 地点を主な舞台に、いくつものコントを積み重ねて作られた コメディ作品なのだが…。 正直に言って僕は全く笑えなかった。というか、多分笑える ところはあったのだけれど、その描き方が、妙に現実味があ って、笑っていいのかどうか迷ってしまったのだ。 例えばテロリストに火炎瓶を投げつけられても1本の消火器 で平然と消してしまう家がある。すると次にテロリストは、 その家に機関銃を乱射する、といった繰り返しギャグが登場 するのだが、これを見て笑うことが僕にはできなかった。 だから、最後に突然展開される大アクションシーンは、それ 自体は笑っていいものだと思うのだが、それまでの経過を見 ていると笑いを躊躇してしまう感じなのだ。試写会場の全体 の雰囲気もそんな感じだった。 当事者が作った映画なのだから、当然笑っていいはずだし、 カンヌで2冠というのは、それが評価されたのであろう。ヨ ーロッパ人はこれを笑い飛ばせるのだと思うと、逆に距離的 には遠い我々の方が意識し過ぎてしまっているのかも知れな い。ある意味、究極のブラックユーモアとして見ればいいの だろうが…。 『メラニーは行く』“Sweet Home Alabama” 『キューティー・ブロンド』で大人気リース・ウェザースプ ーン主演のコメディ。アメリカでは1億ドル突破の大ヒット を記録した。 主人公のメラニーは、故郷アラバマの田舎町から家出同然に ニューヨークにやって来る。そして新進デザイナーとして成 功を納め、キャンディス・バーゲン扮するニューヨーク市長 の息子から結婚を申し込まれるまでになるのだが…。 彼女には10代で結婚し、現在も離婚に応じてくれない夫がい た。彼女は、離婚届けに夫のサインを貰うため、数年ぶりに 故郷の田舎町に戻ってくる。そして彼女を待ち受けていたの は、昔と変わらぬ田舎の暮らしだった。 普通ではほとんどありえないシチュエーションで、これがな ぜアメリカ人の共感を呼んだのか不思議な感じなのだが、映 画を見ると理解できる。何しろ脚本が上手いのだ。 無茶苦茶無理な設定を納得できるように納めて行く手際の良 さ。しかも素性を隠している主人公にはそれがばれそうにな る危機の連続。そして見事な結末。ハリウッド映画の典型を 見せられたような作品だ。 宣伝コピーにあるように、主人公は目茶苦茶わがままと言え ないこともないが、彼女なりに悩み苦しんでいる姿が気持ち 良く描かれているところにも、共感が得られたのだろう。男 性にだってこの気持ちは理解できるところだ。 『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』 “Divine Secrets of the Ya-Ya Sisterhood” サンドラ・ブロック、アシュレー・ジャド、エレン・バース ティン共演の母と娘もの。 ブロック扮するシッダは劇作家として成功し、雑誌のインタ ビューで母の思い出を語る。しかし、子供の頃に母にベルト で鞭打たれたと語ったことが大きく記事にされたことから母 親の逆鱗に触れ、電話口で大喧嘩になってしまう。 そこに立ち上がったのがヤァヤァ・シスターズ。彼女の母親 を中心に結成された4人のメンバーの内、母親を除く3人が 彼女の元へ現れ、彼女を拉致して故郷の湖畔のロッジに連れ 行き、母親との和解の策を練り始めたのだ。 原作の翻訳もあるようだが、その内容も知らず題名から想像 しただけで気楽に見に行った僕は、予想外の展開に思わず居 住まいを正してしまった。母親と娘の確執というのは、どこ の国にでもある話なのだろうが、ここまで見事に描かれると …。 確かに、シチュエーションはかなり特異なものになっている が、そこに描かれているのは一歩踏み間違えればどこにでも 起こりうる話。原作がベストセラーという理由も良く判る感 じがした。しかも、見事にコメディのオブラートに包んでい るのだ。 上記以外に、ジェームズ・ガーナー、マギー・スミスらが共 演、この顔ぶれでは、題名から想像されるようなお話である はずがなかったのだ。主演というか、キャストのトップはサ ンドラ・ブロックだが、アシュレー・ジャドの熱演が光って いた。 『母と娘』“Anak” 日本でもカバーされた70年代のヒット曲をモティーフにした フィリピン映画。フィリピンでは00年に公開され、同国映画 史上歴代トップの大ヒットを記録したそうだ。 主人公は香港に家政婦として出稼ぎに行っていた女性。6年 間の仕事を終えてようやくマニラに帰ってくる。その間、事 故死した夫の葬儀にも帰国を許されず、残した家族は、現在 は高校に通っている長女と長男、そして1歳の時に別れ7歳 に成長した次女。 しかし彼女は、空港に迎えに来た長男と次女を見つけること ができず、長女は出迎えにも来ない。長女は父の葬儀に帰国 しなかった母親を許していなかったのだ。母親は6年間で貯 めた資金で事業を興し、もう家族の基を離れないと言うのだ が…。 フィリピンの人口7650万人に対して、海外に出稼ぎに行く人 は500〜600万人と言われ、もはや一つの産業と呼べるもの。 しかしその陰でが多くの悲劇も生まれていることだろう。こ の作品も取材された実話に基づいているということだ。 映画の作りは古臭く、ハリウッド映画のような派手さはない が、同じ東アジアの近隣の国がこういう現状にあることを、 我々はもっと知らなくてはいけないと感じた。 『Taxi ��』“Taxi 3” リュック・ベッソン脚本の人気シリーズの第3弾。 スピード狂の主人公が運手するタクシー仕様のプジョー40 6が、今回は強盗団を追ってフレンチアルプスのゲレンデを 疾走する。 サンタクロースの服装をした強盗団が登場。彼らは全く証拠 を残さずに次から次へと犯行を繰り返す。その捜査で頭が一 杯のマルセイユ警察の刑事エミリアンは妻の異変にも気づい ていない。 一方、スピード狂のタクシー運転手ダニエルは今日も徹夜で 愛車の改造に余念がないが、ついに愛想をつかした恋人のリ リーは実家に帰ってしまう。 そして今回、ダニエルが改造したプジョー406は、最高時 速300キロを突破。TGVも追い抜くスピードで町を疾走す る、というお話。 今回の映画のアイデアは、プジョーがゲレンデを突っ走ると いう一点で、それ以外は、そこに持って行くための無理矢理 な展開という感じだが、でもそれがこのシリーズの魅力な訳 だし、それで良いのだ。 スタッフ・キャストは、全員前2作の顔ぶれが揃っている。 それに今回は謎の中国人女性の役で『ワイルド・ワイルド・ ウェスト』などのバイ・リンが登場。さらにプロローグには サプライズ・ゲストも登場する。
|