ちむたんのつぶやき
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楽しい土曜日。 午前中は保険会社から派遣されてきた調査員さんへの対応に追われる。果たして保険金は下りるのでありましょうか。たはー。
夕方は三百人劇場「マレーネ〜ディートリッヒ・ストーリー〜」を観に行きました。憧れの大浦みずきさんの舞台です。 物語は、すでに70歳を越えたディートリッヒが、ワールドツアーでパリにやって来るところから始まります。舞台の上には楽屋のセット。客席から毛皮のコートに白いスーツ姿で現れるディートリッヒ。長身のなつめさんの姿が、異様なまでの威厳と迫力をもって暗闇の中に浮かび上がりました。 癇が強くて潔癖症で、付き人を買って出てくれた古い友人ヴィヴィアンや「おばあちゃん」と呼ばれる口のきけない年配の女性にも遠慮会釈なく我侭放題当たり散らすディートリッヒ。人前では押しも押されぬスターとしての傲然たる態度を崩さずにいても、独りになった途端に不安に苛まれ、過去の辛い記憶に押し潰されそうになります。 なぜ舞台になんて立っているんだろう。移りゆく四季の美しさも、親しい友や恋人との語らいも、家族との平穏な日々も、何もかも後にして。そう自問自答します。 そして幾度も「出来ないわ!もう舞台になんて立てない!」と悲鳴をあげて身を揉み搾っていながら、開幕のベルが響き渡ってヴィヴィアンがドアを開けた瞬間、この上もなく穏やかな笑みを浮かべてこう言うのです。 「もう一度、騙せるかどうかやってみるわ」
鳥肌が立ちました。 この微笑みと短い言葉だけが、舞台に立つ人間が凄まじい孤独と引き換えに得る栄光を、観る者の胸に深く刻み付けるのです。
紗幕が引かれて現れたディートリッヒは、あの「嘆きの天使」で見せたトップハットに黒燕尾姿でした。ついさっきまでの、狂気と焦燥に焼き尽くされたような表情の余韻など微塵も窺わせませんでした。 短いショーの場面の中で万華鏡のような色とりどりの表情を見せて歌い、踊り、差し出された花束に大げさに驚いて見せ、幾度も女王のようにお辞儀をして去ってゆきました。
凛とした空気の張り詰めた、美しい時間でした。
ヴィヴィアン役の海峡ひろきさん(みゆさん)も、冷静な表情の下に燃えるような思いを秘めている雰囲気が素晴らしかったです。 お二人とも宝塚のOGなので、どうしてもチャーちゃんのことを思い出します。彼女も、こんな素晴らしい先輩達がひたむきに歩んでゆく道をこれから歩き出すのです。
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