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■ 狂作「題名のない夜」
吐き出す吐息が身を削り
吐き出す唾液が身を濡らし
吐き出す愛が身を焦がす
衣擦れ 春宵 風の音
静かに漂う 漂白の想い
夢中を駆け巡る快楽よ
せめて静かに せめて楽に
忘れたい気持を忘れさせておくれ
汚れが着いたこの胸を 美しいナイフで削って
その腕で抱いて欲しい
穢れが憑いたこの胸を 美しいナイフで刺し殺して
その腕に抱かれて
死なせて欲しい
月が狂気を錯乱で誤魔化し
私が愛情を鬱病で誤魔化す
医者は月を無条件に美しいと褒め称えれば
医者は私を無条件にキチガイと褒め称える
この夜は狂っている
だってこの夜は爪で削れそうなほど陳腐な作り物なんだもの
硬度ナイフの月光が 私を刺し殺す
駐車場で猫を刺し殺した アイツのジャックナイフよりも
昔棄てた女がみせた 感情のこもったナイフよりも
鋭利に尖った切っ先が
私の汚い 汚い 穢れを刺し殺す
この街の夜は 美しくも 儚く 狂っている
そして
私はこの街の夜に独り。
2002年05月05日(日)
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