メーコの芋ちゃん日記

2003年05月30日(金) 2度目の検診

連日辞書と格闘しながらも、なぁ〜んの学習結果も得られないまま2週間を過ごしてしまったメーコは、メーコの余りの自覚の無さに危機感を抱いてしまったらしい面持ちのダーリンに付き添われ、2度目の検診へと向かった。
今回は、ベイビーの心音を聞いたり、例の花市場ならぬ子宮ガンの検査もするという話。
看護婦さんの話によると、今回から妊娠7ヶ月(27週)までが月に一回、その後28週から35週までが2週に一回、そして36週以降出産までが週に一回のペースで検診を受けるといい、
どーやらこれは日本と同じようである。

受付を済ませたメーコは、前回同様中の個室に通され、まずは体重と血圧を測る。
その後、採尿を済ませ、待つこと十数分。 今日は「薄緑のおねーさん」が登場してメーコを別の部屋に案内してくれた。
今回の部屋は、前回よりもグッっと「それらしい」雰囲気である。 
壁には、女性器の説明や胎児が成長していく過程のポスターなどが貼られ、細々とした検査器具なども置かれている。
が、以前メーコが日本で見たような、「これが産婦人科じゃい!」と言わんばかりのカーテン付きの内診用ベッドは見当たらない。 その代わり、フツーの椅子が一脚と、美容院や理髪店にあるような肘掛け付きの椅子が一脚置いてある。 「ここでどーやって診察するんかいな?」と、クビをかしげていたメーコであったが、そのギモンは数分後に解明された。

美容院まがいのその椅子は、ボタン一つで高さや角度が調節できる、「変幻自在診察マシーン」であったのだ。
「それじゃあ、まずは子宮ガンの検査からね」、の看護婦さんの言葉と同時にその椅子はぐぃぃぃ〜ん、と音をたてて傾き、あっ!っと言う間に内診台に早変わり。 メーコは思わず、「おぉ〜っ!」っと叫んでしまった。
日本の内診台は、カーテンで仕切りがされていて、その向こう側で何が行われているか分からず何となく不安な気分になってしまうが、この変幻自在診察マシーンだと、一応ひざから下に風呂敷より一回り大きな紙のシーツをかけて覆いはされているものの、看護婦さんが顔を上げればスグ見えるようになっており、なかなかどーしてスグレものである。
が、しかし、ご丁寧に「はい、それじゃーこの器具を入れますからね〜」だの、「こーゆー器具で細胞を取るんですよ〜」だのと、一回一回怪しげな器具を見せて説明してくれるので、怖がりの人には日本式の方が向いているのではなかろうか、とも思う。

そんなこんなで悩んでいるうちに、5分も経たずに子宮ガンの検査は終わってしまった。
すると次は、「じゃあ、いよいよベイビーの心音を聞くわね」、と言われ、下半身はそのままの状態で、背もたれだけが水平に傾けられた。
メーコは、自分でもどーしてこういう突飛な発想が浮かぶのか良く分からないが、この瞬間、「♪赤上げて、白下げて、赤下げないで白上げる♪」の旗揚げ体操の選手権をやらせたら、間違いなくこの機械が優勝するであろうと確信し、是が非でも出場させたい衝動に駆られてしまった・・・。 芋ちゃんが、こーゆーメーコの血を受け継がずに成長してほしいと願う気持ちは、メーコだけのものではないハズだ・・・。

そんなメーコの不安には気づくハズもなく(気づかれたら却ってコワイが)、看護婦さんと薄緑のおねーさんは、着々と心音検診の準備を進めていた。
仰向けになったメーコの下腹部にゼリー状の薬を塗り、ハンディカラオケのマイクのような機械をお腹にあてる。 すると、「ドクドクドクドク・・・」と、かなり早いペースの、でもしっかりとした心臓の音がスピーカーから流れてきた。
「おぉ〜っっ!!」、と、またしてもメーコは声を挙げてしまった。 
カンドーである。
まだ、姿もカタチも見たことのない芋ちゃんの心音。
タバコを吸い、酒を飲み、ありとあらゆる不摂生をし続けたメーコが、「ホントーに元気な赤ちゃんに育ってくれているのだろうか?」と、いつも抱いていた不安を打ち消すかのような力強い心音。 看護婦さんの、「とっても元気なベイビーね」の言葉とともに、メーコは思わず、うるうるとナミダを流してしまった。
その様子に気づいた薄緑のおねーさんが、「ハズバンドにも聞かせてあげなくちゃね」と、待合室にいるダーリンを呼びに行ってくれた。

暫くしてダーリンが登場し、二人でカンドーを分かち合ったのだが、なぜかダーリンは、感動よりも驚きの方が大きい様子。
フシギに思ったメーコは、検診を終え家に向かう車の中でダーリンに聞いてみた。
「ねーねー、芋の心音聞いてカンドーしなかったのー? メーコなんてさー、思わずうるうるして泣いちゃったのにー」と、少々責めるように尋ねたメーコに、ダーリンも苛立たしげにこう答えた。
「いきなり名前呼ばれて、手〜引っ張られてヘンな部屋に連れてかれたと思ったら、目の前に女の人の足おっぴろげた姿があって、その横で看護婦さんがニコニコしてるじゃないですか!
良く見たらメーコさんで、ヘンな機械から心臓の音が聞こえてたからようやく分かったけど、ビックリした方が大きくって、カンドーしているどころじゃなかったんですよ!」と。

「そりゃそーだ」と、納得したメーコは、アメリカでは、妊婦に対する説明はこと細かで丁寧だが、妊婦のダンナに対しては説明が不十分であるということを悟って2度目の検診を終えたのであった・・・。
メーコもダーリンも、驚くことがいっぱいだぁ!   ・・・つづく。


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