朝起きて、窓を開け放ち、飯を食い、着替える。 風が涼しい…そうか、夏も終わりか。 では、Tシャツもお役御免、今日からはスーツに… と外に出て、強烈な日差しを浴びる。 し、しまった!罠だ! 窓の関係上、いまいち天気を把握しづらい極爆の部屋では、たまにこういうトラップがあったりする。 カンカン照りの中、スーツに身を包んだ男が一人。 ああ…今日も、夏だった、なあ。 本日、汗だくで遠い目をした人間を見かけていたなら、それは極爆だったのかもしれない。
「凄ぇ買い物してさ…!」 上司のその言葉から、極爆の葛藤は始まった。 彼が購入したのは「ガン○ム図鑑」なるもの。 過去から現代まで、全てのガ○ダムを網羅した大図鑑だという。 全二巻。モビ○スーツ編とキャラクター編で分かれているそうだ。 ほ、欲しい! とはいえ、値段は二巻で六千円程度と高額であり、 それ以上に極爆の購入を妨げるものは、一般人としての常識である。 いや…まあ、極爆に「普通」を語る資格があるとは思えないが、 この図鑑の向こう側は「マニア」の領域。これを購入するか否かが、境界線となっている気がするのだ。 しかし…欲しい。 「結局マニアなんだし、買った所で変化ないじゃん」大海原を泳ぐ方々は言うだろう。 確かに極爆は、深い海の底に住んではいるが、 だからといって、これ以上の深度に潜る事は出来ない、「深海」とくくられた中にも、各層に世界は存在するものだ。 さて、どうする… もしかしたら、買ったとしても、今と大差なく生活できるかもしれない。でも、戻れないかもしれない… 頭を抱え、苦悩する極爆。ああ、欲しいような、欲しくないような。
|