オペラ座の怪人 - 2005年02月28日(月) あまりの切なさに、心臓が止まりそうだった。 どれだけの時間を、彼は独りきりで過ごさなければならなかったんだろう。 太陽の光に当たることを赦されず、闇に生きることを余儀なくされた彼が憧れたのは、 一人の少女その人の容姿だけでなく、彼女が持つ才能という輝きだったのかもしれない。 か細く、華奢なその身体から漲る光、輝き、煌めき。 親を失い、孤独の淵に佇む少女に自分を重ねながら、 自分が決して手にすることができないその栄光を、どれほど切に望んだことだろう。 光の中に生きる彼女を手に入れることで、 自分も世間に認められたのだと、そう想いたかったのかもしれない。 彼が得たかったのは、クリスティーヌが纏う光そのものであり、 自分を憐れみ自分へと心を傾けてくれたその想いそのものだったように想う。 だから、最後まで彼女の信じたエンジェルでいたかったのだと思う。 光に生き、神と共にあることを許された愛の象徴として、ありたかったのだと思う。 そうして、愛していたと言ってくれた彼女の言葉で、救われたんだろう。 溢れるほどの才能を手にしながら、本当に欲しかったものがその言葉だったなんて。 それはあまりにも切なすぎる。 観終ったときに、母が言った言葉がとても印象的だった。 「現代の医学をもってすれば、彼の顔の傷だって癒せただろうに、」 ...
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