せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年06月02日(月) 「日本人のへそ」

 今日は、仕込日ということで、稽古はお休み。
 「襤褸と宝石」の演出助手をしている劇団劇作家の石原燃さんに貸してもらったDVD「日本人のへそ」を見た。
 井上ひさしの初戯曲を映画化したもの。監督は、須川栄三。この人は、日本のミュージカル映画のマイベスト「君も出世ができる」を撮った人だ。
 吃音矯正のための演劇という枠組で演じられる、田舎から出てきたストリッパーの成り上がりの物語。そして、ラストのどんでん返し。
 ということなのだけれど、原作を知っている僕としては、なんだかちょっと物足りないかんじ。物語や歌のナンセンスなおかしさは1977年当時はかなりイカしてたんだろうけど、今となってはあまり効いてこないのが残念。
 それでも、キャストの豪華さはすごい。
 主役のストリッパーが緑魔子。プラス、草野大悟、三谷昇、小松方正、ハナ肇、熊倉和雄、なべおさみ、などなどくせ者ぞろい。
 そして、もう一人、絶対に見逃せないのが美輪明宏、美輪さんの「男役」演技だ!
 劇中で何役も演じる美輪さんだけれども、全てが男役、緑魔子との濃厚なベッドシーンもある。後半に登場する、レズビアン、ホモの話の中でも、美輪さんはほぼノンケキャラなのだ。
 1977年といえば、美輪さんは40代前半。何年か前には、深作欣二監督で「黒蜥蜴」を撮っている。この「日本人のへそ」という作品は、美輪さんのキャリアの中でも、とってもとっても異色なものだと思う。
 どうして出演することにしたんだろうか?などと、いろんなことを考えた。
 男役の美輪さんは、とっても二枚目で、長いもみあげも男くさい。声だけ聞いていると、今のゴージャスな美輪さんなんだけど、ドラマとしては何の違和感もない、男の人だ。
 見ていて思ったのは、美輪さんが細かな演技のテクニックで、キャラクターを作っているんだということ。ヤクザ者やら、学生やら、会社員やら、どの男もみんな、美輪さんがものすごく工夫した役作りの結果なんだ。
 (役作りがものすごいのは、他の役者たちも同様だけれども。三谷さんもものすごいことになっている。)
 初日が近い「襤褸と宝石」で久しぶりの男役、しかも、おじさんを演じている僕には、とてもとても参考になった、美輪さんの芝居だった。僕もがんばろう。

 夜、髪を切りに行く。
 髪を短くすると、ハリのなくなった髪の毛が少し元気になったような気がしてくるから不思議だ。
 いつものように「ごっつい加藤登紀子」になったらどうしようかと思っていたのだけれど、真っ黒にしているせいか、そんなでもないようでほっとする。ふつうのおじさんになってるんじゃないだろうか。
 さあ、明日は、衣装とメークありでの場当たり。
 公演の案内をメールで送らせてもらう。
 加藤道夫の最後の戯曲。タイトル通りの襤褸と宝石の世界。大人数のアンサンブル。ベテランの俳優さんたちの芝居、ANZAさんの歌、別所くん演ずる民夫のひたむきさ。みどころ、いっぱいです。
 僕は、いつもとはずいぶん違うキャラクター。でも、僕じゃなきゃできないキャラにはなんとかなってるんじゃないかと思う。
 みなさんのご来場をお待ちしています!


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