せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年11月01日(水) 左腕

 電車が遅れて、遅刻かしらというぎりぎりの時間に富士見ヶ丘に到着。8時45分からの授業になんとか間に合う。
 1、2時間目、図工室で犬づくり。前田先生が、厚手の段ボールに型紙をあてて線を引いて置いてくれたものが、10体分。まずは、型紙どおりに裁断していく作業。
 予定通り、一体あたり、二人で取り組む。総勢20人の選抜チーム。おお、君が来たか!というような子たち、というか、こんなふうに一緒に工作をするのは初めてなので、どの子もとても新鮮な印象。初めて見る表情をこっそり観察する。
 ハサミでもカッターでもない、段ボールカッターを使っての作業。ハサミの半分の歯がノコギリのようになったもの。こんなのがあるんだとびっくり。
 胴体と頭には、曲線がいっぱいあるので、なかなかめんどくさい。手こずっていそうなところを見つけては、段ボールを押さえたりのお手伝いをする。図工室の工作用の机のへりをつかって、ぎこぎこ切っていく。ああ、それじゃ、危ない!とか言いながら。
 つづいて、顔の正面と胴体の側面を丸めていく。固くて分厚い段ボールを曲げていくのはなかなかむずかしい。僕は、大人で手が大きいので、全体を押さえながら、ちゃっちゃとやれてしまうのだけれど、子供達はずいぶん苦労している。裏側からカッターでスジをつけて、ていねいに曲げていく。
 今日作っている犬たちは、胴体はみんな同じ大きさ。ただ、顔は大小二種類ある。でも、裁断のしかたや、丸め方で、ずいぶんいろいろな顔ができあがっているようだ。
 つづいて、足と首を取り付ける。厚紙の筒を前田先生が糸鋸で切って、子供たちに配る。千枚通しで針金を通す穴を開けていく。今度も危なくないように、あちこちの様子を見る。そんな押さえ方じゃ指に穴があくよ!と注意したりしながら。
 穴があいたチームは、針金をもらって、胴体に足をとりつける作業に進んだ。つづいて首も。僕がわりと見ていたガクくんたちのチームは、時間の終わりまでに、首もついて、すっかり犬らしいものができあがっていた。
 途中で、犬の名前の説明が前田先生から。アマレットという名前の犬がいるとわかって、「大切な思い出」の作文で家で飼ってる犬のアマレットのことを描いてくれたキヌちゃんが喜んでくれた。よしよし。
 最後にそれぞれのチームが途中までできあがった犬を、大きなゴミ袋にそっくり入れて、教室にぶらさげて終了。
 次回は、糸をつけるところだろうか? 今度もなんとか顔をだしたいと思う。
 演劇授業のように、教える側じゃなくて、一緒に何かをやってるというのが、とても楽しい。もっとも、これから稽古が進んでいけば、どんどんそういう気持ちになっていくのだろうけれども。
 3、4時間目は、体育館で学習発表会の練習を見学させてもらう。
 「ゾウ列車がやってきた」をもとに、調べ学習をしたことも反映させての群読と合唱。
 初めての体育館での練習ということだったのだけれど、まずは全体を通してみるということに。
 舞台の前にひな壇をならべて、そこに全員が座っている。話す人、歌う人は立ち上がるというシンプルなスタイル。
 それでも、セリフも歌もちゃんと聞こえてきたし、心にも届くものになっていた。最初の立ち稽古(だよね)で、こんなふうにできるなんてすばらしい。
 なかでもサーカスの団長とゾウ使いがとても生き生きとしている。彼らが登場してから、一気に他のみんなの表情もかがやいてきた。
 休憩中に先生方から聞いた話では、先週のオーディションでは、それぞれが一人ずつの希望者で、誰がやるか?というようなことはほとんどなかったのだそうだ。ただ例外が、この団長の役で、二人の男の子が立候補。結果、一人が落ちたのだけれど、二人ともすばらしかったので、新たにゾウ使いという役を描き足したのだそう。二人とも涙ながらのオーディションだったそうで、今日の熱演もなるほどねえと思えた。
 4時間目は、篠原さんが、みんなに感想を伝えて先に帰って、僕一人が残った。そのまま見ていようと思っていたら、田中先生に「演出してもらえませんか」と言われて、「それじゃあ・・・」と最初の場面の練習をしてみる。
 「私たち六年生は・・」と一人が話し始めたとき、その人は全員を代表しているんだから、話してないみんなも、聞いている下級生に話しかけているつもりでいなくちゃねと話す。今日は、誰もいない体育館だけれど、本番では、下級生がいっぱいいるよね。今はいない彼らのことを想像しながら、話しかけていこう。稽古っていうのは、そういう想像力を働かせることでもあるんだよと。
 調べ学習の結果、悲惨な戦争の舞台になった国の名前を何人かのグループに別れて、次々、あげていく場面。一人一人で話しているときは、とてもいいのに、このユニゾンで話す短い場面で、ちょっとトーンダウンしてしまう。
 まずは、誰がしゃべっているのかわかっておくことが大事だと思ったので、国の名前を言いながら、手を挙げてもらう。これだけで、ずいぶんはっきりしたしゃべり方になった。
 「それから日本のヒロシマ」というのが最後のフレーズ。「ヒロシマ」という音は大きな声でしゃべるのがとてもむずかしい。みんなで練習してみる。ヒとシの違いは何だろう。ハヒフヘホと言ってみてもらう。少しお腹に力を入れてみようと話す。
 最後にクロアチアの子供達の言葉をしゃべる場面。4人の子供たちが、立ち上がって話す。このときは、「私たち6年生」が下級生に話してるんじゃなくて、クロアチアの子供たちの話を聞いている「私たち6年生」だ。
 それまで客席を向いていたのを、この場面は、話しているクロアチアの子供一人一人の方を向いて話を聞こうとアドバイス。
 ここまでで授業はおしまい。ほんとに最初の部分だけをていねいにつくったかんじ。また来たときはどんなふうになってるか、楽しみだ。
 授業のあと、体育館で、阿部先生、田中先生とお話。オーディションのこともこのときうかがった。デッキを片付ける係りのルイちゃんが、なんとなく、近くで話を聞いていて、帰りたくなさそうにしていた。先生に、早く行きなさいと言われたけど、気持ちはわかる。僕も子供の頃、先生たちの大人の話を、ずっと聞いていたい子だったと思い出す。
 その後、校長室で宮校長先生と授業全体についてのお話をさせてもらった。話すことでいろいろなことが見えてくる、いい時間だった。給食、ごちそうさまでした。
 夜、左腕が妙に痛い。筋肉痛だ。なんでだろうと考えてみたら、昼間の犬づくりの時間に、段ボールをずっと押さえていたからじゃないかと気がつく。他には左手なんて使ってないし。きっとそうだ。ちょっと情けない。


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