せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年06月07日(水) 富士見丘小学校演劇授業

 5時過ぎにめざめて、樺澤氏からのメールと留守電の確認。今日のフライヤーの入稿関連のあれこれ。あちゃー。ばたばたとメールを送る。
 そのまま起きてしまい、今日は朝から、富士見丘小学校の授業。
 永井愛さんによる「場をつくる」。
 今日は、午前中の3、4時間目が2組、午後の5、6時間目が1組。1組の授業は全校の先生方も見学。
 まずは1組から。はじめに僕と篠原さんでウォームアップ。
 つづいて、まずは「場をつくる」エチュード。1人が出ていって、自分なりにここがどこかを決めてそこにいる。次々やってくる人たちは、自分なりにここがどこかを考えてそこにいつづけて、5人目の人が、「ここは○○」と宣言。そうすると、微妙にずれのある5人は力をあわせて、一つの場面をつくる。それまでは、無言で一人一人ばらばらだったのが、ここがどこかが決まってからはその場面でのやりとりがはじまる。僕だったらどうするんだろうと考えてしまう、なかなかむずかしいエチュードだ。
 子供たちは、やや戸惑いながらも、それぞれの場面をつくっていた。
 イスをならべておいていたので、どうしても座って読書というパターンが多くなってしまい、なかなか動きだしていかないのが、子ども達なりのおさまりかたのように思われた。
 つづいて、「エレベーター」。去年、一昨年の6年生の発表でも見ているので、子ども達にはおなじみの課題。見ず知らずの人たちが乗り合わせたエレベーターが止まってしまう。さあ、どうしよう?というもの。
 途中から、大人を演じないで、6年生でいいということになって、ずいぶんのびのびしたかんじになった。
 さっきの「場を作る」よりも、みんなその場にいることに抵抗がなくなっている気がした。ウケるために何かをするんでなく、ただそこにいるということ、人の反応を見て、話を聞いていることがきっちりできていることに感動する。
 だんだん顔と名前が一致してきた子ども達、一人一人のキャラクターが見えてきた。
 最後に、やりたい人が何人でも出ていいということになったら、ほんとに全員が舞台に集まった。
 エレベーターに乗り切らないので、半分は、エレベーターの前で待っている人たち。それぞれが、いろんなことをしていて、おかしかった。混雑したエレベーターのなかで痴漢騒ぎが起こったり、中と外とで携帯のやりとりがあったり。ただ、だまってようすを見守っている子の生き生きとした表情、大騒ぎから少しはなれて、「今ね、エレベーターが止まっちゃって……」と家に電話をしている子もいた。
 あとで担任の阿部先生に聞いたところ、ふだんは仲間をリードするようなキャラではない子が何人も場面をひっぱっていたそうだ。
 子ども達は、そんな子のいつもとは違う姿におそらくはびっくりしながら、知らなかった一面が見れたことを、素直におもしろがっているんじゃないだろうか。
 印象的な何人もの子供たちの名前が、あたまに入ってきた。面白い、ユニークな子がいっぱいだ。
 給食をはさんで、午後は2組の授業。
 1組よりも動きが多い、ある意味、のびのびした子が多いのが印象的。
 はじめの「場をつくる」エチュードも、レストランやボーリング場、ディスコなど、動きのあるものが多い。
 見学の先生方が大勢いるというのも、がんばりに拍車をかけているのかもしれない。
 続いての「エレベーター」は、知らない人どうしであるということがとてもきっちりおさえられていてびっくりする。永井さんも言っていたように「お互いに敬語で話せている」というのがすごい。初めて会う人は、相手に自分の気持ちをちゃんと伝えようとしなくてはいけない。なれあいの友達の軽いおしゃべりとは違って。
 子ども達は、まるでそのままセリフになるようなやりとりを積み重ねて、場面をつくっていっていた。
 印象的だったのは、キャラクターを作り込んでいる子が何人もいたこと。秋葉系のアイドルオタクの子、下のトラックに工具を置いてきた大工、なんだか大きな荷物を持っている人、実はFBIでピストルを持ち歩いている男。
 最初に「独り言」を言ってから登場という設定が、実によく生きたと思う。
 これまで何度も見た「とにかく脱出しなきゃ!」という脱出劇にならず、「どうしようか?」から「別にいいんじゃない?」とのんびりかまえているキャラクターが今日は何人も登場した。それが、場面に参加すること拒否しているんではなく、ちゃんと参加しながら、ある個性としてそこにいる。
 緊張してる場面なのに、なんで笑ってしまうの?と気になってしまいがちな笑顔でいる子も、緊張してるときって笑うし、誰かに話しかけるときって、ついほほえんでしまうよねと、今日はリアルに思えたのが発見だった。
 僕は、ずいぶん笑い、はらはらし、展開の予想を裏切られ、びっくりさせられた。いいものを見せてもらったと思う。
 こちらの組でも、この子は何?と思うようなおもしろい子がいっぱい。これからがほんとうに楽しみだ。
 授業のあと、ミーティングルームで先生方と一緒に、フィードバック。
 先生方からの感想がとても興味深かった。
 今の6年生の3、4年時、1年生の時の担任だった先生方からのお話。ほんとうにこの子たちは、先生方に見守られながら育っているんだということが、あらためてよくわかった。
 解散後、音楽の畑先生に、僕たちの子ども達への指示の出し方が富士見丘の先生の話し方に似てきたと言われる。たしかに「はい、準備ができたら、始めるよ!」とか普通に言うようになった。先生がたとのおつき合いが長くなって、だんだん話方やこどもたちへの向き合い方について、影響を受けてきたのかもしれない。
 帰り道、永井さん、青井さん、篠原さんと駅に向かって歩いていたら、去年の6年生のカナコちゃんたちとばったり会う。中学の帰りだ。
 「今日は即興劇だったんだよ」などとおしゃべりする中、カナコちゃんに「面白い子いる?」と聞かれる。やっぱり気になってるんだねえ。
 去年の6年生の卒業公演の成果をふまえながら、それをなぞるんでなく、今年の6年生と一緒につくる芝居はどんなものになるんだろう? 何人もの子ども達の顔がうかんできた。どんどん楽しみになってきた。

 フライヤーの入稿は無事終了。夕方になってようやく電話とメールで確認ができた。そういえば、去年も富士見丘の授業の日にこうやってばたばたしていたんだった。相変わらずだ。
 「ムーンリバー」の準備もいよいよ本格的に始まる。こちらも楽しみがいっぱい。


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