せきねしんいちの観劇&稽古日記
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| 2006年03月17日(金) |
ピンズログ「ル坂の三兄弟」 |
高田馬場の駅で絶対王様の笹木くんとばったり会って、一緒に神楽坂のdie pratzeへ。ピンズログ「ル坂の三兄弟」。森川くんが出演している。 ある教会の家族をめぐる約2週間のお話。ピンズログは前回の旗揚げ公演「サラミの会」がとてもおもしろかった。はじめのうち、いったいどうなるんだろう?と思っていたのが、最後には完全に引き込まれて見てしまっていた。途中、うわ、もう暗転?と思ったりしながらも、最後には、それもよしと思えてきた。拍手。 登場人物みんなが、切ってはめたような、いるいるこういう人なかんじで、無理がない。森川くんが演じる、牧師である父親役も。キャバ嬢も、三兄弟のキャラクター違いも、和田好美ちゃんの女子高生も、ストーカーも。キャスティングがとてもうまくいっていて、役者たちは、無理に何かをつくることをしないで、素直に「その先」のことをしている。それが、とてもいい結果を生んでいると思う。セリフをしゃべっていないときの芝居が、印象的だ。微妙な恋心を秘めた高校生が、だまって話をきいているかんじ、携帯をもてあそんでいるかんじ。 途中、ほんとにいやなヤツだと思って同情できなかった長男の妻が、見終わってみるととても心に残る。なんでそんなことするのかなという思いを、途中までずっと種明かししないままに描いて、最後に実はという背景が見えてきても、それでも彼女が抱える心の闇の、言葉では説明できない部分が心に残るんだと思う。 森川くん演じる、甲斐性のない父親の「神への思い」が、この芝居全体を包み、支えている。正面向きになりがちなこの空間で、当たり前のように客席に背を向けて、そこにいる彼の背中がとても雄弁だった。 終演後、みなさんにごあいさつ。一緒に見ていた永山くん、本田さん、キキコロモさん、そして笹木さんと、飲み会に合流する。 いい芝居を見た後は話がしたくなるものだと思う。今日も芝居の話をいっぱいした。作・演出のピンさんとも、初めましての役者さんたちとも。 確信犯で終電を逃して、上野から深夜バス。大江戸線の駅から歩く道の途中、上野公園のはじっこの桜が何本か満開になっていて、思わず「満開だ!」と声を上げる。 一足先のお花見、ほろ酔い気分。いつもならぐたっと寝てしまうバスの中でも芝居のことをずっと考えている。 北越谷で降りてタクシーに乗る。いつも通る駅前も初めて来る知らない街のように見える。酔っているせいか? 運転手さんと桜の話になり、今見てきた上野の桜の話をしたら、「あそこは早いんですよね」と言われる。上野で働いていたことがあるそうだ。 家についても、なんだかとってもいい気分の夜。眠ってしまうのが惜しくて、時々部屋の窓を開けてみたりしながら、朝方まで起きている。
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