せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年02月18日(土) 「蛇苦止浜綺譚」

 ラ・カンパニー・アンの久しぶりの新作。南阿佐ヶ谷、ひつじ座にて。
 いつも思うのだけれど、ここほど、女の人のすごさや弱さやかっこよさ、つまり、丸ごとの女というものを見せてくれるところはない。今回もまたその印象を深くした。
 伝説の龍と蛇が当たり前のように登場して、見ていてなんの違和感もないというのは、やっぱりすごいと思う。
 彼女たちが演じるジェストダンスというのは、どこか日本舞踊や能に似ているのかもしれない。その人物でありながら、その場の情景や景色にも変化していき、その変わり目が自然でよどみがないところ。
 中でも、西山水木さんの魚が陸に上がって、地上を走り出すという動き。この手のものは何度も見てきているのだけれど、水の質感や獣が草原を走るときのようすまでがつたわってくるよう。
 明樹由佳さんは、伝説の龍。戦のために都へ行った夫に会いたい百姓の女。禁を犯して龍に変身して、空を飛んでいくが、あと少しというところで神の怒りに触れ、雷に打たれて死んでいく。ラストシーンで、龍として語っていた(ジェストダンスで)のが、ふと髪に手をやり、まとめて、汗をふき、当たり前のように農作業を始める。その変身のしかたのあざやかだったこと。
 開演前から全員が舞台にいてにぎやかにしている舞台づくり、劇中の男と女のすったもんだのお話と、ダイナミックなシーンが当たり前のように共存しているのがおもしろい。今回もまた、とても刺激的な舞台を見せてもらった。


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