せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年01月20日(木) ワークショップ4日目 青年座スタジオ「なめとこ山の熊の肝」

 昨日に続いて、ファッションチャンネルニュースのMA、「2005春/夏 東京コレクション」のパート。今日は1本なので、さくっと終了。北千住に向かう。

 始まる前にロジャーに挨拶をしたら、こっちにおいでと呼ばれた。
 「ピーター・グリーナウェイの映画は見たことある?」と聞かれて、「『プロスペローの本』ぐらいなら」と答える。ロジャーは「きみはグリーナウェイの映画に出てきそうなキャラクターだね」と言う。へえそうなんだ。
 今日は、はじめに、自由に歩いてごらんと言われて、ロジャーが出した注文どおりのものになってみる。医者、霧、チビ、透明人間、などなど。最後はロジャー・リーズになってみんな歩いた。
 続いて、ロジャーが階下の食品売り場の紙袋からみかんを取り出して、みんなに一個ずつ配る。「このみかんで遊びながら、ソネットを演じてください」
 食べてしまう人、放り投げる人、アクロバットのような動きをする人、トレーナーの袖やパンツの裾から入れて違ったところから出してみるひと、ひたすらミカンで体中をなでるひと、一個ずつの房を床にならべて、足りないので見てるみんなからももらってハートのマークをつくったひと、みんなとってもユニーク。僕は、皮をむいて床にひろげておき、離れたところから、房をひとつずつその皮に投げ入れるというゲームをやってみた。ロジャーには一昨日昨日に続いてまた「ファニー」と言われる。
 続いて、昨日ロジャーに「台詞はどうやって覚えたらいいんですか」という人がいたということで、ゲームをする。「私はスーツケースにちゃんとつめました。○○を」と言って、となりに人に回していく。回された人は、自分で新しい品物の名前を追加していく。どんどん増える品物。まだ名前もちゃんと覚えてないみんなの顔を見ながら、品物の名前を思い出していくことになった。20人の輪をまるまる2回りするまでゲームは続いた。とっても盛り上がる。
 その後、4つのチーム、それぞれ5人ずつに別れて、それぞれのチームで一人の代表のモノローグをみんなで演出するというのをやる。
 僕らのチームは、「十二夜」のヴァイオラをRUMIさんがやることに。「どこで練習してもいいよ」ということだったので、部屋のちょっと外の靴をぬいだりするスペースに集まって、あれこれ言いながらつくりはじめる。
 指輪をどう扱うか、オリヴィアの家はどっちで、公爵の家はどっちかなど、みんなで考え、意見を出し合い、30分の時間ぎりぎりいっぱいでようやく終わりまで通った。
 集まって発表。RUMIさんは最初に発表。とってもイカしてた。
 その後、「ジュリアス・シーザー」、舞台に椅子を置いて、場所と空間の説明。で、やりたい人からやってみようということに。最初にカヨさんがたちあがって、どちらもやりたいけど、キャシアスにすると宣言。ブルータスをほんとにやりたい人はいない?と聞かれて、手を挙げてしまう。
 で、やりました。
 思ったこと。ブルータスは、あんなに早くしゃべっちゃいけないんだ。自分が芝居するよりもキャシアスに芝居させなきゃいけないだ。などなど、反省いっぱい。ロジャーには、「シンはとってもキャシアス向きのキャラだよね」と言われる。僕がやったのはブルータスなんですけど。
 僕らの後にやったYOSHIくんがとてもりっぱにキャシアスを演じた。台本をはなして。すばらしい!
 3組がやったところで今日はおしまい。

 大急ぎで青年座のスタジオに芝居を見に行く。千代田線で一本。「なめとこ山の熊の肝」。
 「なめとこやまの熊」と「グスコーブドリの伝記」をモチーフにした芝居。
 原口優子さんが出演している。
 予備知識がほぼ何もないまま見始めたのだけれど、熊をなんの熊らしい芝居もしない、普通の服装、冬物のコートを着たままで演じていることに、ものすごく心を動かされる。彼らが出てくるたびに、ぽろぽろ泣けて泣けてしかたなかった。
 熊たちが集まってしゃべっているシーンで、母熊と小熊が並んですわっている。
 母熊はおしゃれなコートに品のいい羽のついた帽子。小熊は子役がやっていて、普通の冬のちょっとおしゃれな普段着。それでもって、熊の親子としてやりとりをする。もう、この場面は一生忘れないかもしれない。そのくらい印象的だった。
 熊を撃って暮らしている小重郎と熊の会話も、見たまんまだと、人と人とがふつうにやりとりをしてる。なんて素敵な演出なんだろう。
 村の顔役を演じた津田真澄さんが、いくじなしの息子を叩くところがある。それが、ちっとも芝居芝居した叩きかたじゃなくて、もちろん、叩くふりして蔭で叩く音をさせたりするんじゃなくて、そのことにも感動してしまう。
 ここ何日か芝居ばっかりな時間を過ごしていて、僕はちょっと感じやすくなってたのかもしれない。
 それでも、まっすぐに心に届く、そして、演劇ならではの表現とおもしろさを信じてる、とてもいい芝居だった。
 終演後、原口さんに挨拶して帰ってくる。
 電車の中で、ブルータスの台詞を入れようと思うが、なかなか入ってこない。どうしたんだ?

 電車の接続がとっても悪いので、北越谷で一度降りて、閉店間際の駅前のスーパーで買い物をする。
 家まで自転車で走りながら、台詞をぶつぶつ言っていたら、前のかごにいれていたスーパーのビニールから、さっき買った「桜餅二個入り(50円引き)」が、落っこちてしまい、後輪で引いてしまう。ぐしゃっという音に驚いてあわてて自転車を止める。あたりに広がるさわやかな桜餅の香り。さいわい軽傷だったので、母親と二人で一個ずつ食べる。


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