4つの季節を重ねながら

2001年11月10日(土) 手作り石けんとパンとお蕎麦

一昨日くらいからまたぐぐっと寒くなりました。そこで風邪をひかないように、毎日エキナセアのティンクチャーをティスプーンに1杯程度飲んでから寝ています。たいていはお茶に混ぜて。

エキナセアについてはもう以前書いたかもしれない。もともとアメリカの原住民が使っていたハーブで免疫機能を高めるので、この時期には毎日1杯飲んだり、風邪のひきはじめに1日3回くらい飲むのがお勧め。ティンクチャーというのはハーブをアルコールに浸け込んだもので、ハーブティよりも成分がよく抽出されるのだそうです。

それから寒くなって手が乾燥してきたので、手を洗うために使っていた石けんを変えました。第3作目のオリーブ油100%のもの。泡立ちは悪いのですが、肌にはやさしいもの。しかも、肌の表面だけでなく、奥のほうを潤わせてくれます。


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今日は友人から電話があって、国際電話だというのに長電話してしまいました。インターネットフォンだから、それほどの額にはなっていないはずだけれど。音はとてもいいです。ふつうの国際電話とまったく変わらない。

わたしの作った石けんをお褒めにあずかりました。嬉しい。ほほっ(笑)。

でもねえ、それは世の中にはもっといい石けんがあるってことを知らないからだよ〜。わたしの作る石けんはたいてい洗い上がりは好評です。7難隠すラッピングをしているので、受け取った人たちはたいてい使うまえから「売れるよ!」と言ってくれるのですが、実際に売られている手作り石けんはそんなレベルじゃないんですね〜。もう見た目からして違う。たおさんのといい、BOROBUDUR といい。

パリではまだまだ手作り石けんを売っている人は少ないので、ビジネスとしてみれば有望かもしれないけど、世の中で売ってる手作り石けんのレベルにはぜんぜん達していないから、作った石けんを売るなんてまだできませ〜ん。売るなら、本当にほんとうにいいものが作れる自信ができてからにしたいし、まだクリスマス手作り石けん交換会に参加するのも躊躇われるほどの腕前。

そんなわけで、今日はまた、たおさんの石けんを買ってしまいました(笑)。

最近、手作り石けんのことをあまり知らないかたたちにも来ていただいてるので、ちょっと解説しましょう。


 ここから -------------- 手作り石けん経験者はとばしてくださいね〜

石けんは油脂とアルカリを反応させて作ります。手作り石けんの場合は1対1で反応する量より油脂を5〜15%多く入れていることが多いのです。だから洗った後、皮脂が取られすぎることがない。それから油とアルカリが反応するときにグリセリンができるのですが、市販の石けんはこれを取り除くか、一度除いたあとで、ほんの1%くらい加えて、グリセリンソープとしたりします。それは溶け崩れの原因になるから、なんですが、手作り石けんでは残しておきます。空気中から水分を引き寄せる働きをするので、肌を潤わせるからです。

油脂のほうは基本的には

  オリーブ油:
   グリセリン、スクワランを多く含み、溶け崩れやすく、あまり
   泡立たないけれども肌にはとてもやさしい石けんになります

  ココナツ油:
   泡立ちを良くしますが、入れ過ぎると肌を乾燥させます

  パーム油:
   石けんを固くして、泡をきめ細かく、泡持ちをよくします

洗浄力は泡立ちとはあまり関係なく、高温ではパーム油が、低温や硬水ではオリーブ油が洗浄力の点では有利です。こういった特徴はそれぞれの油に含まれている脂肪酸の組成によって決まります。

あと、作って型に入れてから使えるようになるまで熟成期間がほぼ1カ月かかるのですが、さらに2、3カ月熟成させるとより肌あたりよく、溶け崩れも少なく使いやすくなります。

 ここまで -------------- 手作り石けん経験者はとばしてくださいね〜


で、わたしの作る石けんはオリーブ油を多めに配合しているので、洗い上がりはよいわけです。あと、使いやすくするにはココナツ油とパーム油の配合比率を工夫したり、はちみつや、ココナツミルクや卵など、肌や髪によいとされるものを配合すればいい。

でもねぇ、たおさんの石けんは肌に優しくて、泡立ちが良くて、固いだけじゃないんですね〜。泡が立ったときに、なんだかふわっと癒されるような不思議な感覚があります。レシピを工夫しただけではないなにか。もしかしたらほかの市販の石けんもそうなのかもしれませんが、わたしは(まだ BOROBUDUR も使っていないので)いまのところたおさんの石けんでしか、そういう思いを味わったことがありません。

はじめてたおさんの石けんを買ってから、いままで自分が作ってきた石けんについて、多いに考えさせられました。6月に石けん作りを始めてから、ばたばたとたくさんの石けんを作ってきたのですが、今後は作る回数を減らして、そのかわり1つ1つを丁寧に作っていきたいなと思うようになりました。


   癒されるような優しい泡。


ロシア人はおいしいパンを作るにはよく捏ねることが大事だといいます。でもフランス人はおいしいパンを作るには質の良い小麦粉と新鮮な素材が必要だと言うんですね。わたしはフランスのパンのほうが好きなので、よい石けんを作るにもやっぱり材料を厳選してみよう。

そしていいものを食べて、適度に体操もして体調を調えて、精神的にも調子のいいときに作りたいなと、そう思うようになりました。油も少し高くついたとしても、ていねいに作られた油。原料の植物にあまり無理をさせずにに作られたもの。ミルクにしろ、卵にしろ、はちみつにしろ、作った人の思いのこもったやさしいもの。

ずっと昔、風邪で熱を出して週末のロンドン旅行を諦めようかと思ったときがありました。泊めてくれる友人に電話したところ「さっさといらっしゃい」

おいおい、同じベッドで寝るんだぞと思いながらも、言葉に甘えて行ってみると、野菜たっぷりウズラの生卵が乗ったお蕎麦が出てきました。こちらでは日本食って高くつくんですよね。日本製の食材は日本でのお値段の約3倍。しかも卵まで日本産の卵の味。うわ〜高いのに〜と思いながら食べはじめたら、なんだかとっても暖かかった。わたしに早く良くなってほしいと思っている人が作った味がしました。涙が出そうなくらいおいしくて、ゆっくり味わいました。彼女は食べなくて、わたしだけのために作ってくれたのです。

そんな経験があるので、やっぱり作る人が込める思いって、なにかものを作るときに大事なんじゃないかと思うのです。食べる人のことを大事に考えて作られた原料を使って、使う人のことを大事に考えた石けんを作ったら、本当に身体にいいものが出来そうな気がする。プレゼントするからには喜ばれたいっていう、私欲もないわけではないですが。(苦笑)

廃油ではなく、新しい食用の油を使っているので、はじめからある意味贅沢なもったいない石けんを作っているわけです。それならせめて、ほかの生物への負担の少ないものを使いたい。特に欧州では、本来、草食動物である牛に無理をさせて違うものを食べさせていたら病気になってしまった。だから植物油にも経済性を優先して植物に無理をさせて作った油と、植物自身のこと、それを口にする人のことを考えて作った油がきっとあるはず。ほかの食材にしても同じ。そんなふうに思いはじめたのはつい最近のこと。泡立て器とボールでしゃかしゃかやって、できたものが石けんになってくれただけで大喜びというビギナー期はもうそろそろ卒業(を目指そう)。

そしてまた質の高い石けんの記憶を新たにするために、たおさんのを買って、お勉強、と。(趣味にしてはかなりリキ入ってます、ほんと(苦笑))


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数日前から一時帰国の下準備のはじまりはじまり。

日本に帰ったら、新しく出た手作り石けん&化粧品の本を check するんだ〜。MASACO 石けんも買ってみるんだ〜。(フランスまでは送ってくれないから。その後、アジア・オセアニア地域以外への配送を試験的に受付ていると茂吉さんに教えていただきました。2001年10月30日から12月末まで、追加の送料なし)日本のほかの手作り石けんも試してみようかな〜、ハンズでダフネが見つかったら買ってみようか〜、とプランはいろいろ。そうだ、ウミウシさんにつきあってもらって粗食の本も買わなくちゃ。それからハーブの先生(笑)SABBY さんの手作り化粧品教室にも行きたいっ。SABBY さんの本を持っていってサインを頼んだら、喜ばれるより困惑されそうだけど(笑)。

きっと最大のジレンマはたおさんの「和のレシピ」だな〜。本はとってもとっても素敵そうだ〜。きっと見てるだけで幸せな気分になれる〜。でも、買ってしまったら最後、日本から友達が来るたびに、レシピに必要な和食材をおみあげに頼んでしまいそうだぁ!(笑)

ふむ、どうしませう。。。

プレゼントしてくれそうな人を探すかっ?!(笑)



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