白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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2001年11月07日(水) 次郎の罠゜

いま『プリズンホテル』浅田次郎 集英社文庫 シリーズにハマっている。
浅田次郎と言えば高倉健が主演して話題をさらった『鉄道員』の原作者で
「泣かせる」ことにかけては職人かと思われる作家さんである。

私は俗に言うところの「お涙頂戴」的な小説は、それほど得意ではなくて
むしろ「絶対、泣いてやらんぞ。さぁ、かかってこい!」
・・・とて気が構えて読む方なのだけれど
次郎の罠にマンマと引っかかってしまったのは悔しい限りだ。

「泣かせのツボ」を心得ていて、人の心を計算し尽して書かれた文章。
浅田次郎の小説からは、そんな狡猾な印象を受ける。
もはや、これは『罠』としか言いようがない。
そこに罠が仕掛けられていると、なんとなく勘付いているのに
飛び込まずにはいられない野生動物になってしまった気分だ。

ちなみに『プリズンホテル』とは・・・
正式名称を「奥湯元あじさいホテル」という。
経営者が極道(つまりヤクザ)だったりする問題アリのホテルなのだけれど
投宿すると「この世の垢」を洗い流すことができるような、そんな場所。
ストーリーの面白さもさることながら、登場人物が魅力的なのである。
それぞれ「人間としてどこか欠損している」のに「なぜか優しい」のだ。
私は出版社のまわし者ではないけれど
「騙されたと思って、ちょっと読んでみてよ」
・・・とオススメしたい1冊(とくに疲れちゃってる人達に)

シリーズ3巻まで読んだのだけれど、毎回、毎回
ドキドキしながらページをめくり、怒って、笑って、ホロッとして・・・
「あぁ。人間っていいなぁ」
などと、ひどく道徳的な感慨にふけってしまう。
あぁ。なんてこったい。こんなにピュアに感動しちゃうだなんて。

策士なり! 浅田次郎!!

そして、次郎の罠にハマった私は
『プリズンホテル』の完結編が出るのを待ちわびている。

いいものは、いい。
面白いものは、面白い。
理屈なんて、なんの役にも立たないということを
浅田次郎に叩き込まれたような・・・そんな気がした。


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