金色の夢を、ずっと見てる

2008年11月04日(火) 好きな気持ちは変わらないから。

今朝、いつものように何気なくつけたテレビから、衝撃的なニュースが流れてきました。

小室哲哉氏、詐欺容疑で逮捕。


朝の時点では、まだ任意同行で『容疑者』ですらなかったんだけど、昼前のネットのニュースではもう『逮捕』で『容疑者』で、その次にはもう『本人も認めている』『反省している』になってました。


正直なところ、それほどのショックは受けていません。ちょっと前にこの著作権譲渡の件で裁判になっていて、それが6億円で和解したという話を聞いていて、その時に
「6億とか払えるの?」
と思ってたので……あぁその件が大事になっちゃったな〜…という感じ。朝のニュースを聞いた時に最初に思った事は
「え?じゃぁ来年のTM25周年イベントはどうなるの?」
って事でした。


町の人のインタビューとかもちょっと流れてたんですが、ほとんどの人が
「え!?なんで!?」
とか
「小室世代なんでショックです」
とか
「もったいない。今までやってきた事が無駄になっちゃった」
とか、とにかく惜しんでくれる声が多くて嬉しかった。まぁニュースでわざわざ顔を出してまで
「自業自得、調子に乗ってたから」
とか批判的な事を言う人がいないってだけかもしれないけどさ。


むしろ逮捕よりショックだったのは、すべての楽曲の著作権を譲渡しようとしてたってとこですね。本当に売り渡す気はなかったのかもしれないけど(実際、譲渡権が自分にはない=勝手に売り渡せないって事は知ってたみたいだし)、ミュージシャンにとっては我が子も同然…と言われる『作品』達を、お金で売ろうとしてたって事が悲しかったです。

正直、彼は作品にそれほど思い入れがないのかもしれないな〜とは思ってました。90年代のいわゆる『小室ファミリー』『TKサウンド』と呼ばれた曲達は、“良い物を作りたい”というよりは“売れる事を重視して作った曲”だと聞いてたので。もちろん、それが良い物である事は商品として最低限の条件なんだろうけど、哲ちゃんが本当に好きで世に送り出してるわけではないものも混ざってるんだろうな〜とは思ってました。

でも、TMの曲だけは違うと思ってたんだ。

あの頃に作った曲達を売り渡す事になっても、TMのために作った曲は哲ちゃんにとっても特別なんだと思ってたの。彼の青春であり、礎であり、ホームでもあったあの3人組のための曲は、哲ちゃんにとっても聖域なんだと思いたかった。だから、今回の件でそのTMの曲も含めて全楽曲を譲渡しようとしてた…譲渡するフリをしてお金儲けのために利用しちゃったって事が、一番ショックでした。



TM時代、哲ちゃんはいつでも『先』を見てました。まだレコードやカセットが主流だった頃に
「これからはCDの時代になる」
と断言して、初めてのベストアルバムをまだそれほど一般的じゃなかったCDだけで発売するという暴挙(当時のファンにとっては)に挑み、実際、ファンからは
「CDプレーヤーを持ってるファンばかりではない」
「古いファンを切り捨てるのか」
とかなりの批判があったそうです。でもそれから1〜2年のうちに本当にCDが主流になり、あっという間にレコードやカセットはショップの一角だけの存在になりました。

今では当たり前のマキシシングルも、シングルといえば8cmCDがメインだった時代に挑戦してるし、曲のリミックスやシングルを複数枚同時に(または短期間に続けて)リリースするなんて手法も、私が知る限りでは哲ちゃんが火付け役でした。90年代の終わりには
「これからはCDじゃなくてネット配信が主流になるよ」
と誰よりも早く口にしてました。シンセサイザーを多用した音楽や、ユーロビートやレイブのメロディーに日本語の歌詞を乗せた音楽を一般的にしたのも彼だし、音楽界に与えた影響が計り知れない事は多くの人が知ってる事だと思います。

それほど『未来を見る目』を持ってた人が、どこで何を間違えてこうなってしまったのか。


本音を言えば、信じたくないです。私達が愛したあの人が、こんな犯罪に手を染めるような人だったとは思いたくない。誰かに丸め込まれて担ぎ上げられたんじゃないのか、私達にはわからないような音楽業界の裏事情が絡んでるんじゃないか、哲ちゃんには罪を犯すつもりはなかったんじゃないのか、そう思いたい気持ちは今でもあります。


でも、記事によると本人も認めてて
「被害者に申し訳ない」
と語っているとか。本人が罪を認めているのなら、私達がどれだけ庇っても意味がありません。むしろそれは印象を悪くするだけ。



だったら、無闇に擁護したりしないで、ただ待とうと思います。やってしまった事はやってしまった事として受け止めて、いつかまた彼が音楽の世界に帰ってきて私達を感動させる作品を作り出してくれることを信じて、待とうと思います。

私達以上に、一緒に25周年を祝うはずだったウツと木根さんがどれほどショックをうけているかと考えると胸が痛みます。他のサポートメンバーもきっと心配してるし、そのせいで迷惑がかかる事を哲ちゃんも心配してると思います。


ファンである事は変わりません。TMに出会わなければ今の私はいなかったから。彼らの楽曲に、その存在に、どれだけ助けられたか判りません。


待ってるから。きちんと罪を償って帰ってきてくれるまで、好きなままで待ってるから。

だから哲ちゃん、生きる事を諦めないでね。




16:00追記

木根さんから、公式HPでコメントが出てました。


TM NETWORKをずっと応援してくれている皆さんには、ご心配をおかけして申し訳ございません。
僕は共に音楽を創ってきた友人として、今までも、これからも彼と出会えた事のよろこびと感謝の思いは変わりません。そして彼をリスペクトする気持ちも変わることはありません。
多くの方が、彼に悪いイメージをもたれたかも知れませんが、彼が作った音楽がたくさんの人達に勇気を与えてきたことも事実だと思います。
だからなおさら残念という声もありますが、僕は、彼がゼロから立ち直る力も持っていると思います。
だから僕は、TM NETWORKの復活もあると信じています。

木根尚登




これを読んで、初めて涙が出ました。信じて待つのも、ウツと木根さんが一緒なら辛くないよ。哲ちゃん、早くきちんと償って帰ってきてね。



16:20追記

ウツの公式HPコメント。


「TM NETWORKを応援してくれているファンの皆さま、また多くの方々にご心配をおかけしました。
これまでの人生の長い時間を一緒にすごしてきた友達であり、
仲間である小室哲哉の今回の件は、 いまだに信じられませんし、信じたくありませんが、事実であるなら すべてを明らかにしてもらいたいと思います。
でも、彼とともに音楽を作り、笑い、悩み、楽しんできた僕らの歴史は変わりません。
今、彼と話すことは叶いませんが、彼なら償い、また音楽に帰ってきてくれると信じています。
                        2008.11.4  宇都宮隆」


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咲良 [MAIL]

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