金色の夢を、ずっと見てる

2004年09月01日(水) 気付くと増えてるんだよ、唯川恵とか山本文緒の本。

仕事帰りに車検代を払いに行った。マフラー交換等込みで96,000円ちょい。付き合いの長い車屋さんなので『ちょい』の部分はまけてくれた。でもこの金額
「軽(自動車)にしては高くないか!?」
と次郎くんに言われたんですけど、そうなの?


そのあと本屋に寄った。←いつもの事。マンガ雑誌を立ち読みしてたら、唐突に蜂が出現してビックリ。っつーかよく見てないけど多分蜂。なんかでかかったし。蜂みたいな音してたし。刺されて死ぬ体質じゃないけど、やっぱできれば刺されたくはないので逃げる。周囲にいた人達も逃げる。

でもみんな、立ち読み中の雑誌は手放さないのね(笑)

しばらくしたらどこか行ったみたいだったけど、なんかやっぱりちょっと恐かったので撤収。でも同じ店内の文庫・コミックコーナーに移動しただけだから一緒か?


なんとなく読みたくなって、唯川恵さんの小説を買う。唯川恵さんとか山本文緒さんは、時々ふいに読みたくなって既刊を衝動買いするんだよね。今日買ったのは『孤独に優しい夜』・・・だったかな。タイトルうろ覚え(^^;

好きだった先輩と、自分の親友が結婚した。でも実はその先輩も主人公に好意を抱いてて、その親友が間を取り持ってやるフリをしてぶち壊し、そこに割り込んで結婚まで持ち込んだのだ。それを知った主人公は
『これは不倫ではない。もともと私のものになるはずだった男を、卑劣な手で奪った女から奪い返すだけ・・・』
と男と関係を始める。

そういう話。あ、この先は内容に触れますので注意。


















何がすごいって、中盤からラストにかけての主人公の気持ちの移り変わりだ。最初、彼女には自分が不倫してるという認識はないの。だってもともとその人も自分の事を好きだったんだもん。あるべき形になっただけ。でも途中で気付く。自分の今の立場が“愛人”と呼ばれるものである事に。

どれほど言葉で愛してると言われても、抱き合っている時が幸福でも、男は時間になると家に帰っていく。自分達を陥れて妻の座を勝ち取った女のいる家に帰っていく。

本当に結ばれるべきは私達だったのに、今も心で結ばれているのは私達なのに、なぜ私の方が悪い事をしている事になってしまうの?

結婚したいと思ってたわけじゃない。結婚が勝利だと思ってるわけじゃない。なのになんでこんなに暗くて惨めな気持ちになるの?

帰らないでと言ってみたり、避妊しなくていいと言ってみたり。


違うと思ってたのに。私達は本当に愛し合っていて、誰にも恥じなきゃいけない事はしていなくて、いつか彼がきちんと離婚して結ばれる事が出来るはずだと思ってたのに、これじゃその辺の不倫カップルと一緒じゃない。何も違わないじゃない。


そう気付いた時、主人公は妻と対峙する。


読んでみようかなという方のために結末は伏せますが(笑)ここまで書いたら一緒か?


主人公の『自分達も結局そこら辺の不倫と同じじゃないか』と気付くまでの描写が秀逸。作者、不倫してた事があるんじゃないか?と思うぐらい。


一概に不倫が悪いとは言わないけどさ。そこから本当に男性がきちんとしてくれて結婚したカップルだって知ってるし、付き合い出してから男性が結婚してると知った・・・っていう人だっているし。

でもこの本に出てくる男性はずるいと思った。ラスト近くで主人公に言うの。
「結婚なんて形式的な事に縛られる必要はないじゃないか。僕達は心で結ばれてるはずだろ?黙っていれば周りにはわからないんだし、僕が本当に愛してるのは君だけなんだ」
それに対して主人公は
「そうかもしれない。でもそれは“結婚”という形式の中で生きてるあなたが言う事じゃないわ。わかってるの?あなたは結局私に都合のいい女になれって言ってるのよ?本当に愛してると言うならどうしてそんな酷い事が言えるの?」


これは・・・・・・ずるいよね。結局この男はおいしいとこだけ取ろうとしてる。『不倫』という状況にある事が彼女にどれほど精神的な負担を強いてるかわかっていない。妻には『妻である』というだけで満足しろと押しつける。

女にとって大事なのは、『この人にとって私が唯一無二の存在である』という安心感なんじゃないかと私は思う。妻という立場にあっても心を他の女性に持って行かれてるなら意味がない。いくら心で結ばれていても、世間的に認められないのでは辛い。


そういう女性心理を、恐いぐらいリアルに書き出す作家なのだ、唯川恵という人は。

たまに読みたくなるのは、そういうどろどろした部分が誰の中にもあり得るのだと感じて安心したくなるからなのかな。


中身はかなりシリアスなんだけど、読後感はかなりいいです。辛い恋をしてる人にはお薦めかも(笑)


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咲良 [MAIL]

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