金色の夢を、ずっと見てる

2004年02月02日(月) イジメについて(真面目な話です)

気になるマンガを読みました。

『ビタミン』すえのぶけいこ著・講談社
佐和子は中学3年生。同級生のコウキと付き合っているが、所構わずヤリたがるコウキと、独りよがりで全然快感を得られないSEXにはちょっと辟易している。ある日、いつものように”突然”教材室でカラダを求めてきたコウキ。断りきれずにされるがままになっている姿を、クラスメートの男子に目撃されてしまいます。次の日登校した佐和子を待っていたのはクラス中の好奇の眼差し、そして『コウキとはキスまでしかしてない』と話していた”仲良しグループ”だった女子からの『ウソツキ!!』という罵りの言葉でした。その日から、佐和子に対する凄絶なイジメが始まりました・・・。

あからさまな無視に始まって、体育の着替え中にはがい締めにされて上半身を裸にされ、落書きされたうえに写真を撮られる、机の上にコンドームをばらまかれる、トイレで”ボディチェックだ”と下着を見られ、携帯電話(テストで頑張って頑張って、やっと親に買ってもらった)を取りあげられたあげく水浸しにされる・・・等のイジメをうけます。

さらにはコウキに『休み時間とか教室にいづらいから、一緒にいてくれない?』とメールをしたら『別れよう』と言われてしまいました。

結局佐和子は学校へいけなくなり、親とも衝突するようになります。行きたくないなら無理しなくていい、という父と、佐和子の突然の変化を受け入れられない母。部屋に引きこもるようになった佐和子は、自分が以前漫画家になりたかった事を思い出し、勉強してるフリをして投稿作品を描き始めます。

クラス全員からの『ごめんなさい。早く学校に出てきてね』という寄せ書きに勇気を振り絞って登校した佐和子。でもその佐和子を待っていたのは
『うわ!こいつ本当に来やがった!!』
というクラスメイトの嘲笑でした。絶望して家へ逃げ帰る佐和子。発作的に自分に包丁を突き立てようとし、止めに入った母親にそこで初めて
『私・・・いじめられてるの・・・』
と打ち明ける事ができたのでした。

少しずつ佐和子を理解し、歩み寄ろうと努力する母。マンガを描く事に生き甲斐を見出し始めた佐和子。ある日担任の教師から電話が。
『15日だけでも出て来れないか。卒業式だ』

今までの自分にちゃんとさよならしてくる、と佐和子は登校します。クラスメイトの反応は相変わらずです。
『いいよな〜義務教育はさぼってても卒業できるから』
『毎日何してたんだよ?』

投げつけられる嘲りの言葉。しかし佐和子は毅然としてそれに答えるのです。

『弁護士と相談してた』
静まり返る教室。
『マスコミにも行った。後は教育委員会に訴え出るだけ』
動揺が走ります。
『俺、何もしてないよな、な?』
と愛想笑いを浮かべる男子。
『ちょっ・・・ヤバくない?』
『大丈夫だよ、うちらは直接手ぇ出してないじゃん』

と囁き交わす女子。
『明日からあんた達が受験した高校全部まわるよ。誰も合格しないかもね。これからどうすんの?』
そう言って不敵に笑う佐和子。(もちろん、本当はこんな事してません)

すると、それまで中心になって佐和子をイジメていた女子達(元は”仲良しグループ”だった女子達)が佐和子のかたわらに来て涙ながらに言うのです。
『あたし達、本当はずっと後悔してたの。佐和子が彼氏といる方が楽しそうだったから嫉妬してただけだったんだ。これ、佐和子にも書いて欲しいの・・・書いてくれる?』
そういって差し出された何冊ものサイン帳。

笑顔で受け取る佐和子。次に瞬間には、それをすべて窓から投げ捨てました。
『バイバイ』
もう騙されない。上っ面だけの友達なんていらない。もっと自分の情熱を傾けられるものを見つけたから。もらった卒業証書を破り捨て、晴々とした顔で帰宅します。

最後の場面での母娘の会話がすごく印象的でした。
『お母さん、変な事聞いてもいい?・・・・初体験の相手っていい人だった?』
半泣きで尋ねる娘の姿に、何かを感じたのでしょう。母親はう〜ん・・・と一生懸命考えて答えました。
『大事なのは、初めての相手じゃなくて最後の男よ』

お母さんにとっての”最後の男”とはつまりお父さん。佐和子が学校へ行けなくなっても、いじめられてると知ってからも、かわらず優しい笑顔でありのままの佐和子を受け入れてくれたお父さん。

最後は佐和子が漫画家としてデビューを果たす、という場面で終ります。

しばらく考え込んで、もう1度読み返しました。正直、”今の子供ってここまで酷い事するの!?”という気持ちもあったのですが、作者自身の後書きによると、実際にこういう事はあるのだそうです。そしてそういう目にあった子供達は、この先ずっとそのトラウマと戦いながら生きていかなければならない、と。

今だから話せる事ですが、私も中学2年の時軽いイジメにあいました。”軽い”と言ってもそれは、現在報道されてるような陰湿なイジメに比べたら軽い、というだけであって、当時の私には死にたい程辛いものでした。

私はどっちかというと攻撃的な性格なので(笑)自分が死ぬ事よりも1番憎かった男子生徒を殺す方に発想が行きました。14才以下なら法には触れない。だから殺るなら今のうちだ、とまで思い詰めました。

その時私を止めてくれたのが、この日記にも何度か登場しているMママでした。
『確かにあの男は生きてる価値もないぐらいの奴だけど・・・私としては、そんな奴のために咲良の将来を台無しにしてほしくないなぁ』
そう言ってくれた彼女のおかげで、今の私があります。

3年になってクラス替えでその中心になっていた奴らとクラスが別れ、さらに仲のいい子が同じクラスになった事で私の場合は解消されました。でも正直言うと今でも、あの時のクラスメイトにはできれば会いたくないし、私が最も憎んだ男子生徒には死ぬまで会いたくありません。もし今『1人だけなら殺しても罪に問われないよ』と言われたら私は迷わずその男を選びます。

人に必要とされない事に強い恐怖心を感じる私の性格は、その経験に因る所が大きいのだと思います。でも
『あの頃咲良が辛かったのはわかる。でもいつまでも”そのトラウマがある”事に甘えないで。咲良だってあの頃とは違うでしょ?多少迷惑をかけたぐらいで揺らぐような付き合いならそれまでだよ。周りに弱い所を見せたり、手を借りたりする事をそこまで恐れなくていいんだよ』
そう言ってくれたMママや主婦Kのおかげで、ようやくあの頃の辛さから少し自由になれました。

イジメというのは、やった側が思ってる以上にやられた側に深い傷跡を残します。よく言われる『いじめられる方にも何か原因があるんだ』という意見は、たとえそれが正しいものであっても私は絶対に認めません(実を言うと、私がいじめられるようになった最初の原因は、私の不用意な一言だったのです)。

ちなみに、この作者のすえのぶけいこさんは、『ライフ』というタイトルでイジメを題材にした漫画を現在も連載中です。掲載誌は・・・『フレンド』じゃなかったかな。こっちもなかなか衝撃的な内容で、おいおいそこまでやっちゃったら犯罪じゃないか?というような陰湿なやり口でイジメが展開します。興味がおありの方は是非御一読下さい。

なんかいつもにも増して長文になっちゃいましたが・・・すいませんね、このテの話題になると熱が入っちゃうもので。読んで下さった方、ありがとうございましたm(_ _)m








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