書庫目録

2003年08月20日(水) 陰摩羅鬼の瑕

講談社ノベルス
京極夏彦 著

読了しましたー。

誰も「死」という概念と実態を教えてくれなかったら。
書物でしか世界を知る術がなかったとしたら。
その人の常識は外の世界の常識とは"違う"ものになってしまうのでしょう。
(違うのであって、間違っているのではない)

なので読了後、妙に納得してしまったのでした。

存在するということと存在しないということ。
存在するコトと存在するモノ。

存在と非存在。

その境界は曖昧模糊として判別し難いのです。
ウチとソトという概念だって判別し難いものですよね。


短大時代に倫理の授業でレポートを書いたことを思い出しました。
テーマは「存在について」
しかもレポート用紙1枚で書けというお達しが。
短すぎてもダメ、でも1枚を超えたらダメという。

何故かというと、倫理の先生っておじいちゃんだったんですよ。
老眼で読むの大変だからという理由でした。
10枚のレポートを10人が書いたとしたら読む枚数は100枚です。
でも1枚のレポートを10人が書いても読むのは10枚なわけです。

だからね。
余計に考えてしまったのを覚えていますね。
長くするより、短く簡潔にまとめることの方が難しいものです。
自分の言いたいことを要約して、論旨にずれが生じないようにするのは
法学の20枚の論文を書いてきなさい、というのより断然難しかった。

結局どうしたかというと
考えに考えた末、何も考えずにストレートに「存在」について書いたのです。
しかも昼食後の3限目が倫理の授業だったんですが
提出日の、昼食後のちょっとした休憩の間にガーっと。
賞味30分あるかないかってとこかな。

おかげさまで成績は「優」をもらったんですけどー。
戻ってきたレポートには一言「おもしろかった」と書いてありました。
同じ授業を受けていた友人の論文には
それを読んだ日付と先生の印鑑のみでコメントは無し。
私と、10人ほどの友人の中でコメントがあったのは私だけで。

でも、私は自分のレポートの何が面白かったのかイマイチわかってなくて。

多分私とかかおりんとかは
ちょっとだけ他人と視点が違うのです。
見る位置が違うだけでなくて見る方法も違うんだろうけど。
少し人と違うことを考えて、違うことを書くから面白かったのかな、先生は。
最後の授業で先生と握手した時「おもしろかった」と、また言われた私でした。

感じ方は人それぞれ。
つまりはそういうこと。


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明日香 [Fanatic Gene]


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