静謐の宮
miyano



  別れ

実のところ、痛い別れというものをよく知らない。
既に決まっていたことや、
既に心が離れてしまっているものしか知らない。

昨日、最後の挨拶をした方と、別れた後でふと気づいた。
次にお目にかかるのは葬式だろうな、と思った。
相手か、私か、私の近親者か。

今日、電話をくれた人は、突然だけど今月一杯で店を閉めて実家に戻ると言った。
私にイタリアンを教えてくれた、お気に入りの店のシェフ。
もう二度と彼の料理は食べられないんだろう。

それはどちらも現実だ。
私は確かに無神経で薄情だけど、でも現実だ。

もちろん、会おうと思えばいつでも会える。本気で思えば行動に移せる。
だけど行動に移すほど本気でそう思うことは無いだろう。
それが薄情で残酷だと言うのなら、確かに私はそうなんだろう。


さようなら。最後の握手を。

2004年03月28日(日)
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