徒然なるままに・・・
翡翠



 とうとう・・・

その日はやってきた。
もしかしたら このままずるずると続いていくかもしれない・・・と思っていたけど。
不倫ができるほど 私も彼も器用じゃないし 割り切れない。
彼は同じ人と 再度家庭を作っていくことに 二度と同じ失敗は許されないと
自分に課して 去っていきました。

前日に もしかしたら自分は行かないかもしれないと連絡を受けたとき。
それまで舞い上がって緊張していた気持ちが 揺さぶられ
一度は物分りのいい返事をしておきながら
すぐにまた でもやっぱり会いたい とメールをいれ
夕方には連絡するから と言われ その半日の長いこと・・・。
そして 首を長くして 待ち続けた結果は 自分が行くと。
うれしかったけど それは別れが近くなったことでもありました。

当日 待ち合わせの時間が近づくにつれ 顔がにやけるのがわかる・・・。
それでも就業時間が終わってすぐ帰るわけにもいかず
かといって 彼を待たせてるのが気になる・・・。
ちゃんと笑顔で話せるのだろうか・・・。
会ったとたん泣き出すことだけは やめよう。
そう決めて 彼の待つデパートのエスカレーターを上っていく。
初めて会ったときとは また違う感じの緊張感。
途中で 泣きそうになったので トイレへ駆け込む。
もう一度鏡をみて 笑顔の練習をして いよいよ彼のところへ。
文庫本を立ち読みしてる彼を 遠目で確認してドキドキしながら 近づく・・・。
なんて声かけよう・・・と思っていたけどごく自然に ”おまたせ”って言えた。
そして 表紙を覗き込む。
彼は本を置いて 私と並んで歩き出す。
歩きながら 自然にお互いの近況など話す。
なにせ 一ヶ月ぶりの上 その間いろいろありすぎて・・・。
また彼と並んで歩けるなんて思っていなかった。
私のお勧めの店へつれていく。
色々話しながら 飲んで食べて・・・。
危惧していたよりは 普通に話せて 笑える・・・。
そのうち 私は酔っ払って 彼にしなだれかかり だんだん記憶をなくしてゆく・・・。

それからは途切れとぎれの 記憶しかない。
私は朦朧として 泣いていた。
泣いていたり 彼とキスしていたり 喚いていたり
ホテルに行くといってきかなかったり 彼になだめられていたり
走ってる車のドアをあけようとしたり・・・。
時間軸は狂っていて 展開はわからないけど
とにかく 私はホテルに行きたがって 彼は理性でそれを止めてた。
何度も彼は抱きしめてくれた。
キスをせがめば きつく吸ってくれる。
それで我に帰る。
それでも 泣いている。
これで最後だってわかっていたから。
もう二度と会えないことがわかっていたから。
彼の家に近づくにつれ 私のヒステリーはひどくなっていく。
よく覚えてないけど 彼の腕の中で叫んでいたように思う。
言葉にならない 叫び。
布団の中で声を押し殺して泣いていた分の 叫びがでてくる・・・。
それも 本人に向かって・・・。
ものすごい修羅場だったと思う。
申し訳ないことをしたと思う。
彼はもう 嫌気がさしたと思う。
最後には私が力いっぱいつかむ手を振りほどいて 逃げるように車を降りて行った・・・。
本当に最後。
もう終わり。



2002年11月11日(月)
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