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■ トラウマ。
あたしは
人に嫌われるのが、怖い。
まだ高校生の頃から、いかせんにはいつも言われてた。
「お前は八方美人すぎる」
人に嫌われたくないばかりに 人の嫌がるようなことは絶対しない。
そうやってるうちに、 自分の意見が言えない子、になってしまってた。
些細なことでも、 人の意見に従う。
いい子でいるということが、 いい人間になる、ということだと
あたしはそんな風に思ってた。
そんなあたしを、 初めて否定したのがいかせん。
否定してくれた、と言っても きっと過言じゃない。
「嫌われることを怖がって 自分の意見が言えない人間になるな」
あたしの心にひっかかってたトラウマを、 あの人は、いとも簡単に消した。
「誰からもわかってもらおうと思うな。 敵はつくってもいいから。 同じ分だけ、わかってくれる人をつくりなさい。」
言葉でそうやって言いながら 誰よりもあの人があたしの味方になってくれてた。
誰より、わかってくれてた。
そんな心強いことって、なかった。
あたしにとっていかせんは
ただ単に恋した人じゃない。
愛とか恋とか、そういう 恋愛に関する言葉だけじゃ片付けられない。
好きとか嫌いとかそういう 感情を表す言葉だけじゃあらわせない。
あの人は、あたしをつくったひと。
あの人は、あたしを救ってくれたひと。
生きていく力を、くれたひと。
この先あたしの身に何があっても、 例え生きていけないような絶望的な状況にあったとしても
それでも生きていくことを 人生の責任を果たすことを
辞めちゃいけないとあたしはきっと思う。 絶望の淵でもきっと思う。
―――それは、いかせんに出会えたから。
人間が、記憶できる動物でよかった。
あの人との想い出を、 しっかりと憶えていられてよかった。
あたしは・・。
人に嫌われるのが 今でもやっぱり怖いけど
誰より いかせんに嫌われるのが怖い。
その時だけはきっと
全ての希望を失ってしまう気がする。
それくらい、怖い。
嫌われるくらいなら、 いい想い出だけを残して
今すぐあなたの前から 去ってしまいたいと思うくらい。
あたしのトラウマは
いつになったら消えるんだろう。
2002年06月24日(月)
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