1歩進んで2歩下がる
Dさんが戻ってきた。
朝、何の気なしに廊下に出ると、従業員と話しているDさんが見えた。
「おはよう」 私が通り過ぎた後、背中に向かって声をかけられたので 『オハヨウゴザイマス』と、肩越しに振り返って返事。 ・・・そっけなかったかな? でも、何となくすぐには打ち解けられない。 LAに行っていたという事実だけでも、嫉妬に心がくじけてしまいそうで。
ふと目が合うと、Dさんがにこっと笑った。 ・・・私もにこっと笑う。 それで、十分だった。
しばらくオフィスで仕事をしていたら、従業員達とひとしきり話し終えた Dさんが顔を出した。
「やあ」 そう言ってDさんがハグをくれるから、私もやっぱりハグしてしまう。 何なんだろう、このパブロフの犬みたいな私。 でもDさんに会えて嬉しいんだから、仕方ないんだよね。
祝日だというのにDさんはとても忙しそうで、 私も極力彼の邪魔をしないように自分のオフィスにこもって仕事をしていた。 Dさんが私を必要としていれば、黙ってても向こうから来るでしょ、と思って。
すると、キッチン裏に置いてあったコーヒーメーカーのお湯があふれ出して 床まで水浸しになっているのに気づいて、 慌ててスイッチを切って床をモップがけしつつ、Dさんに電話。
『忙しい?』 「いや、そんなでもないけど」 『キッチン裏に来て』 「わかった」
廊下に来るなりDさんは「これ、毎回やるんだよな」とタメ息交じりに言った。 ・・・って、分かってるんだったら対処してよ。。 「機械のプログラムエラーなんだと思うんだけど、 明日カスタマーサポートが来る手はずだから」 つまり、それまでは何も仕様がないらしい。
そして、その15分後、またもやお湯が溢れて床が水浸し。 って、さっき拭いたばっかりなのに・・・。
またもやDさんに電話して報告すると「また!?」とDさんも驚いてた。 ・・・てかね。水浸しは良いとして、何で私がモップかけしてるのって話よ。 うちの部署と全然関係ないのに。。当のDさんが報告の電話から5分経っても 一向に現れないってのもね・・・。
やっと来たDさんに 『もう、すんごい面倒なんだけど』と文句を言うと、 「・・・ありがと」と、ハグをくれた。 でも、会社でするような軽いハグじゃなくて、 いつもの私達がするようなしっかりめのハグ。 ・・・こんなの、キッチン裏の誰でも通るような場所でするもんじゃないでしょ。。
でも、週末会えなかった分、ハグしてもらえて素直に嬉しかった。 Dさんから何かアクションを起こされるのってすごく好き。 相手に求めてもらえてるって実感できるから。
『まだ仕事あるの?』 「ちょっとね・・・でもそんなには」 『コーヒー』 「コーヒーでも?良いねえ」
コーヒー、の部分は二人ほぼ同時に喋ってた。気が合いますなw
「俺、今日洗濯しないといけないんだ」 『まさか実家に行ったりしないよね?』 「さすがにそれはないなw」 『じゃ、コインランドリー行こうよ。Bならカフェもついてるし 待ってる間にコーヒーも飲めて丁度良い♪』 「良いアイデアだね」
Dさんが洗濯物を家に取りに戻る間に私は自分のアパートに車を停めて 家でしばらくネット。 Dさんからの「今から家出る」の電話を合図に私も出かける支度をして 外にでると丁度Dさんの車がエントランスに入ってくるのが見えた。
二人で仲良くコインランドリーへ。洗濯機に洋服を放り込んで 洗剤を入れてお金を入れて、スタート。
その間にビールとちょっとした食事でも・・・と、思ったら、 キッチンがタッチの差で閉まってしまったので 仕方なくスープとパンとビールで質素な食事。
その時に週末の事を聞いたのが間違いだった。 『結局Pさんの家に泊まったの?』 何の気なしにそう聞いたら、 「いや、俺はAのところに行って、GMはどうしたんだろうなぁ・・・」との答えが。
・・・まだAさんと続いてるんだよね。そりゃ、そうか。 でも、出来ればその話は聞きたくなかったな・・・。
胸にバズーカー砲をズガンと撃たれて、大きな穴が開いたような気分だった。
Aさんの話が出ただけでしょんぼりしてしまった私の気持ちなんて気にもせずに Dさんは更に「俺とAは食事を作って、映画を見ようとしたんだけど 案の定俺が途中で寝ちゃって・・・」なんて話までし始めて。
もう、何なんだろう。
彼女と過ごした話を普通に聞いてる私って、Dさんの何なんだろう。
馬鹿みたいで、くだらなくて、すごく惨めな気持ちになった。 こんな思いをするくらいなら、もう一緒に居たくないのに、 Dさんが私の腰に手を回して優しく抱き寄せてくれるから、 私は頭をDさんの胸に寄せて、そのぬくもりを受け入れてしまう。
・・・私はこれからどうしたいんだろう。どうすれば良いんだろう。
2007年05月28日(月)
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