前潟都窪の日記

2005年01月07日(金) 自由人となる

 
拝啓 木々の緑が鮮やかに目に映える時節となりました。
私儀、五月二十一日還暦を迎え、○○年間勤務した☆☆株式会社をかねてからの希望通り、定年退職し第二の人生へ船出することになりました。在職中公私にわたり御指導を頂き且つお世話になりましたことに対し深く感謝し厚く御礼申し上げます。

お蔭様で二人の娘達も嫁ぎ、それぞれに愛情豊かな家庭生活を営んでおりますし、私達夫婦とも目下健康体なので、後顧の憂いなく年金生活を迎えることのできる幸せを感謝しております。

これからはこれまでに社会から受けた恩恵や皆様から戴いた御恩に感謝しながら、多少なりとも社会のお役に立てるよう、ボランティア活動等にも積極的に取り組んでみたいと考えております。今後は趣味の方面にもかなりの時間が割けそうなので、生活を楽しみながら心豊かな人生が全う出来ればいいがなあと願っております。

最後に皆様の御活躍を祈念しますと共に、今後とも従前にも増した御厚誼の程をお願い申し上げます。
敬具 
・還暦の送別会や五月晴れ    
 平成九年五月吉日
楽しきかな我が人生 
           都窪  勇  
この挨拶状を投函した時、私は名実共に自由人になったことを実感した。その足でこの日以降一年間だけ住まいしようと予て用意しておいた京都市内中央部にあるマンションへ妻と一緒に向かった。京都で過ごした大学時代に廻りきれなかった史蹟を探訪し、見学出来なかった四季折々の祭りや行事を堪能するためである。健康の為、地図を片手に一日最低一万歩以上歩くことを日課としているので乗り物は市バスと地下鉄以外は殆ど利用しない。スニ−カ−を2足履き潰した程である。訪ねる先々で興趣が湧けば俳句をひねりスケッチ・ブックには下手な水彩画を蓄えた。

京都を足場として熊野古道を歩いたり、テレビドラマ甘辛シャンを見れば丹波篠山へ行ってみたりと近畿各地の観光名所を渉漁するのも楽しいものであった。

その一方で月に二回横浜の鶴見川で催される大学時代のボ−ト部の「OBが漕ぐ会」の練習にも駆けつけてはエイトで汗を流した。約一時間半の激しい運動の後、ビァービレッジで旧友達とジョッキを傾けながら対東大OB戦に関する作戦を語り合ったり、久しく途絶えている琵琶湖周航を復活させる企画の打ち合わせをしたりするのも楽しい一時であった。こうしたとりとめのない談笑の中から夢のような話が飛び出すことがある。それは、英国のテームズ川で行われるヘンリーレガッタにOBクルーを編成して参加しようとか大学後輩の学生諸君が冬場の練習も兼ねて遠征するハワイアンレガッタにOBも応援に駆けつけ、出来ればOBクルーとしてレースに参加しようというものであった。ところがこれが実現したのである。

平成9年暮れの12月24日から新年一月五日まで学生クルー15人とOBクルー14名がハワイへ遠征し、大晦日と正月三日間にかけてアラワイ運河で行われたロイヤル・ハワイアン・ローイング・チャレンジのレースに参加した。  
四日間で十レースに挑戦し、善戦虚しく一勝九敗の結果に終わったのであるが、還暦前後のOB達が体力消耗の激しいレースを誰一人故障することなく漕ぎ切って、爽快な達成感を味わい全員無事帰国したことは一種の奇跡であると言えよう。

今後は毎月一回ずつ十日間前後のツァーを選んで参加し、世界各国を歩く夫婦二人旅を、俳句手帳とスケッチブック片手にエンジョイしようと計画している。いくら喰っても一升半天下をとっても一畳半と喝破した政治家があったが全く同感である。楽しき我が人生に乾杯。  (了)


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