表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2004年12月07日(火) 「戦争のはじめかた」

◆ 戦争のはじめかた
Buffalo Soldiers
[イギリス・ドイツ/2001年/98分]

監督・脚本:グレゴール・ジョーダン
原作: ロバート・オコナー(「バッファロー・ソルジャーズ」)
出演:ホアキン・フェニックス、エド・ハリス、スコット・グレン、
アンナ・パキン、エリザベス・マクガヴァン


この映画、アメリカでは配給が決まってから起きた911事件のために「前代未聞!全米公開5度延期!!(チラシより)」という事態を引き起こしていたらしい。
その売り文句のもと、日本公開。本来ならビデオスルーのところ、豪華キャストの力と、アメリカに対する疑念深まる世論の中、短期公開しちゃいます的な感じか。
ちょっと調べてみたら、アメリカでは、昨年のサンダンスで初お目見え。
7月にLA映画祭で披露後、同じく7月に全米公開・・それが6スクリーン!
→最多時でも24スクリーン・・というおそらくニュー・ヨークなどのスノッブな地域での超限定公開だったのか?
映画は、田舎のブッシュ支持層が見たら卒倒するかも的、強烈に皮肉のきいたものだった。
現代の「MASH」はアメリカでは作れないらしい。


 以下ネタバレあり

舞台はドイツに駐屯するアメリカ軍。
ベルリンの壁崩壊の年。パパブッシュ大統領の年。
平和でぼけぼけ。登場人物は皆どうしようもない輩ばかり。
物資の横流し、ヘロイン精製密売に情熱を注ぐホアキン。
物資補給の長だが直属の部下のサイドビジネスや妻の浮気にもに全く気づかず、出世を目論むが無能で間抜け故に無理なエド・ハリス。
新任の曹長として赴任。出るなり内部調査の切れ者か?と思わせるも実はベトナムあがりのサイコ野郎にスコット・グレン。
間抜けな無能者エド・ハリス、やな奴スコット・グレンというおよそ彼らのイメージからかけ離れた役どころも楽しい。

前半の布石部分で、装甲車演習中にラリった末、ガスステーションで大爆発を起こし瞬時に消滅する人の映像を見たとき「あらこの映画、本気でやる気ね」と思わせてくれた心意気。小ネタだがテレビでパパブッシュが「The world is waiting・・・」と演説した瞬間、そのテレビは蹴りを入れられ崩壊・・など、基本的心意気は、はちゃめちゃ暴走する最後まで貫かれ、引っ張ってくれる。
そして、何が起ころうと演習中の事故で片づけてしまえる巨大組織健在、脳天気な毎日再開〜♪で幕。

・・というような毎日を過ごしていた軍の構成員達は、911以降、「よっしゃ〜出番だ〜」と燃えたであろうということは想像に難くない。

ベルリンの壁が壊されるニュースを見ていても「ベルリンってどこ?」「東ドイツ?」「西ドイツ?」などという隊員達。ちなみに西ドイツに駐屯する部隊の会話。
などという小ネタも多く、笑いながらも凍り付く。


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