加藤のメモ的日記
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2023年04月04日(火) 韓国 ユン政権”独自核武装”発言の背景

韓国大統領が独自核武装論に言及したことが波紋を広げている。その背景について、韓国・韓神大学院平和政策研究所の、イ・ジュンキュ専任研究員に聞いた。

今回の発言は、ウクライナを侵略したロシアによる核使用の威嚇や、使える核兵器をめざす米国の動きなど、核の使用が公然と語られる中で出てきた。朝鮮半島では朝鮮戦争(1950〜53年)で米国が核兵器を使おうとした。在韓米軍が一部撤退した1970年代にパク・チョンヒ大統領が核武装をめざした。

今の北朝鮮問題は同国が核開発を強めた1990年代から本格化した。核問題の状況が悪化するたびに核武装論は浮上していた。その下でユン大統領が独自核武装に言及した。

「核の傘」強化
2019年から北朝鮮との核問題での交渉が行き詰まった。ユン政権は「核には核で対応する」方針を掲げ、韓米同盟による拡大防止(核の傘)の強化を進めている。今回の発言は、実際に核保有を目指すというより、米国を意識した政治的意味と同時に、国民に何らかの「成果」を見せたいという動きだと思う。

米国は1991年にブッシュ政権下で、韓国配備の約100発を含め海外配備の戦術核を全面撤去した。今の現実の危険は空母や戦略爆撃機など「戦略資産」とされる核関連米軍部隊がは煩雑に来てそれを韓国政府が宣伝していることだ。これは北朝鮮だけでなく中国を威嚇する威嚇行動だ。

これまで韓国では保守政権でも「米国との同盟を維持しながらも中国を敵視しない」との立場だった。イ・ミョンバク政権もパク・クネ政権も同様だった。ユン政権はこれを大きく転換させている。

岸田軍拡容認

ユン政権は昨年12月のG20首脳会議を前に「韓国版インド太平洋戦略」を発表し、中国包囲の米戦略に同町する姿勢を示した。さらに韓米日3か国の軍事的連携をつよめようとしている。米国は冷戦時代から3国の軍事同盟化を目指していたが、日韓には歴史問題があり、韓国では日本との軍事同盟を考えられなかった。

ところがヨン政権は3国軍事同盟化の先兵役を果たそうとしているようだ。徴用工問題の政治決着を急ぐのもその一環である。岸田政権の大軍拡についても”北朝鮮が核開発をする中で悪く言えない”と述べた一方で国民は日本の軍拡に危険性を感じ、日米軍事関係が強まる中で日本がどう変化するのかを案じている。

「台湾有事」には韓国は関わりたくありませんが、有事になれば在韓米軍や北朝鮮がどう動くかが懸念されている。

北朝鮮の懸念

北朝鮮に関して「外交解決は不可能だ」との見方もあるが、同国が米韓日との対話に応じ、核・ミサイル開発などを自制した時期があったのも事実である。北朝鮮が強硬路線に転じたのは、2019年のハノイでの米朝事務協議の決裂以降である。その後「正面突破」「自力更生」「長期戦」を掲げ、昨年9月には核先制使用を含む新核法令を採択した。昨年は弾道ミサイルを30回以上も発射した。

北朝鮮は今「経済制裁緩和と韓米同時軍事演習の中止がなければ米国との対話に応じない」という姿勢だ。特に20年ごろから、在韓米軍や在日米軍を担う戦術核兵器への言及が増えているのは懸念される。

休戦70年で市民が連帯
今年(2023)7月は朝鮮戦争休戦協定70年目で、市民団体の行動が計画されている。また韓国人被害者の提唱で「米国の原爆投下を裁く民衆法廷」を2026年に米国で開くための第一回国際会議が6月に韓国で開かれる。これらを通じて日韓の市民が連携し、北アジアの平和のために団結してほしいものだ。

『週刊赤日』2023 2.19



 


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