加藤のメモ的日記
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2015年08月13日(木) カネ学入門

日本経済の真の姿

5月22日、東証一部の株式時価総額がバブル期ピークの1989年12月を上回り、過去最高となりました。多だ、これで日本経済がバブル期並に復活したとするのは総計です。日経平均はまだ当時の半額…上場企業数が大幅に増えたことが主因だからです。では日本経済、真の今の姿とはでどうなのでしょうか。5月27日、スイスのビジネススクール、IBD(経営開発国際研究所)が発表した『2015年世界競争力年鑑』によると、日本経済の総合順位は3年ぶりに下がって27位となっています。

アジア地域でもずっとシンガポール、中国、台湾、韓国、マレーシアの後塵を拝するありさまです。政府部門の財政と移民政策、ビジネス部門の国際経験と経営幹部の競争力が調査61か国家中、最下位とされています。バブル期、総合順位で日本は堂々の一位だったのです。過去25年のグローバリゼーションの進展から完全に日本が置いて行かれるてる現状が見て取れます。真に世界を相手にビジネスで成功している企業が時価総額のどのくらいを占めているのか。バブル崩壊後、内向きビジネスに転換してリストラを進め、収益を改善した企業が多い実情に私はずっと懸念を抱いています。

内向きとは……主に国内のインフラ需要を狙い、難しい消費者需要を避けて、日本的すりあわせのできる国内企業向けビジネスに注力する……という意味です。グローバリゼーションでの真の競争を避けているという意味もあります。しかし、よるべき国内経済、その中核の個人消費は冷えたままです。5月25日、家電量販店大手のヤマダ電機が大規模な一斉リストラ、50店近くの店舗閉鎖計画を発表しました。地方店の整理が主です。

都心量販店はアジアからの観光客による爆買いで息をついていますが、一般の国内消費者は財布のひもをゆるめず地方は惨憺たるものなのです。不動産も外国人頼みなのが実情です。東京都心のマンション市況は完全な二極化、それも非常に狭い範囲での二極化です。中央区、港区、渋谷区は中国人の高い購買意欲で売れていますが少し離れるとさっぱりです。一般の特に若い層は買おうとしない。円安で生活必需品の値段が上がる中では生活防衛式から、不動産購入はさらに控えられるでしょう。

日本経済が本当の意味で復活したかどうかは内需、個人消費の拡大が見られなくてはならないのですが見られない。縮み思考は消費者に刷り込まれたままなのです。円安がさらに進むこの状況では『悪いデフレ脱却』となり、さらに消費は冷え込んでしまう。アベノミクスが賃上げを導いたところまでは高く評価すべきですが、それが消費拡大と結びつく構造を第三の矢によって創らないと……時価総額の持続拡大は難しいと考えます。


『週刊現代』8.13


加藤  |MAIL