加藤のメモ的日記
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2015年06月23日(火) ソニーの」リストラ

結局はリストラ頼み  ソニーの業績回復に厳しい市場の目

「ソニーは人件費削減を中心に大リストラをして、何とか黒字化にこぎつけたが、肝心の稼げる新規事業が全く育っていない。このままではジリ貧になるでしょう」そう語るのはエコノミストの中原圭介氏。テレビ事業の11年ぶりの黒字化や、デバイス事業の好調を受けて、ソニーが強気の姿勢を見せている、2014年度に1260億円の赤字を計上したソニーだが、2015年度の見通しでは何と1400億円の黒字化を見込んでいる。これを受けてソニーの株価は、リーマンショック以前の水準である3700円台にまで上昇した。(6月4日現在)

一見すると業績回復を期待できる数値だが、専門家の視線はあまり好意的ではなく、むしろ冷ややかだ。中原氏が続ける。「日本企業が先行した4Kテレビの技術にしても、1〜2年もすれば新興国のメーカーがキャッチアップしてくる。汎用品(はんようひん)の製造だけでは、シャープのような窮地に追い込まれかねない」ソニーは医療機器など新しい分野に進出しようとしているものの、それをかってのAV事業のような稼ぎの柱に育てられるかどうかは極めて不透明である。経済ジャーナリストの片山修氏は黒字化をこう分析する。

「今回の黒字か見通しは同社のCFO(最高財務責任者)である吉田憲一郎氏の手腕の賜物です。パソコン事業の売却や、テレビ事業の分社化による人員削減と賃金体系見直しで、ようやくその出血を止めたのです。しかし、ここから確実に成長できるかというと、市場は半信半疑で見ているでしょう。今のソニーに夢のような商品の開発を期待するのは酷です」

リストラによって見かけの損失は抑えられても、優秀な人材を切り捨てたソニーは今後の成長の核となる研究開発力も失った。そのため、かっての本業とは異なる金融や保健事業に頼らざるを得ないのが現状だ。「もう売りすぎて売るものがないのがこの会社。もし次に何かあったら、もう会社はもたないかも」(ソニーの中堅社員)次なるリストラXデーはすぐそこまで迫っているかもしれない。



『習慣現代 6.20号』


加藤  |MAIL