加藤のメモ的日記
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2015年02月12日(木) 集団的自衛権

安倍政権が狙う集団的自衛権行使のための解釈改憲。その問題点とは何か?

Q どこが問題なのか?
A 集団的自衛権という言葉がまず要注意です。自衛という言葉で普通に思  い浮かべるのは、他国からの武力攻撃に対し、自国を守ることである。  これは個別的自衛権と呼ばれている。しかし、集団的自衛権というの   は、実際は「自衛」ではない。自分の国が攻撃されていなくても、他国  の戦争に参加する、海外で武力行使するというのが集団的自衛権であ   る。想定されるのは、日本が攻撃されなくても、日米安保条約を結ぶ米  国の海外の戦争に自衛隊が参戦する、ということである。

  国連憲章51条はこの2種の自衛権を認めているが、それぞれ内容は全く違  う。集団的自衛権は米国などが主張したものである。今、日本国民にと  って最大の問題は、集団的自衛権と憲法との関係である。歴代政権は、  海外での武力行使に道を開く集団的自衛権行使は憲法9条に違反してい   る、と一貫して答弁してきた。

Q いままでの憲法解釈というのはどういうもの?
A 9条があるので行使できない。憲法9条は「国権の発動たる戦争と、武力  による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、  、永久にこれを放棄する」(第一項)「前項の目的を達するため、陸    海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めな  い。(第2項)としている。
  この憲法の下では外部からの武力攻撃で「国民の生命、身体が危険に   さらされるような場合」のみ、「必要最小限度の範囲で実力行使」を認  められる―。これが歴代内閣の憲法解釈だった。安倍首相が内閣の憲法  解釈を担当する内閣法制局長官にすえた小松一郎氏もこう答弁している
  「集団的自衛権を行使するということは、わが国ではなく、他国に加え  られた武力攻撃を、武力を行使して阻止することを内容とするものであ  り、憲法上許されない。以上が従来の政府見解である。

  実際、政府は2003〜2009年に自衛隊をイラクに派遣した際も武力行使は  できなかった。イラク特措法では「武力による威嚇または、武力の行使  に当たるものであってはならない」(同法2条)とし、派遣場所も「戦闘  行為が行なわれていない」地域が条件。2001年にインド洋に派遣した際  も小泉純一郎首相は「NATO(北大西洋条約機構)は、集団的自衛権の行  使として「アメリカと一緒に武力行使することを辞さないと言ってい   る」が、「日本は武力行使はしないし、戦闘行為にも参加しない」と答  弁していた。

Q 国を守るために必要なのか?
A 過去の集団的自衛権行使の実態を見れば真相がわかる。集団的自衛権   は、米国や旧ソ連などの大国がそれぞれの軍事同盟国を動員し、他国へ  の軍事介入や侵略をする口実に使われてきた。例えば、米国のベトナム  戦争、旧ソ連のチェコスロバキアやアフガニスタンへの侵攻などであ   る。そもそも国連憲章は、各国の勝手な武力行使を禁止し、紛争を平和  的手段で解決することを義務付けている。イラクやアフガニスタンに対  する米軍やnato軍の戦争も結局は破綻し、撤退を余儀なくされている。
  いまは米軍も軍事一辺倒の対応を変化させている。憲法9条を持つ日本   は軍事対応の強化ではなく、紛争を平和的に解決する積極的役割を果た  すことこそ、国際的に期待されているのである。


『赤旗』2014 3.30


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