加藤のメモ的日記
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白鵬の禁断の審判批判―「疑惑の相撲、子供が見てもわかる」
面目潰された親方衆は激怒
大相撲初場所で32回目の優勝を果たした横綱白鵬(29=宮城野)が部屋で会見。自ら切り出す形で禁断の審判批判を展開した。13日目の大関稀勢の里(28=田子ノ浦)戦が審判からの物言いで摂り直しとなったことに「疑惑の相撲。なぜ摂り直しにしたのか。子供が見ても分かる」などと主張。日本相撲協会の北の湖理事長(61=元横綱)が師匠を通じて注意する意向を示す一方で、面目を潰された格好の審判部の親方衆も激怒。角界内に大きな波紋が広がっている。
1月26日の朝方まで、祝杯を上げていた白鵬は会見に約1時間遅刻した。そして会見が始まるや否、自ら切り出す形で「疑惑の相撲がある。13日目の1番目は勝っている相撲。帰ってビデオを見たけど、もう子供が見ても分かる。なぜ取り直しにしたのか」と審判批判を繰り出した。ヤリ玉に挙げたのは13日目の稀勢の里戦。最初の相撲は両力士が互いにもつれ合いながら土俵下へ落ちた。行司軍配は白鵬に上がったが、審判から物言いがついて同体取り直しに。
そのあとは白鵬が押し出して完勝したものの、取り直しになったことを疑問視。「最初の相撲でビデオ判定は何をしていたのか。もう少し緊張感を持ってやってもらいたい。ビデオ判定をする審判は、元お相撲さんでしょ。取り直しの重みは一番分かっているはず。こんなことは二度とないようにやってもらいたい」と主張した。
もちろん、現役力士による審判批判は”ご法度”だ。北の湖理事長は「師匠に通告する。はっきり言わないと」と明言し、師匠の宮城野親方(57=元幕内竹葉山)を通じて注意する構え。当然、面目を潰された格好の審判部の親方衆も黙ってはいない。親方の一人は「論外だ。いったい国技をなんだと思っているのか」と怒りをあらわにした。そもそも白鵬の発言自体に重大な「事実誤認」があるという。審判部の別の親方は「土俵下で5人の親方が見ているし、ビデオはあくまでも参考。ビデオが優先されることはない」と断言した。
ビデオは上の角度から写している。かかとが出たとか”死に体”とか、上下の微妙な差は平行か下から見たほうがよくわかる。ビデオで判定が難しい時には、現場で判断することになっている」と反論した。実際、勝負の判定は土俵にいる5人の審判の判断を最最優先し、ビデオは参考資料とするのが大原則。これは1969年にビデオが導入されて以来、一貫して変わっていない。白鵬が映像を見て「自分が勝っている」と感じたとしても、そのことを持ってビデオ担当の審判を批判することは的外れというわけだ。
白鵬は「肌の色は関係ない。皆同じ人間。盛り上がりがどうこうじゃない。こっちは命がけでやっている」と、まるで自分が不当な差別を受けていうかのような発言までしているが…。全勝優勝を決めた翌日に勃発した横綱の舌禍騒動。今後も角界に波紋が広がりそうだ。
『九州スポーツ』1.22
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