加藤のメモ的日記
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| 2014年09月28日(日) |
ガンにならない体をつくる |
17年間の継続観察が実証したカロチンの効果
今世紀中に、ガンを予防する最強兵器・カロチンがブームになっているが、その火付け役になったのは、私たちが大規模に行なったコホート研究の結果である。「緑黄色野菜の健康に及ぼす効果」、これが調査に先駆けて私たちが掲げたメインテーマだが、そもそもこの緑黄色野菜というのは、ニンジン、ホウレンソウ、カボチャなどカロチンをとくに多く含んでいる野菜の総称である。
ご存知の方も多いと思うが、カロチンは人間の身体の入るとその3ン分の1くらいが小腸のあたりで2つの分子に分かれ、ビタミンAに変わるのだが、1987年の国民栄養調査成績を見ると、日本人は毎日取っているビタミンAの56%、つまり半分以上をこの緑黄色野菜からとているのだ。ビタミンAというのは、若々しい肌を保ったり、風邪から体を守ったり、さらに視力、呼吸器、消火器を健全に機能させるために欠かせぬ栄養素である。これも、もし欠乏したらガンにかかりやすい体になってしまう。
さて、ビタミンAに変わらなかった部分はカロチンの姿そのままで脂肪組織や肝臓、血液の中など、人間の体の中に貯えらえてビタミンAとは異なる思わず目を見張るとても重要な働きをすることになる。その代表的な働きの一つが「ガン予防」というわけだ。カロチンは人間の体の中に入ったあとで二つに分かれるる。一部はビタミンAに姿を変え、残りがカロチンの姿のままで体内に貯蔵されガンのリスクを低下させるという極めて重要な働きをするのである。
ガン化をここまで防ぐカロチン
今までの医学界の定説では、カロチンは人間の体内でビタミンAに変換されこのビタミンAに制ガン作用があるとされていた。しかし私たちの調査研究以来、世界の疫学者たちがカロチンの研究に正面から取り組み始め、その結果、ガン患者の血液中のカロチン量が明らかに低下していることが判明し、カロチンそのものがビタミンA効果とは別にガンに深く関係していることが多くの研究機関で証明されたのである。
しかも、ガンになったためにカロチン量が低下するのではなく、カロチン量が少ないからガンにかかるのだということがはっきりしている。そのことは、食生活を共にしてきたガン患者の家族の血液を調べた際に、同様にカロチン量が少ないことから判明したことである。
なぜ人間はガンになるのか?現在のところ、発ガンのメカニズムは二段階発ガン説が主流になっている。すなわち、イニシエーション段階とプロモーション段階を経てはじめてガン細胞ができるのである。前述したように、すべての人間の体内には生まれつきガン遺伝子が備わっている。こいつが目を覚まさなければ問題はないのだが、何らかの外部要因によって、まず第一のショックを与えられるとイニシエーション、前ガン段階に入る。ここでとどまったままならまだ発ガンしないが、第二のショックを与えられるともうダメ、プロモーション段階を経てガン細胞ができるというわけだ。
ところが、世界各地の疫学者たちの研究により、カロチンはイニシエーションとプロモーション段階を経てガン細胞ができるというわけだ。ところが、世界各地の疫学者たちの研究により、カロチンはイニシエーションとプロモーション、両方の段階に働きかけることが明らかにされた。それだけでなく、カロチンがすでにガン化に歩み出た細胞の増殖を抑えたり、あるいは死滅させたという報告さえもなされているのである。
カロチンが少ないからガンになる、その証拠
タバコや酒が血液中のカロチンの濃度を下げるのは、タバコや酒によってもたらされた毒素とと戦い、大量に消費されてしまうからである。ではガンにかかってしまった人の血液中のカロチン濃度はいったいどうなっているのか。この種の報告は、海外からたくさん寄せられいる。例えば、イギリス・オックスフォード大学の研究では113人の子宮頸ガンの女性の血液を調べた結果、軒並みカロチン濃度が低かったと報告されているし、同様の研究結果は肺ガン、乳ガン、白血病など多くのガンに関して発表されている。
興味深いのは1990年、フィンランドでM・ハカマ博士らによって実施された研究結果である。ここではまず ある大集団の血液をあらかじめ何年も前から保存しておき、その中からその後ガンになった人の血液を取り出して検査しているのである。カロチン以外に、ビタミンA、ビタミンA結合たんぱく、ビタミンE、セレニウムといった四つの化学物質についてその血液中の量をチェックしたとこと、ガンにならなかった人と比べてどれも低値であったが、カロチンがとくに値が低いという結果が出ている。同様の報告が各国でなされているが、いずれの場合もカロチンの摂り方の少ない人ほどガンになりやすいと結論づけられている。
多くの栄養素の中でガンリスクにとくに関連しているのは、カロチンであることがこれでわかる。数多くの同様の研究でも問題物質がカロチンであることを示している。最近、カリフォルニア大学のスミス博士らはニュージーランドの調査で、肺ガン、胃ガン、子宮頸ガンなどの患者の血液を調べてても、ベータカロチンがやはり少なかったと報告した。
『ガンにならない体をつくる』
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