加藤のメモ的日記
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2014年07月18日(金) ロッキー

無名の俳優がつかんだアメリカン・ドリーム

『ロッキー』といえばシルヴェスター・スタローンだ。まったく無名の三流俳優が、たった一本の映画でスーパースターに成り上がった。モハメド・アリ対チャック・ウェブナー戦を観て興奮したスタローンがわずか3日間で脚本を書き上げる。プロダクションに高額で売れるも、条件は主演に有名俳優を起用すること。スタローンはこれを断り、自ら主演すると主張。結局、脚本は買い叩かれ、出演料は最低額。テレビドラマ1本分の低予算で製作されることになった。

三流ボクサー、ロッキー・バルボアはやさぐれた暮らしをしていたが、ペットショップで働く女、エイドリアンが、ペットショップで働く女。エイドリアンに恋をする。ひょんなことから無敵の世界チャンピオン=アポロ・クリードに世界戦の相手として指名された。ロッキーは愛のために闘う―。こんなシンプルなストーリーの低予算映画が大ヒットした。全米を熱狂させたといってよい。

100万ドルで作った映画が、またたく間に1億ドルの興行収入を突破!ついにはアカデミー賞の最優秀作品賞に輝いたのだ。ロッキーとスタローンは二重写しだった。無名の俳優が無名のボクサーを演じて、チャンピオンへと挑むこと。いや、スタローンは演じたのではない。ロッキーを「生きた」のだ!その生き様に観客たちは感動した。

『ロッキー』の公開は1976年、ちょうどアメリカ建国200年に沸いていた。ベトナム戦争からの撤退、ウォーターゲート事件による大統領の失脚……。自信をなくしたアメリカ国民が、『ロッキー』のアメリカン・ドリームの再生に熱狂した。翌1977年4月16日、日本公開。当時17歳の私は、名画座でこの作品を見て、明らかに時代は変わったと思った。『イージー☆ライダー』等のアメリカン・ニューシネマの暗い旋律は『ロッキー』の高らかなテーマ曲に吹き飛ばされた。

まさか、それから30年後の『ロッキー・ザ・ファイナル』まで5作も続編が作られるとは?スタローンは還暦を迎えていた。石原慎太郎知事が東京都知事を辞め、国政へ打って出たとき、都庁を去る時に流したのが『ロッキー』のテーマ曲だった。


『週刊現代』4.26 サウダージ 中村明夫


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