加藤のメモ的日記
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2014年06月04日(水) 天皇と日本国憲法

国家とは非常です。僕は小さい時に、国と個人の関係を目の当たりにしてきました。生まれ育った満州帝国は、日本が生命線だといって国家建設のために、人々を送り出した場所なのに一瞬にして消えてなくなった。そのうえ戦後は「今はお前たちを養うカネがないから、そのままその土地で生きていけ」と捨て去られました。兵隊に対しても冷淡だった。終戦直後は出た復員手当が、それから数年たって復員してきた兵隊には、「国庫が尽きた」といって、小遣い銭も出なかった。死ぬために、敵国の兵士を殺すために送りだし、傷ついて帰ってきた人たちを「カネがないから」と放置したんです。そういう国の身勝手さを目の当たりにしてきた者として、国家や憲法を考えるときの、一つの羅針盤としてこの本を書きました。

僕はこれまで、歌詞(うた)書きをやり、小説家になりと、ある程度書くべきことは書いてきました。人生そんなもんかなと思っていたけれど、ある時ふと「「まだ書きたいことの70%くらいしか書いてない」と感じたんです。じゃあそこからどう人生のエンディングを生きようかと考え始めた矢先に、食道がんになってしまった。

幸い、陽子線治療に出会い、がんは消えましたけど、いつ再発するかわからない。残りの人生があと5年あるのか10年あるかわからないけれど、この期間は自分にとって悔いのない、自分自身を完成せるために天から与えられた時間だと思っています。一瞬、一行たりとも無駄にできないという思いが強くなりました。

なかにし礼


『週刊現代』6.4


加藤  |MAIL