加藤のメモ的日記
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現在、NZと日本の間の交渉ごとと言えばTPPであろう。今回のシンガポールでの交渉も不調に終わり、新聞の論調も厳しくなっている。交渉が始まって4年、そのたびにホスト国は言うに及ばず、参加12カ国は何億円という金を払って、代表を送っている。貿易担当大臣による協議の結果が不調に終わるたびに、各国の不満はつのっている。そのたびに、各政府は、TPPによる利点を喧伝するが、結果はよく言って失望、悪く言えば失敗に決まっている、と厳しい。
NZはTPPの言い出しっぺである。最初はシンガポール、ブルネオ、チリと小国だけで始めた。これがスムーズに行かなくなったのは、環太平洋の経済大国が入ってきたからである。それはアメリカであり、二に日本、そしてカナダとオーストラリアだ。今度の不調についても、ハッキリと日本とアメリカの交渉がまとまらなかったから、と書いている。
この二つの国が妥協すればオーストラリアとNZはかなり譲歩を強いられても、是認せざるを得ないという。主として知的財産、投資、そして国有産業における政府の介入が問題になっている。ポイントは農産物だ。農業市場へのアクセスについては、日米双方に譲れない事情がある。にほんには米、小麦、牛と豚、砂糖、、乳製品といういわゆる五つの聖域があって、これは政治的に譲れない。自民党は前の総選挙で「無条件の完全撤廃」は絶対に認められないと公約し、圧勝した経緯がある。
一方のアメリカにも、簡単に譲れない事情がある。まずオバマ政権にとって下院が少数派という弱点、しかも政権自体が弱体化し、すでにレイムダック化しているとの、厳しい見方さえある、その上この秋には、中間選挙があり、農民票をあてにする議員や候補者は、かなり先鋭化している。今回の交渉を見ていても、根本的解決法は遠回りして、小手先の方法論に終始している。
これは僕の持論だが、農業は一国の根幹であり、利潤中心の新自由主義経済や、グローバリズムで片づけられるものではない。そこには値段で割り切れない、その国特有の伝統とか文化、もっと極端に言えば、その国その地域の「土と人間」の根源的つながり結びついている。そしてそうした絆を守るのが政府の役目とするならば、TPPには反対の筈である。
『週刊現代』3/22 大橋巨泉
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