加藤のメモ的日記
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2014年02月26日(水) ガン治療と痛み(2)心身を総合的にみた漢方医

千葉県ガンセンターの漢方外来が始まったのは、2009年。千葉大学医学部付属病院和漢診療科(漢方)から派遣された漢方専門医、日本東洋医学界認定の岡本さんが診療にあたっている。渡邊さん(48)は岡本さんに、抗ガン剤治療の副作用として生じた背中や腰などの痛みを訴えた。苦しい症状を少しでもわかってもらおうという気持ちだった。

話を聞いた岡本さんがまず行なったのは。渡邊さんの手を取り、手首の血管から脈の様子をみる「脈診」。続いて、出してもらった舌の色や表面の様子をみる「舌診」を行なった。漢方では、患者の訴えをよく聞き、脈診、舌診などを通じて得られた所見から、心身の状態を総合的に判定し、漢方を選ぶ。

所見で処方されたのは「桂枝加求付湯」(けいしかじゅうぶどう)。冷えやすく、体力が低下した人向きの処方で、関節炎、神経痛に効果があるとされる。1日3回の食事の時に、漢方の粉末製剤を従来の鎮痛薬と一緒に服用し始めた。効果はすぐには表れなかったが、渡邊さんは2ヶ月ごとの漢方外来受診と服用を続けた。仕事で非常に疲れていたとき、岡本さんが脈診だけで具合がよくないのを言い当てたことがあった時は、正直、驚いた。「なんで分かったのだろう。西洋医学では見えない部分がやはりあるのか」渡邊さんは岡本さんに信頼を寄せ始めた。



ガン治療と痛み(3)やがて和らいだ副作用

悪性リンパ腫に対する抗ガン剤治療の副作用として、渡邊さん(48)の身体に生じた激しい痛み。千葉ガンセンターの主治医の勧めで、2012年3月から2ヶ月ごとにセンター内の漢方外来に受診した。漢方外来を担当する漢方専門医である岡本さんに、「よく寝られるか」「仕事の負担は大きいか」「夜にトイレに起きるか」など、一見痛みとは関係ないことも訪ねていた。

岡本さんが話す。「渡邊さんは、化学療法によって身体の新陳代謝が低下し、余分な水分がたまって、それが冷えとなって痛みの元になっていた、と考えられています。そのために水分の排出を促し、体を温める漢方薬を体調などに合わせて幾種類か処方しました」渡邊さんは「抗ガン剤治療後は確かに、手足が冷え、体力が落ちたせいで疲れもたまりやすくなっていました。飲み続けることで体調が整ってきたように思います」と話す。

半年ほど前から、腰や背中の襲う激痛を意識せずに仕事ができるようになった。今も複数の漢方薬と、漢方の粉末製剤を毎食事に服用し、即効性の医療用麻薬を手元に用意して痛みの発作に備えているが、明らかに症状は改善しているという。「血液ガンの抗ガン剤治療は、患者によって副作用の症状が長く残る場合がある。私は幸い、主治医と漢方専門医のおかげで改善したが、苦しんでいる人も多いはず。漢方に関する情報をもっと広めてほしい」と渡邊さん。仕事の傍ら、患者会の講演会の企画などを通じて、今後も患者側からの情報発信を続けていく考えだ。


『読売新聞』2/10


加藤  |MAIL