加藤のメモ的日記
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| 2014年01月29日(水) |
中国の侵略はいつ始まるか |
日本の外交は、戦後最大のチャンスである
北朝鮮の混乱、韓国の反日暴挙、中国の軍事的脅迫、そして米国の衰退― この危機を好機とする国家の大計とは
中国がじわりじわりと軍事的脅威を日本に突きつけ、韓国が歴史問題で世界に害毒を振りまく。2013年の日本外交は中国の暴虐に翻弄された一年だった。2014年も、この危機は高まりこそすれ、去ることは考えにくい。だからこそ、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「この危機を好機ととらえよ」と発想の転換を訴える。その真意とは。
中国は国際ルールを無視して一方的に防空識別圏を設定したことで、世界中に敵を作りました。米国やアジア諸国のみならず、EUも反対しました。しかし、中国がこうした反発を予想していなかったはずがありません。反発を覚悟の上で敢えて行なったことの意味を考える必要があります。習近平国家主席が軍を押さえきれなくなっているとの見方がある一方、習主席自身が反発を恐れずに突き進むことを決めたと見る専門家もいます。いずれにしても、私たちは中国の膨張主義がこれから何十年も続くことを覚悟しなければなりません。共産党独裁が続く限り、独裁体制を守るために膨張を続けようとするからです。
膨張主義の根底にあるのは、中国は世界の頂点に君臨し、どんな理不尽なことでも中国の価値観に従わせずにはおかないという、恐るべき21世紀の中華思想です。中国が世界中の反発を承知の上で防空識別圏を拡大してきた以上、必ずや尖閣諸島に手を伸ばしてくるはずです。数百隻の漁船で押し寄せるなどさまざまなシナリオが語られますが、どんな形の侵攻にしても、それは紛れもなく中国人民解放軍と習近平国家主席の意志を体現するものです。中国が尖閣諸島に手を出すときは中国の国家ぐるみの侵略が始まるときということです。
中国が実際に行動に出るのはいつか。それは尖閣諸島に侵攻しても米軍が動かないと分かった時、すなわち日米同盟が機能しないことが明確になった時です。
ASEANは日本に期待している
先覚とともに中国が狙う南シナ海でも、米国のプレゼンス(存在感)が急速に弱まっています。オバマ大統領は10月1日からインドネシアのバリ島で開かれた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉などに、国内財政問題を優先して欠席しました。その空白を埋めるように攻勢に出たのが中国でした。習主席と李克強首相が手分けして東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国を個別訪問し、中国が得意とする「分断工作」で二国間会議を次々に実現。南シナ海のスカボリー礁で対立するフィリピンをさらに孤立させることに成功しました。
こうした米国の空白を埋めているのが、安倍晋三首相の東南アジア外交です。安倍首相は就任一年でASEAN10カ国全てを訪問し、12月14日の「日・ASEAN特別首脳会議」では、中国の防空識別圏設定を念頭に共同声明に「飛行の自由」の文言を明記しました。東南味アジア諸国は、平和的に安定し、経済成長を果たすために、日本が中国の膨張を押さえてくれることを望んでいます。戦後において日本が外交上、これほど諸外国から期待されたのは初めてのことです。
戦後日本は、強大な米国の下で「何もしない国」であり続け、「一国平和主義」と非難されました。1971年7月、キッシンジャーは周恩来との会談で、在日米軍は日本が再び軍国主義に回帰して暴走しないよう、頭を押さえつけるためにあるという旨の発言をしました。いわば日米同盟は日本を国家として自立させないためのものでした。しかし、今、日米両国は同盟関係の中で日本がより大きな役割を果たし、日米同盟をより進化させる段階を迎えています。それが明確に文書化されたのが、2013年10月の「2+2」(つーぷらすつー)(外務・防衛閣僚協議)でした。今回の「2+2」の最大の意義は日米防衛協力のための指針、ガイドラインを再改定するとしたことです。1997年の前回の改定では、日本の役割は一言でいえば後方支援でしたが、今回の改定では日本は中国の海洋進出の脅威に備えるためにも前線に立つことが求められています。
そのためにも米国側は、日本の集団的自衛権を行使、防衛予算の増額、防衛大綱の見直しなどを歓迎しました。日米同盟を機能させるために、国家安全保障会議の創設や、国家安全保障戦略の策定も歓迎されました。米国を含む他国との強調がとりわけ大事になってくる中で、互いに機密情報を守る必要性が高まります。その点で特定秘密保護法の制定は必要なのです。この「2+2」では、中国を名指しして、中国の軍拡に懸念を表明し、透明性を高めるよう要請しています。このように日米が対中国で共同歩調を保つことが中国に対する最大の抑止力になります。
防衛大綱で南西諸島の防衛強化も打ち出し、自衛隊の各方面を統合運用する国家安全保障会議の中に現役の制服組を入れるなど、日本がこれまではやってこなかったけれど、国家として当然のことを安倍政権は次々に実行に移しています。言葉だけでなく、行動や制度面でも日米同盟を担保しようとする姿勢を私は評価します。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を訴え続けてきましたが、自民党が衆議院で圧倒的多数を取り、参議院でも同じ価値観を持つ他党の議員と合わせれば過半数を占める今こそ、それを実行する好機です。日本には、世界の平和、安定のために貢献する資格と力があり、東南アジアをはじめ、世界の各国がそれを歓迎しています。中国・韓国の暴虐が招く2014年の日本の危機は、まさに最大の好機なのです。
『週刊ポスト』1.10 櫻井よしこ
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