加藤のメモ的日記
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2014年01月01日(水) 日本はかっての土建国家に戻る

マネーのプロが振り返る2013 東京五輪までのキーワードは、破壊


―アベノミクスが始動してから約1年。まずは二人の採点を

山本 80点くらいですかね。年末になって経済と全く関係ない秘密保護法でケチがついて支持率が下がったのは今後のことを考えるとマイナス。来年は原発再稼働や集団的自衛権の問題、さらに消費増税が控えているから、これ以上は政権基盤を弱めてほしくない。

深野 私は78点ぐらいですかね。やっぱり秘密保護法の進め方は稚拙でした。今年1年、アベノミクスがうまく進んだのは、景気回復に対する期待と、それに応えられるだけの政権基盤があったから。それにちょっと傷をつけたのは、あとあと響いてくるかもしれない。あとは成長戦略の第3の矢がハッキリ見えなかったことも減点対象だね。

山本 成長戦略の関してだけど、日本はかっての土建国家に戻っていくよね。

深野 おっしゃる通り。2020年に東京五輪開催が決まったことで、インフラ整備を進めるという大義名分ができちゃいましたよね。だから、私も日本は再び土建国家に戻っていくと思いますね。ただ、今回は新規建設ではなく、補修維持がメーンになるので、かっての土建国家とは中身が違ってくると思う。

山本 そうだね。今年アベノミクスが進めてきた政策は土建国家に戻すのがメーンにあって、規制緩和だなんだっていうのはおまけだったと思ううんですよ。例えば、農業に関する規制緩和を大幅に進めたとしても、対GDP比での伸びはちょっとだけだからね。アベノミクスが目指しているのは、大都市に人を集中させて経済の効率を上げようってことだと思う。だから、地方の人口はこれから減っていくんじゃないかな。

―かってと中身が違うとはいえ、土建国家、つまり公共事業を乱発すると聞くと拒絶反応を示す人は多い。

山本 いや、それはちょっと違う。いくら土建国家といっても税金はたくさん投入できないですよ。だから、基本的には民間資金を活用するんです。予算の大部分を民間に負担させて、政府は無利子融資をつけたりして、民間主導でインフラ整備をやりましょうというスタンス。ほとんど政府の資金で行なわれた公共事業とは違う。

― なるほど

山本 アベノミクスは住宅に関する規制緩和を進めて、1981年以前の耐震基準を満たさない中古マンションに関して減税することにし、さらにマンションの取り壊しはこれまで住民の100%の同意がなければできなかったのを、80%で取り壊しができるようにしたんだよね。そうすることで1960〜70年代にできたニュータウンは、おそらく立て替えが進む。さらにもうひとつ、「インフラ長寿命化基本計画」というのが閣議決定され、今後10年かけて全国のインフラを調査して、いるものといらないものを仕分けて、いらないものは壊しちゃうっていうんだよ。これから東京五輪までの日本経済のキーワードは「破壊」になるんじゃないかな。

深野 確かに壊すだけでも相当カネが動きますからね。ただ、日本はパンドラの箱を開けた感もある。インフラ整備を進める大義名分を得て2020年までの経済のロードマップは描けるけど、五輪後のことをどううまく進めていけるか。1964年の東京五輪のときもそうだったんだけど、五輪まではイケイケドンドンで進んでいっても、その後のことまで考えておかないと五輪ショックが怖い。アベノミクスはそういうことも視野に入れて長期的ビジョンを持っていないと、東京五輪までは良かったけど、その後がガタガタにになる危険性をはらんでいると思う。特に五輪特需で一時的に増える雇用については、その後の対策を怠ると危ない。

―そういう意味では20年間も日本経済を低迷させたデフレからの脱却をを掲げ、日銀が異次元緩和を行なったのはよかった。

山本 日本の経済の構造は、カネはあるけど回らないという状況だったんだよね。いわゆる貯蓄第一主義というやつ。デフレ経済ではそれでよかったんだけど、日銀の異次元緩和による円安で物価が上昇し、預貯金は目減りする一方なので、みんな運用するなりして出さざるを得ない状況ができた。その点だけでも、異次元緩和の果たす役割は大きいと思う。

深野 確かに異次元緩和は、国民の預貯金を出させる動機付けにはなったけど、私は庶民への動機付けが足りていないと思う。街で話を聞いても、まだまだどこ吹く風。異次元緩和による円安進行が、現金価値を目減りさせるという意識は薄いですよね。特に根雪のように動かないお金の多くは60代以上の人たちが持っているけど、その世代の人たちは年金受給額に恵まれていて、多少の現金価値の目減りは平気なわけ。だから、この世代のお金をいかにして出させるかというのが、今後の課題はないですかね。

山本 その点ではNISAが来年から始まるよね。これを機に団塊ジュニアが運用を始めれば、その親世代である団塊世代も投資にお金を回すようになるかもしれない。現実にこれだけ円安が進んでいるんだから、私は株や不動産などへの投資が増えて、今後、資産バブルが起こると予想しています。


山本氏 マネーリサーチ代表 深野氏 ファイナンシャルリサーチ代表


『九州スポーツ』12.30


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