加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
10月11日、ノルウエーのノーベル賞委員会は、2013年のノーベル平和賞を「OPCW(化学兵器禁止機関)」に授与すると発表した。1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づいて同年opecは発足した。この条約は、サリンなど化学兵器の開発、使用を禁止し、現在保有する化学兵器については、段階的に全廃することを定めている。本部はオランダのハーグに置かれ、米国、ロシア、日本など国連加盟国190カ国が加盟している。しかし、イスラエル、ミャンマー、南スーダン、アンゴラ、エジプト、北朝鮮がopcwに加盟していない。ただし、イスラエルとミャンマーは、化学兵器禁止条約には署名している。
化学兵器を保有する同盟国は、貯蔵場所、数などを申告しなければならず、opcwは化学兵器関連施設の視察や、兵器の破壊などを行なう。職員数約520人の比較的小規模な国際機関だ。外交、安全保障、軍事、インテリジェンスの専門家以外には、あまり知られていないopcwが今回、ノーベル平和賞を受賞したのは、シリア情勢と関係している。
8月21日、シリアの首都ダマスカス近郊でサリンが使用された。米政府は、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、米軍による限定的なシリアに対する武力攻撃を宣言した。これに対してアサド政権は、サリンを使用したのは反政府軍であると主張。アサド政権の主張に同調するロシアが、米国に国際監視下でシリアの化学兵器を破棄することを提案し、それが実現した。
これで米軍のシリアに対する軍事行動は、当面の間、回避されることになった。もっともopcwと国連のシリア査察と同国の化学兵器廃棄が順調に進まない場合には、米国が武力介入する可能性が依然として残っている。ノーベル賞委員会は、opcwに平和賞を与えることによって「事態を軟着陸させ、シリアでの戦争を回避してくれ」というメッセージを送ったのである。ノーベル賞委員会が、米国の一方的軍事行動を牽制した強い政治性を帯びた受賞だ。
<化学兵器保有国も、本当は化学兵器をなくしたいと思っていると感じた。受賞をきっかけに、より多くの人に活動を知ってもらい、化学兵のない世界に近づいて欲しい」と願う>(朝日新聞、10月12日)この分野での日本の技術力は高い。opcwでの日本の貢献について、政府がもっと積極的に広報することが、国際社会における日本の地位向上につながる。
『週刊現代』11.2
|