加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will
ブラジル各地で頻発する反政府デモが収まらない。発端はサンパウロのバスや地下鉄の運賃値上げへの抗議だったが、デモの拡大ととともに、サッカーのワールドカップ(W杯)開催に伴う巨額出費や公務員の汚職に対する不満、教育や医療、福祉の制度改革などを訴える声へと要求は多様化した。10代、20代を中心とするデモ参加者の「本音」な何なのか取材した。
ワールドカップ杯よりも教育を
ベルオリゾンテ中心部、セッチ広場。ライフルを手にした屈強な軍警察がずらりと居並び、立ちはだかる。広場の約500メートル四方は厳重に警備され、ほぼ隔離されているようだった。異様な雰囲気に包まれた市街地。その隙間をかいくぐって進むと、刺激臭が鼻を突いた。闇夜に漂っていたのは催涙ガスだった。路上にはガラス片、なぎ倒された信号機や街灯、焼け焦げた衣類やゴミ…。
「W杯よりも学校や病院を造れ」「汚職、公費の無駄遣いはやめろ」「教育も医療もないのにW杯をやるのか?」サッカーのコンフェデレーションズ杯・日本―メキシコ戦が行なわれた22日午後9時半ごろ、セッチ広場の横断歩道を境界線に、スローガンを叫ぶ数百人のデモ隊と武装した治安部隊がにらみ合った。小さな衝突を繰り返しながら、1時間10分が経過した頃、軍警察が威嚇用のゴム弾や催涙ガスを利用して強制排除に乗り出した。気勢をあげていた若者たちは走って逃げ、セッチ広場はゴム弾発射の轟音と同時に騒然となった。
地元紙などによると、コンフェデ杯の試合広場・ミネイロン競技場周辺での衝突と合わせ、デモ隊、警察の双方で少なくとも20人が負傷したという。
暴徒化に疑問も
きっかけは、サンパウロで実施された公共交通機関の運賃値上げだった。これに反対するデモが11日から始まり、13日に暴徒化したデモ隊と警察が衝突し、200人以上の逮捕者が出た。15日のコンフェデ杯開幕後は、各地でスタジアム建設への巨額出費などに抗議する反政府デモへと拡大した。来年のW 杯開催によって経済成長の実績だけを全世界にアピールしたい政府に対し、若者の不満が一気に噴き出した。
抗議デモは会員制交流サイト「フェイスブック」 上に参加を呼び掛ける書き込みがあり、賛同者が拡散して集まったという。会社員のジョナサン・オリベイラさん(23)は「学校には机やイスが足りないし、先生の数も充分じゃない。病院では医師や薬が足りない。日本で考えられるか?」学校の教育には児童や生徒が溢れているのに先生がいない。病院で診察を受けるのに2,3日も待たなければならないこともあるのだという。
ただ暴徒化する一部の参加者がいることに、オリベイラさんは「暴れたい奴がデモに便乗しているのは許せない。デモへの参加は考えないといけない」とも言った。エンジニアのフォビア・スワットさん(19)は「この国には教育がないんだ。ブラジルのサッカーと日本の教育を交換してくれ」と訴えた。学生のジョンーさん(17)は「サッカーは好きじゃない。W杯のためじゃなく、お金は国民のために使うべきだ」と話し、日本に留学経験のあるアリス・マロッカさん(21)は「サッカーは好きだけど、自分にとっては日常の中で重要ではない。私にとって重要なのは学校や病院、これらが足りないの。そこに目を向けてほしい」と言った。
デモ参加者のほとんどは平和的な「訴え」を望んでいる。一部の心ない参加者たちが銀行や商店の窓を割ったり、ゴミに放火したりして暴れているという。身の危険を感じたアリスさんは「『秩序を失うデモにはもう参加しないかもしれない」と戸惑う心中を明かした。
◇ ◇
コンフェデ杯決勝(30日・リオデジャネイロ)の翌7月1日、ブラジル全土で史上空前の反政府デモが計画されている。
『西日本スポーツ』6.26
|