加藤のメモ的日記
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2012年11月15日(木) 野田首相暴走解散

安倍と討論中に突然「16日」

都知事選とダブル

野田首相が14日、党首討論の場で「16日に解散をします」と、電撃表明した。民主党内の強い反発を承知で伝家の宝刀を抜いた。「近いうち解散」から3ヶ月余り。うそつき批判に耐えられず、党内で退陣論が強まりだしたことを受け、自民党の協力を得たうえで、身内に追い込まれる前の「暴走解散」に踏み切る決断をした。明確な争点はほとんどなく、3年間の民主党政権そのものが問われる戦いになる。衆院選は12月4日に公示され、東京都知事選と同じ16日に投開票される。

党首討論での解散宣言。野田首相が前代未聞の戦略に打って出た。自民党の安倍晋三総裁に冒頭、「近いうちの意味を、この討論中に明らかにしたい」と意味ありげに切り出した。公債発行特例法案の今週中成立と衆院の1票の格差是正、定数削減。解散の環境整備としてきた懸案に自民党が協力することを条件に、「私は、今週16日に衆院を解散してもいいと思っている」と述べた。

委員会室には「おお」とどよめきが起き、野次も止まった。民主党籍の拍手はまばら。誰もが虚をつかれた。安倍氏も「解散は約束ですね、よろしいんですね」と念を押したほど。首相は、自民党に異論がある現行の定数削減案も「最悪の場合、次の国会で成案を得る」とハードルを下げ、「そのことをもって16日に解散する。やりましょう」と、退路を断った。解散権は首相の専権事項である。民主党内が早期解散に反対しているのを承知で、伝家の宝刀を抜いた。

8月に、自民党の谷垣前総裁に「近いうち解散」を持ちかけて3ヶ月。10月の安倍氏との会談でも解散時期に触れず、うそつき批判に晒された。官邸関係者によると、首相は毎日毎日嘘つきだといわれることを相当腹に据えかねており、また悩んでもいたという。討論でも、嘘つき返上に躍起になった。「自民党政権では、公定歩合と解散は嘘をついてもいいといわれていたが、私は嘘をつくつもりはない」。小学生の時、成績が下がった成績表を父親に見せたエピソードを持ち出し「親父に怒られるのかと思ったら、野田君は正直にばかがつくと書いてあって、喜んでくれた」と強調した。

NHKの中継も入った公の討論の場で解散を宣言する演出は、事前に極秘に練られ、党首討論前に、16日の解散の意向を興石幹事長にも伝達。早期解散に反対し続けた興石氏も、「専権事項だから首相に委ねるしかない」と、ぐうの音も出なかった。与野党が争う明確な争点はほとんどなく、約3年前の民主党政権が問われる選挙になる。消費税増税などのマニュフェスト違反で、民主党には大逆風。約240の現有議席が50〜60になるとの見方もあり、惨敗は必至だ。

民主党内では、早期解散を目指す首相の退陣論が拡大。政府関係者は「刺される前に刺したということ」と話すが、首相は身内に追い込まれた末、解散カードを切る形になった。「選挙戦で相まみえることを楽しみにしている」安倍氏に挑発された首相は、「覚悟のない自民党に政権は渡さない」と言い切ったが、民主党の「終わりの始まり」につながる暴走解散になる。

交付金が出ない小沢氏ダメージ

身内にも寝耳水の発言。13日の常任幹事会で相当不快感を持ったようですね。首相支持派から年内解散への反対論が噴出。さらに、野田降しにまで踏み込んだ発言もあり、腹に据えかねた。その思いが爆発した。いわば嘘つき流れ解散ですね。この発言でみんなそれどころではなくなった。離党予備軍も野田降し派も食い止めることができた。国民に対しても、定数削減に道筋を付けたとの言い訳ができる。追い詰められたのではなく、主導権を取った解散をアピールしたかった。

考える時間を与えない解散は、第3極潰しでもある。総選挙まで時間を与えれば与えるほど、離党者が増え第3極へ駆け込む可能性が高まる。まだ足並みが揃わず、政策のすり合わせも出来ていない状態の第3極に不意打ちを食わせた格好だ。今なら、民主の負けをまだ少なくできると読んだのかもしれない。資金面でも年内なら、立ち上げたばかりの新党に政党交付金が回らない。「国民の生活だ第一」にとってはかなりのダメージのはず。

獲得議席数は自民230前後、公明27〜28と自公で過半数の勢い。民主は85、第3極では日本維新の会と太陽の党で合計50台。「国民の生活」はひと桁台になるのでは。政権奪取に成功した安倍自民が、自公を軸に選挙結果をにらみ第3極のいずれかも取り込むことも考えるのでは。政治空白で景気に悪影響も考えられるが、機能しない”死に体政権”より、国民の信を得た新政権で対策をやった方がいい。

準備不足のまま「大いくさ」突入

「日本維新の会」代表としてはじめて国政選挙に挑むことになる橋本大阪市長は、突然の首相の解散宣言に対し、さすがに驚きの色を隠せなかった。第3極の結集が不透明なだけに、準備不足のまま衆院選に突入する可能性が強い。大阪市で取材に応じた橋本氏は「決まりましたが。いよいよですね。準備できるとかできないとか、言い訳が通用する世界ではない。今回は本当の意味での大いくさだ」と、気を引き締めた。「有権者に応援してもらえるような政策や候補者を出す。王道を歩くしかない。真正面からいくしかない」と、正攻法で戦う考えを強調した。

しかし、前日に設立された「太陽の党」との連携協議は、政策内容の違いもあって、難航している。連携協議については、「最後まで諦めずにやる」と述べたが、太陽の党の平沼共同代表からは「もう少し時間が欲しい」と、本音が漏れた。維新と太陽の党は16日に2度目の政策協議を予定しているが、どこまでまとめられるか不透明。石原前東京都知事が目指す「選挙前の大同団結」も難しい状況だが、なし崩しに連携すれば有権者の視線も厳しい。橋下氏は早くも「結集」のあり方をめぐり、岐路に立たされた格好だ。



『日刊スポーツ』11.15


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